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第二章

第44話

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「この子たちの母親は?・・・『神の子』を人間が身籠みごもるのに無理があったということですか?それも双子ふたりですから」

私の質問に、フィシスさんが固い表情になりました。

「エアちゃんの想像通りよ。『水の聖霊』はそのことを知らなかった。だから・・・」

「・・・名前がなかった?」

「・・・・・・そうね。『神に名前の概念はない』から」

「「おねーちゃーん。おやつー」」

誰もが重くなった室内に、明るい声が響きました。アクアとマリンを見ると、二人はローテーブルの上にあるロールケーキの箱を指差しています。

「「おやつー」」

「フフフ。ちょっと待ってて。今あげるわ」

フィシスさんが笑顔になり、シシィさんが箱を持ち上げると目を輝かせたが追い掛けようとしません。小さい子にしては珍しいと思っていたら、マーレンくんから『大人しく待つ』ことを教えられたそうです。

「おにーちゃんが いったのー」

「おりこうさんにしたら、みんながほめてくれるってー」

マーレンが教えてくれたからと言って、それを素直にきくアクアとマリンはお利口なんだろう。

「・・・この子たち、寿命は?」

「え?どういうこと?」

「以前、『ハーフエルフ』の話をしてましたよね?その時に『人よりは長寿』って教えてくれたけど・・・『聖霊のハーフ』はどうなるのでしょう?」

私がそう言うと、「ああ・・・」と納得していました。

「エアちゃん。残念だけど『聖霊のハーフ』は初めてなのよ」

「今までは『聖霊の子を身籠った』ことはあっても、無事に生まれたことがないわ」

「じゃあ・・・分からない?」

「ええ。残念だけどね」

「それより、このまま無事に成長出来るかも分からないわ・・・。身の内にどれだけ聖霊の能力を秘めているか分からないもの」

ロールケーキを乗せたお皿を膝の上にのせて、美味しそうに頬張る二人を見遣る。

「ねえ。エアちゃん」

エリーさんに呼びかけられて、其方に顔を向ける。

「この子たちをどうする?」

「・・・私は冒険者を辞められないから、連れて行けない。ただ旅をするだけならいいだろうけど・・・」

「エアさんくらい強かったら、子どもたち連れていても大丈夫ではないですか?」

キッカさんの言葉に私は小さな二人を見る。

「戻る前にベアが一体現れました。その時、この子たちに結界の中へ入ってもらいました。・・・ずっと泣いて結界を叩いていました。それはこの子たちのためになりません」

「この子たちが戦えたら?」

「・・・分かりません。『私の家族はもう誰もいない』。だから・・・・・・一人で生きていくつもりだし、覚悟もしてたから・・・。突然・・・思わず助けたけど・・・・・・・・・どうしたらいいのか。・・・分からな、」

「もういいのよ。エアちゃん。もう、何も言わなくていいから」

ミリィさんに抱きしめられて、私の涙はせきを切ったように流れ出してしまい、すぐに止められませんでした。




「エアちゃん。その子たちは『水の魔法』も使えるけど、幼い今は魔法は使わせない方がいい。暴走する可能性が高いからな。聖霊のチカラを持っている以上、その威力は計り知れない。それで、その子たちは基礎体力も高くて『武術系』のステータスも高いの。だから、預からせてもらえないかな?そうしたら、武闘家として冒険に連れて行くことが出来ると思う」

「安心して下さい。その時は俺たちのパーティで預かります」

「・・・ごめんなさい」

「エアさんが謝る必要はありません。『助けたから引き取れ』なんてなったら、誰ひとり、救いの手を差し伸べる人はいなくなります」

「そうね。キッカの言うとおりだわ。急に子どもを預かれなんて無理だもの。それも二人なのよ。生活が変わるのに、「すぐ決めろ」なんて言えないわ」

二人はソファーの上で眠っています。アンジーさんが睡眠スリープ魔法で眠らせたのです。

「エアちゃん。今日は子どもたちを宿に連れて行くんでしょ?」

「はい」

「だったら、明日此処へ連れてきてね。子どもたちには私たちから説明するから。エアちゃんは付き添っていなくていいわ」

「パパさんと昼から『善哉』を実際に作ることになっています。・・・小豆が水を吸って柔らかくなっていたら、ですが。他にもレシピで確認したいこともあるでしょうから、それらの料理もする予定です」

「善哉・・・」

「本当は、善哉のお餅は二種類あるんですよ。『焼き餅』を使うのと、先日のように煮るのと。そして、煮るのも『別茹で』するか最初から煮るか。どれもレシピに入れてますから、その違いも明日パパさんと作って味見してもらいます」

「・・・善哉の食べくらべ」

「それは、需要があればいいですけどね。パパさんのお店は『食堂』で『甘味処』ではないですし、ユーシスくんが手伝っているといっても限界はあります」

「・・・それなんだけどね。シェリアが「宿屋の隣の空き店舗を改造して、宿屋の喫茶店にしよう」って計画立ててるわ。食堂と喫茶店を分けることで、食堂のお客さんに迷惑をかけないようにするためよ」

「『ジェフェール』は?」

彼方あちらは別よ。宿屋の喫茶店の方は、『エアちゃんの料理』を楽しむためだから。だから、『エアちゃんの料理をレシピ通りに再現できる』宿屋に白羽の矢が立ったの」

「シェリアが今、宿の方へ話をしに行っているわ。これは宿の人たちが了承してくれないと、進められない話だから。まあ、時々屋台で売ってもらうだけでもいいと思うけどね」

パパさんたちに負担がかからないと良いのですが・・・。






「じゃあ、『報告』に入りましょうか」


ソファーの真ん中に私。右側にミリィさん。左側では、起きて遊んでいるアクアとマリン。「大人しく遊ぶ」という約束で同席しています。向かいのソファーに、フィシスさんを真ん中にエリーさんとアンジーさん。両側の一人掛ソファーにシシィさんとキッカさん。
これから、ダンジョンで起きたことと『その後』の報告を順番に進めていきましょう。

「まず最初は何からあった?」

「フィシス隊長が、エアさんに抱きついて離れなかった」

「ちょっとキッカ」

「最初はそこから始まりましたよね」

「フィシス~」

「エアちゃんに迷惑を掛けるなと言ってるだろうが!」

「だって心配だったんだもん」

フィシスさんはエリーさんに叱られています。

「まあ、それは後で他の隊長たちからじっくりと叱られてください。それで、エアさんははじまりの森に?」

「その前にポンタくんからメールで、薬草と薬用キノコ、それと『虫草』の注文が来ました」

「ああ。それは私が間に入って虫草の単価を決定したわね。その後は、その金額で取引してる?」

「はい。結構な注文数が来ましたけど・・・。まだ足りないのでしょうか?」

「別の町で虫が湧いてるみたい。数年に一回、起きるんだけどね。ちょっと大規模だから、通常の虫除けでは追いつかなくて・・・。虫の氾濫でも甘くみると、町や村が簡単に滅ぶから」

「そのための『虫除け』ですか?」

「そうよ。他所よその町や村でも起きる可能性があるから、職人ギルトで昼夜問わず作っているわ。・・・問題は、虫草は貴重ってことかしら。って、キッカ。何笑ってるのよ!」

「まあ待てエリー。エアさん、いま虫草は何本ありますか?」

「950万本、です」

「な?これで問題解決だろ」

「そうね。じゃあ、あとは職人ギルドがいくら出せるかってことね」

「エリーさん。『代金後払い』は?」

「それではエアちゃんが困るでしょう?」

「でも・・・。一番困っているのは『虫が湧いている町の人たち』でしょ?」

「たしかに。『信頼関係』が構築出来ているなら後払いでも問題ないでしょう。ですがそれは『職人同士』やギルド間で成り立つことであって、エアさんから提案することではありません」

「付き合いの長い店と個人の間でだったらあるけど・・・」

「でもエアちゃん。エアちゃんとポンタはそこまで付き合いはないでしょう?」

「はい。ですが、ポンタくんは『職人ギルドのマスター』という肩書きがあります。約束を反故にするということは、ポンタくんの名をおとすと同時に、職人ギルドの名をおとしめた上に信用や信頼を失墜させることになります。それは『職人さん』個人も責められることになります」

「・・・そうか。裏切れば損をするのは『ポンタたち』の方か。それも職人ギルド以外のギルドも巻き込まれる。『ギルドと個人との契約』とは『ギルドという組織を信用して結んだ契約』。いわば信頼関係だ。それを反故してしまったら、『ギルドの存在』もあやうくなる」

「そうです。『売り手』は私。『買い手』がポンタくんたち。逆の立場なら、シシィさんが言った通り『よくある話』でしょう」

「・・・そう。だったら、私がポンタに話を持っていく。昨日貰ったメールの素材を売っていいんでしょ?其方そっちの話もあるからね」

「これで『虫草の問題』も『買い取りの問題』も解決しましたね」

「『はじまりの森』に入ったら『ネズミが15体』いました。これはやっぱり『はじまりの迷宮』から逃げ出したのでしょうか?」

「そうね。しばらくの間はフィールドにも魔物が溢れていると思った方がいいわね」

「それを捕食する魔物も集まりますよね?」

「それって、さっきのベアのことか!」

キッカさんが、驚きの声をあげました。そうです。ベアが集団でいたのも、『捕食する相手』がフィールドに溢れていたからです。

「それもアント騒動の弊害か・・・」

「そういえば、イノシシも現れたわね」

「ツノありと普通の両方です」

「あれは雑食だ。フィールドに展開した捕食対象のネズミを追ってきたと考えるのが妥当だろう」

エリーさんの言葉に、誰もが険しい表情で頷きました。
『はじまりの迷宮』の中にどれだけの魔物がいたか分かりません。それらがフィールドに展開しているのです。それは撒き餌として『捕食する側』をおびき寄せています。

「気を付けないと、今までいなかった魔物が闊歩している可能性があるわね」

「はじまりの森に現れた、ゴブリンとベア。後から現れたオークは『王都周辺で見られてもおかしくない魔物』だったのでしょうか?」

私の質問に、アンジーさんが王都周辺の地図を持ってきました。

「ゴブリンはだいたいこの辺、王都の南に広がる『はじまりの森』を越えた場所にある『ヤスカ』という村を越えて、さらに東の森にいるゴブリンが王都に一番近い棲息地ね」

「ベアは此方コッチ。山の中よ」

「オークは・・・この街道を通った先、地図の外。つまり『王都周辺にはいない』ってことだ」

アンジーさん、シシィさん、エリーさんが地図上を指差して魔物の棲息地を教えてくれます。オークはだいぶ離れた位置に指の先があります。では・・・。

「王都周辺もヤバいことになってるな。いや。被害がどれだけあるのか分からない以上、行商人が襲われている可能性がある」

「冒険者ギルドで情報確認させよう」

キッカさんの言葉に、エリーさんがチャットを送っています。冒険者ギルドの『表のギルド長』さんに指示しているのでしょう。

「そう言えば、冒険者ギルドの『表のギルド長』さんってどんな方ですか?」

「ん?たぶんエアちゃんも知ってるし、今日も会ってると思うわ」

「今日ギルドで会ったのは、受付のユーリカさん・・・」

「そのユーリカが『表のギルド長』ですよ」

「・・・なぜ『ギルド長』さんが『受付嬢』をしてるのですか?」

「冒険者個人の本質を見るためだそうです。もちろんギルド長としての仕事もしていますが、元々ギルドで働き出したのは「受付嬢をしたかった」という人ですからね。これからもユーリカさんは受付嬢として対応してあげて下さいね」

「はい」


先ほども、簡単に着替えるための部屋を貸してくれました。それはギルド長だからなのですね。


「ん。各地のギルドと連絡取ってくれるって。所属の冒険者がいなくても、旅の冒険者や行商人から話が聞けるから何とかなるだろう」

心配だけど、それはすぐに分からない以上、ここで情報が集まるのを待っていられないので、先に話を進めることにしました。

「それから『大地の迷宮』に入りました。此処もネズミやウサギがいました」

「『はじまりの迷宮』から近いこともあり、此処へ逃げ込んだのでしょう」

「此処で、武器に魔法を纏わせることを覚えて試してました。二階に降りる途中から、空気が張り詰めたような感じがして、広場の前に魔物が集まっているのが地図でも表示されていました。近付いたら一部が襲ってきて、先頭の一体を斬ったら威嚇するだけで襲ってきませんでした。だから人がいるか聞いたら、広場から声はしたけど通路からは聞こえませんでした。それで『風のヤイバ』で大半を倒したら『大きなコッコ』が現れたので『水の刃』で一閃したら、残っていたコッコたちが奥へ逃げていきました」

『大きなコッコ』というと、全員が苦笑しました。・・・だって私はそうしか思わなかったのです。

「あの時助けた連中だけど、まず保護した『一般市民』は『王都治療院以外の治療院』に家族ごとで分かれて治療を受けている。まあ『冒険者になる』とかエアちゃんに『冒険者になったら面倒みろ』と言ってたけどね。根性を叩き直すか叩き潰すかするから、エアちゃんには二度と迷惑は掛からない。まあ、冒険者の立場で付き纏いとか何かしたら、遠慮なく『冒険者剥奪』にするから」

「そして、私たちが預かった『少年冒険者』は冒険者剥奪で魔力を封じたわ。さらにエアちゃんに対しての『強盗』などもあったから、『犯罪奴隷』にちたわ。アレくらいの少年だったら、鉱山の重労働の他に・・・まあ、『女性の代わり』に使われるでしょうね」

「そして貴族の両親も『責任』を問われて牢屋行き。其処で顔を合わせた父親に「お前なんか死んでいれば良かったんだ!」と叱られて、その後に『不正発覚』で入れられた親族からも罵られて、泣きながら一足先に鉱山へ送られたわ」

あの高飛車な少年だったのに?

「まあね。それまでは『貴族』という立場で甘やかされて育ったからね。何をしても『貴族様』という立場を悪用してた。それはまあ、『親の姿を見て育った』からだろうね。それに『廃嫡前の罪』は両親にも責任があるとなったから。両親にしてみれば死んでいてくれたら、不正やその他のことがバレずに済んだと思ってるみたいね」

「私が『家族全員で冒険者にしてボンクラとダンジョンに入れる』って案を出したときは一度通ったのよ。でも『上位魔物』が溢れている今、連中を鉱山などに送り労働作業させた方がいいってなったのよ」

「仕方がない。『王都治療院』の連中の罪が暴かれて、牢屋が足りなくなったからな。連中を別の守備隊に任せていいなら構わんが?」

「そんなの、ミリィが許すはずないじゃない」

「あたりまえ。私のエアちゃんを狙ったんだから、許すはずがないし、他所の守備隊に渡す気もない」

何方もこの南部守備隊が扱っているの?

「エアさん。摘発した守備隊が最後まで捜査するんですよ」

「一度、北と西の守備隊が共同捜査になったときに、片方の隊員が証拠を隠滅しようとしてね。買収されてたらしいのよ。まあ、買収しようとした方もされた方も罪は重くなったし、以降は守備隊でも西部とは仲が悪くなったからね」

つまり西部守備隊の隊員が『悪いことした』んですね。

「可哀想だけど、兄弟姉妹と親族の子供は魔物の騒動が終了次第、別々の町へと送られて一般人として生きていく」

「他の大人は、犯罪奴隷として様々な鉱山へ送られた。奴隷商人の馬車は、制限されている今も出入り自由だからな。まあ、アイツらに食わせるメシ代が勿体無いからね。昨日のうちに王都から出したわよ」

罪に問われなかった子どもたちが、まっすぐ生きていけるといいけど・・・。『貴族脳』が残ってるとそれも難しいかな?

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