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第十章
第232話
しおりを挟む「取り敢えず、ベルくんも『共闘メンバー』に入ったし、ジョシュアとジョアンナの荷物も返ってきたし。
一度『万全な状態』でダンジョンに入ってみようか」
さくらの提案に誰も異議はない。
共闘をするにあたり、自分たちの弱点を知り他の人の得意を知る。
それにより弱点をフォローし合うことで『強さの底上げ』になる。
弱点をどう対処すればいいのかを実戦で知ることができて、自分たちの弱点を克服することにも結びつく。
「ハンドくんは各個のフォローを」
〖 遠慮なくハリセンでぶっ叩きます 〗
「それは遠慮してください」
〖 謹んでお断りさせて頂きます 〗
「ベル。
師匠の指導は適切です。
それに叩かれたくなければ、注意されたことを身につければいいのです。
私たちはそうして強くなりました。
・・・それでも、ご主人や師匠の足下には及びません」
スゥの言葉に力なく項垂れるロンドベル。
彼は「名前が長いですからヒナルク様と同じく『ベル』と呼んでください」と言った。
スゥたちはすんなりと『ベル』呼びを受け入れたが、ジョシュアとジョアンナは「軍師様を『ベル』などと」と渋った。
「その『軍師様』も止めて貰えませんか?
好きで軍師になった訳ではありません。
・・・あのクソジジイ。
俺を金貨5千枚で売りやがって・・・」
ロンドベルが暴走を始める前に、ハンドくんにピコピコハンマー(青)で後頭部をピッコーンッとぶっ叩かれた。
〖 目が覚めましたか? 〗
「・・・前に受けたハリセンとは別の意味で衝撃的でした」
〖 それは良かったです。
では、ジョシュア。ジョアンナ。
こんな『めんどくさい性格』の男ですから、ロンドベルが頭を吹き飛ばされるのを見たくなければ『ベル』と呼びなさい。
もちろん呼び捨てです。
丁寧な対応も必要ありません。
『様』とつけられるような『ご立派な働き』をまだしていません。
この中で『様』付けで呼んでいいのはご主人のみです 〗
「「 はい。分かりました」」
ハンドくんのピコピコハンマー攻撃を見て青褪めていた2人はすぐに了承した。
ちなみにスゥたちは慣れているため冷静な目で見ていた。
ロンドベルは『神聖騎士団出身』で魔物討伐をしていたため、魔物との戦闘に不安はなかった。
ただ・・・『魔獣の討伐はなかった』らしく、魔獣との戦闘は初心者だった。
そのため、魔獣の解体作業も初心者・・・
〖 解体作業そのものが初心者ですね 〗
「王都周辺では、魔獣や魔物は専属の『解体屋』の仕事でしたから。
隊が王都を出る時は必ず解体屋が同行し、その場で解体のナイフで解体していきます。
解体したものは軍が支給したアイテムボックスに入ります。
それを王都に帰還後、軍で必要なもの以外は冒険者ギルドに売却しています」
〖 だからと言って、『解体が出来ない』理由にはなりません。
解体するのには、魔獣の弱点や特性を詳しく知るためです 〗
「どんなに強い相手でも『関節』があるの。
だから、弱い私でも『その位置を知ってる』から倒せる。
ベルは強いけど、その場所を知った方がいいよ」
ルーナは『解体のナイフ』を貰っても、弱点の分からない魔獣や魔物の解体の時は『解体専用ナイフ』で丁寧に捌いている。
そんなルーナの言葉に頷いたロンドベルは、ルーナの指導を受けながら解体に入った。
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