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第四章

第1話

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「もう!いつまでルーナを放っておくのよ!」


ミリアがカミュを掴まえて
ギャンギャン吠えたてる。


「ミリア。うるさい」

「『うるさい』じゃないでしょ!」



ミリアにしてみれば
初めて会った時から
カミュに恋していたのだ。

ミリアが
どんなにアプローチしても
カミュは
ルーナのことだけ見ていた。


それは今も変わらない。

今では
ミリアも
カミュを諦めていた。

でも
分かっていても
『気持ち』はどうすることも出来ない。


カミュは
やっと
『本当の自分の出生』が分かり

ルーナの『保護者たち』からも
ルーナを託されたのだ。



にも関わらず

「なんで今も、ルーナに手を出さないで『一緒に寝てるだけ』なのよ!」

「・・・・・・お前なぁ」


カミュは
盛大にため息を吐く。


女の子ルーナから「して」なんて言えるわけないでしょ」

「何でもお前を基準にするな」


カミュとルーナが
肉体的に結ばれれば
やっと『諦められる』

ミリアは
そう思っているのだ。


「もしかして『今までの関係』が壊れるのが怖いのですか?」

珍しくセリアが絡んでくる。

セリアは
ミリアの恋心を知っていた。

カミュに恋して
諦めたことを。


「じゃあ。俺がルーナに手を出してみようかな」

「俺も俺も!」

バムとログが
面白がって二人の話に乗る。


「二人ともやめなさい」

「お前ら、大概にしとけよ」

ユルグとオラフは止めるが
バムとログは
カミュをからかうのを止めない。

ミリアとセリア姉妹も
ここぞとばかりに
カミュをからかい出した。


カミュは
ルーナの気配を確認してから
不敵な笑みを浮かべて
ミリアたち四人に
向き合う。


「お前ら。覚悟は出来てるんだよな」




「あ。カミュ」


ルーナが階段を降りてきたのと
カミュがリビングから出てきたのが
一緒だった。


「みんなは?」

「もう「出かける」と伝えてある。どこに行くかは決めたか?」

「うん」


カミュは
ルーナの肩を抱いて
額にキスを落とす。


「じゃあ行くか」




二人が
転移石で転移したのを
気配で察知した
リビングの中では。


「だから止めたでしょう」


オラフの言葉に
不貞腐れて
そっぽを向いている四人。

四人は見事にキズだらけ。

顔面は見事に
腫れ上がっている。


「オラフ。もうカミュたちは出掛けたんだから、回復魔法をかけてよ」


ミリアの訴えに
オラフは冷ややかな目を向ける。

「反省してないようですね。二人が帰ってくるまで、その痛みと共に深く反省していなさい」


えー!と騒ぐ四人は

「自業自得だろ。ルーナをネタにカミュをからかって、その程度で済んだんだ。カミュに感謝しろよ」

とユルグに切り捨てられて
口を噤んだ。








「あんなこと、ルーナに話したら」

どうなるか『分・か・る』よな~?




あの時
楽しそうに笑った
カミュの目は

笑っていなかった。



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