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扉の奥の秘宝 (1) リサイクルショップ

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ここはヴォルノースの南の森、とある町の商店街。その中のひときわ目立つあるお店は、休日という事も相まって、多くの家族連れで賑わっています。

店の名は「リサイクルショップ・ラッキーエンカウンター」。

質の高い中古品が、保証付きでしかも安く手に入る人気のお店です。

あぁ、町から少し離れているところに住んでいる、ヒト妖精の男の子ニールも、パパやママと一緒に訪れているようですね。

「パパ、今日は色々と買う物があるんだからね。フラフラと、どっかへ行っちゃわないでよ」

ママがパパの方をキッと睨みます。それもそのはず、パパったら必要な物品を品定めするママを尻目に、大抵は自分の興味のあるグッズのコーナヘいつのまにか引き寄せられてしまうのです。そういう時は、まずパパを探す必要が生じるため、ママのご機嫌は途端に45度くらい斜めになりました。そして何より「ここ」には、ママの天敵と言える場所があったのです。

「あ、ママ。あのオモチャ欲しい!」

二階の衣類コーナーに上がり、これからの季節に必要なニールの服を探しているママの袖を、目をキラキラさせた我がまま息子が引っ張ります。

「だめよ。今日はギリギリの予算なんだから……。オモチャは、また今度ね」

子供服を品定めしているママは、ニールの方を見る事もなく、その要求を却下しました。

「えぇ? つまんないなぁ」

まぁ確かに、小さい子供にとって、リサイクルショップは余り楽しい場所ではないかも知れません。大好きな玩具コーナーを除いてはね。

「ねぇ、パパ。これどうかしら。背が伸びても二、三年は着られそうだわ。流行もあんまり関係ない柄だし」

ママは振り向きもせず、ニールの手を引いている”はず”のパパに意見を求めました。実際のところ、もう買う事に八分通り傾いているのですが、一応はパパにも尋ねます。あんまり一方的に選んでしまうと、後になって「僕は賛成しなかったよ」なんて、文句を言われてしまいますからね。

でも返事がないので、ママは肩越しに

「パパ、聞いてる?」

と念を押しました。ところがその言葉は、受け手に届かぬまま空をさまよいます。いるはずのパパがいないのです。影も形もありません。

「ちょっと、ニール。パパは?」

ママは、父親と手をつないでいるはずの息子に改めて尋ねました。

「知らないっ」

オモチャを買ってもらえずに、すこしふくれっ面になったニールが口を尖らせながら答えます。

「いつから!?」

ママの眉間にしわが寄り始めます。その先の展開が分かっているニールは、

「えぇっと、二階に上がってくる前かな。チョット行くところがあるって言ってたよ」

と慌てて返事をしました。とばっちりを受けては、たまったものではありません。
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