使命or恋人

はるば草花

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レアドの苦労5

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「…分かった。信じるよ?」

「もちろん!」


ええー?!クロアフィート殿は簡単に信用してしまった。ノノロリル殿も微妙な顔してますよ。あ、でもしかたないかみたいな顔になりました。

2人ともお人好しですね。まあ、クロアフィート殿は人を見る目はあるでしょうし、私よりミカルドのこともよく知ってるんでしょうが、こんな人信用する必要あるんでしょうか?


「じゃあ、クロアも俺のかっこいい姿見てよ!」

「ん?騎士達に教えるの?」

「そうそう。可愛い子2人に美人さん1人に見られればみんなやる気でるよー」


この人クロアフィート殿も範囲に入ってるんですか?!たしかに女装すれば美人になりそうですけど…。

もう病気ですかね?

私まで何故か一緒に行くことになり、修練場に向かう。

騎士達が練習試合をしているようですね。


「わー。すごいな」


ノノロリル殿が騎士達の姿に目を輝かせ見るので、その微笑ましさに和みます。


「それじゃあ、見ててねー」


手を振って、騎士達のところに向かっていったミカルド。騎士達と話した後、試合を始める。

私も久しぶりに見ましたが、さすがに勇者の仲間です。華麗な動きで次々と騎士達に勝っていく。


「ほああー。すげー、かっけー」

「ノノ?!あんなのたいしたことないよ?」


あんなのでも、ミカルドの見目の良さはかなりいいですし、剣の腕だけならクロアフィート殿同等、もしくは以上とも言われるほどですからね。ノノロリル殿が憧れるような目を向けるのも当然でしょう。

しかし、それを分かっていても、クロアフィート殿には耐えがたいようで、ショックを受けたような顔になってます。


「くっ………」


悔しそうなクロアフィート殿は騎士とミカルドのところへ向かっていく。


試合を申し込んだようで、ミカルドは馬鹿なのか簡単に応じました。

そして始まった試合は、クロアフィート殿が魔法を連発の容赦ない攻撃でミカルドはなすすべなく逃げまどいます。

ぎゃあぎゃあ騒いで文句いいつつも、さすがに華麗なほどに避けていく。そうでなくては魔法得意な相手に1人で対応できませんし。

しかし、あたればいいのに…。はっいけない。神官ともあろう者が…。

ノノロリル殿は口を開けてその様子を見ている。たしかに世界でも最高レベルの試合でしょう。


「へー…。珍しいな。この2人がここまでやりあってるなんて」

「………………」

「いてっ、なにすんだよー」

「お仕事はどうしたんですか」


後ろからルドウィード様が私にのっかっている。回ってきた腕を叩いてみたがはずれない。


「ん?なんか騒がしかったからな。こんな面白そうなの見ないわけないだろ。この前の黒い霧?のことだって、せめて直接見たかったものだ」


この方は王でなかったら冒険者にでもなっていたかもしれないですね。


「…今の状況は苦痛ですか?」

「まさか。楽しんでるよ」

「しかし…」


こういった権力というものが存在するところに影ができるのはもはや摂理のようなもので、それを感じとれる者が窮屈に感じないわけがない。


「…ただ、最低限のことは自由にやらせてもらうがな。その為なら、俺は勇者の下僕にもなってやるさ」


まだ見事な試合をする勇者達を見つめて言う言葉がなにを意味するのか、私は知らなくてもいいでしょう。

王は国を第一に考えなくてはならない立場だ。それでも私的に思うことがあるのは、人としては当然だろう。

私は身近な人には幸せになってほしいです。例えそれが我が儘でも。


「そうですね。私も、その為なら…」


いけないことですが、私は神よりも、あの2人の為に行動したい。必死な勇者につられたんですかね。


「俺のことはその中に入ってないのか?寂しいぞ」


うるさいですね。


あ、フラーナが試合する2人に向かっていく。

さすがのクロアフィート殿も、フラーナの冷気に動きを止めました。あたふたと2人で言い訳してます。


そして私はフラーナに気づいて逃げようとした王の腕を捕まえます。


私の力など王からすれば貧弱そのものですが、王は振り払おうとはしない。



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