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努力してます2
しおりを挟む「空いてる時間を利用しているだけのことですよ。それに、ノノの為に無理をしようなんて考えてませんし」
「え、そうなのか?」
「無理して僕が身体を壊したりしたらノノが悲しむでしょう」
「ああ、そっちな。まあ、確かに恋人に無茶されるのはけっこう堪えるものな。とかいってもお前はぎりぎりのところを見極めて無茶しそうだがな」
「しませんって」
「俺の目の前でも何度かしてんだろが」
「過去でしょう?それにそこまでした覚えがないんですけど」
「ああ、うん。無茶のうちに入らないんだな…」
なんだか疲れた国王ルドウィードは溜め息をつく。
ノノロリルからは駄目な人間になったのではないだろうかと疑問をもたれているクロアフィートだが、ノノから長時間離れないという条件内なら、今だって使命をばんばんしている。
ノノとの出会いを果たす前は世界中を旅していて、移動に時間を多く使っていたので、ある意味、そんなに忙しくしていなかったが、今は前より忙しく何かをしている。
前とスタイルが違うのは、ノノと長く一緒にいたいからという完全な私的なものだが、クロアが大移動しなくても世界には強い人が他にもいるので、そこまでする必要があまりなかったりもするのだ。
城で騎士の稽古に付き合ったりとお手伝いを終えたクロアフィートはひとまず自分の家へと帰宅する。
将来はノノロリルと一緒に住むのが夢なクロアフィートだが、今現在一緒に住まないのには理由がある。
「わー、一日離れてただけなのに溜まってるなあ」
クロアの家はノノロリルの家のように近くに他の家は見あたらない。家の前に立ったクロアは魔法を発動させる。
淡い黄緑の光がクロアフィートの周囲からふわふわ現れ、それが膨れ上がるように拡散する。
「うん。きれいになった」
澄んだ空気を吸って、クロアは家へと入った。
職業上、色んなよくないものがクロアに纏わり付こうとしてくるのだ。その矛先として、この家を利用している。
世界中からなので、思念のようなものでも結構溜まるし澱むので、先程のように浄化する。時折、魔物とか魔族なんてのもやってきて退治したりもある。
そして家に入っても気が抜けない。入る前から薄々感じていた気配。
「あ、クロアフィート様。おかえりになられたんですね」
奥の部屋から嬉しそうに現れたのは、世間的には美しいといえる女性だった。
「えーと…、君は?」
「ネリア・カルワナと申します。何か、勇者様のお力になれないかと思いまして。お一人暮らし大変でしょう?」
女性は身体をクロアに必要以上に寄せようとする。それをさらっとかわしたクロア。
「カルワナ家のお嬢さんなんだね。お父上から話は聞いてなかったのかな?」
「なんのことでしょう?」
クロアは優しく微笑んでいるので、拒否されてると気づかず、再び身体を寄せる。またそれもなんなく避けて、距離をとったクロア。
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