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似た者同士1
しおりを挟む今日も俺のうちには勇者と魔王がいる。
2人はたまに口喧嘩するのだけど、基本は仲がいいのでいても問題はない。
俺の作った夕食を食べ終わった2人はなにか真剣に話し合ってる。
「ほら、これはどうだ。属性関係なく攻撃を防いでくれる」
レフェは、触るのも怖い高そうな宝飾品をクロアに見せながら説明?している。攻撃とか言ってるから使命とかに関係してるのだろうか。
「完全に攻撃を無効化できるのはすごいけど、限度があってそれほど強い攻撃が防げるわけではないだろう?それなら一時的にせよ、防御魔法で十分だよ。それに魔属性は人にとって毒だから少しでも受けるのはよくない。それにたいしては何もないだろう?レフェの持ってくるものはそういったものに対応したものがない」
「ぐ…、それは…」
内容はよく分からないけど、クロアがどことなく悪人面してるから、またレフェをいじめてるんだろうか。絶対クロアのほうがいじめっ子だよな。レフェは魔族であるということが弱みで強くでられないというのに。
「…なら、これはどうだ?」
さらにごつい宝飾品を取り出したレフェ。真ん中の石でかっ。深みのある緑色が神秘的だ。いくらくらいなんだろ。
「なんの効果が?」
「呪い系の無効化だ。呪いは魔族のなかでも恐れられているからな。呪いは種類ごとの特徴があるから、どんなタイプの呪いにも対応するのは難しいのだが、これは呪いのエネルギーを分解するようになっている。余程特殊でなければ無効化できる」
「それはすごいな…」
おっ、クロアも真剣な顔になってる。
「なあ、俺の目の前で重要そうな話してていいのか?」
誰かに言ったりはしないけど、落ち着かない。
「これはノノロリルにも関係している」
「俺に?」
「レフェ、ダメだよ。なんでもないからね、ノノ」
むっ。ド下手な嘘ついたなクロア。なにかよからぬこととみた。
「クロアー?」
「あ、あのね。ノノを怖がらせたくないから言いたくないだけだよ」
「だったら初めから俺の前で話すなよ。気になるだろ!」
怖いことなんて聞きたくはないけど、すごい怖いことなら絶対目の前で話してないだろうからな。
「うー、ノノが俺のせいで危ないめにあったとき、防ぐ方法はないかなって、レフェと話してたんだよ。あくまでももしもの場合で、できるかぎりノノを危ないめに合わせないからね!」
不安にさせたくなかったのか。今のところは平気だぞ。
「防ぐ…?」
テーブルの上にはいくつも宝飾品が置いてある。これが防ぐに関係あるのか?…王様とか大商人しか持ってなさそうなほどゴテゴテしてるんだけど。これを身につけろとかいうのか?!
「ない。無理」
「……だよね。これを身につけるとかないよね。レフェに相談したらこれらを持ってきたんだよ」
「な、クロアフィート…?!」
レフェが信じられないという顔でクロアを見る。裏切ったのか?!みたいな感じだろうか。
いじめっ子クロアをかばうわけじゃないけど、クロアは嘘は言ってないはず。おそらく、レフェに相談したらこれ持ってきちゃって困ったけど、はっきり言えなかったんだな。しかしクロアがいじめっ子状態でなければフォローもしたんだろうけど、俺が引いたから見捨てたんだろう。
「…これでは駄目か……」
レフェがうなだれた。きっとレフェは頭いいから、俺がクロアの発言に何も言わないことで察したんだな。
それで傷ついたのか、レフェは帰っていった。…いじめてしまった気分なんだけど。え、俺、魔王いじめた?……深くは考えないでおこう。
だけど気になる。クロアはどう思ってるかな。
「クロアー、クロアは…」
「ん?なに、ノノ」
むっ!クロアがベッドに置いてあるクッションの下になにか入れてた。尋ねるより早いから、そのクッションを持ち上げる。
「あ…」
「……………」
クッションの下には、レフェが持ってきたあのでかい緑の宝石のネックレスがあった。
「あ、あの、それ、呪いを防いでくれるんだ。………前にあっただろ?」
すぐに怒ろうと思ったけど、前の呪いのことを気にして苦しそうなクロアの顔を見たら、受け入れたくなる。
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