5 / 49
バルファ旅行記
バルファ旅行記5
しおりを挟む「俺は…、オミだ」
美人という名前じゃない。
「ふーん?オミね。異世界には魔法がないって聞いたことがある。どうだ?興味ねえか?」
「あるに決まってんだろ。馬鹿野郎」
バルファ愛舐めんな。
「ははっ。なら、やってみるか?」
「え。マジで出来んの?え。やりたい」
「異世界の者でも素質があれば可能らしい」
「素質か…」
定番設定だな。バルファの住人でも素質がないと魔法なんて使えないんだろう。
属性とかあんのかな。…つうか、バルファの基本設定はどんなだ。属性に合ってないとダメとか。いや…。
「なんでもいい。さっさっと教えろ」
巨大な星のパワーとかまでなくていい。ちまっとしたのでいいんだ!
「くっくっ。いい性格してんじゃないか。ますます気に入った。よし、俺が手取り足取り…いでっ。なにすんだシャルハ。ああ?!」
「魔法は国内においても機密事項。まして、異世界人に教えるのはもっての他です!」
チッ。やっぱりそうか。
「いいじゃねえか。別に。素質なかったら出来ねえし」
「駄目です!大問題になりますよ!」
ぱっと見半端ない威力あるからな。悪用されては大変だ。たとえたいしたことない魔法でも、それを足がかりに魔法開発されかねない。
「えー、では、次はお昼にいたしましょうか」
案内のリーンさんが、2人の言い合いに困り、次に進むことに決めたらしい。
そして、移動を始める俺達だが、それでも言い合いが続いてた。仲いいんだろう。
ちょっと羨ましいな。俺にはそこまでの人間関係はない。
移動して、白い建物で昼食だ。
ひゃっほう!と内心テンションを上げて料理を待つ。
「………………」
「どうしたの?オミ」
メリルは何かのジュースを飲んでいる。花の蜜とかだろうか。
……俺の目の前にはクリームシチューに酷似した料理。
ゲテモノ料理は勘弁願いたいが、こう…、少しくらい異世界らしさがほしかった。
「大丈夫だよ?異世界の人が食べても毒にならないって検査済みだって聞いてる」
「検査…」
妖精からそんな現実的な言葉を聞くと思わなかったが、現実的には、そうだよな。
「そうか…」
異世界人に配慮した料理なんだろうと考え、クリームシチューにしか見えない料理を食べることにした。
「野菜は微妙に違うな」
「世界が違うから、まったく同じものはないよ?」
「ああ。そうだよな」
味は馴染みのものとほぼ同じだったが、野菜の形、色、触感が違った。感動で少し目が潤みそうだ。
今俺は、異世界バルファを味わってんだよな…。
「そんなに美味しかった?よかった」
感動する俺を見たメリルも自分のことのように喜んで空中をくるくる回ってる。
それから次はバルファの世界の動物との触れ合いタイムだ!
これは事前に知らされていたことで、ものすごく楽しみにしていた。
「庭にはいろんな動物や幻獣がいるのよ。オミはどんな動物に会いたい?」
「そうだな…」
すでに他の人はおのおの好きな動物に会いにいってる。
一番人気はドラゴンだろう。この世界でも少なく、この世界の住人すら、滅多に見ないというのだから、これほどすごい機会はないだろう。
しかし、
「んー…、メリルは知ってるかな?これくらいの大きさで、猫みたいで黒くて羽があるやつ」
大きさは普通の猫より少し大きいくらいで、だけど、猫のようなスリムな感じでなく、大型猫科の子供のような感じだ。体の割に小さな羽があるが、それで飛んでいる。
一見可愛いだけのようだが、その目には気品を感じとれる。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
もう一度、貴方に出会えたなら。今度こそ、共に生きてもらえませんか。
天海みつき
BL
何気なく母が買ってきた、安物のペットボトルの紅茶。何故か湧き上がる嫌悪感に疑問を持ちつつもグラスに注がれる琥珀色の液体を眺め、安っぽい香りに違和感を覚えて、それでも抑えきれない好奇心に負けて口に含んで人工的な甘みを感じた瞬間。大量に流れ込んできた、人ひとり分の短くも壮絶な人生の記憶に押しつぶされて意識を失うなんて、思いもしなかった――。
自作「貴方の事を心から愛していました。ありがとう。」のIFストーリー、もしも二人が生まれ変わったらという設定。平和になった世界で、戸惑う僕と、それでも僕を求める彼の出会いから手を取り合うまでの穏やかなお話。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします
椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう!
こうして俺は逃亡することに決めた。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる