バルファ旅行記

はるば草花

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バルファ旅行記

バルファ旅行記5

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「俺は…、オミだ」

美人という名前じゃない。


「ふーん?オミね。異世界には魔法がないって聞いたことがある。どうだ?興味ねえか?」

「あるに決まってんだろ。馬鹿野郎」

バルファ愛舐めんな。


「ははっ。なら、やってみるか?」

「え。マジで出来んの?え。やりたい」

「異世界の者でも素質があれば可能らしい」

「素質か…」


定番設定だな。バルファの住人でも素質がないと魔法なんて使えないんだろう。

属性とかあんのかな。…つうか、バルファの基本設定はどんなだ。属性に合ってないとダメとか。いや…。


「なんでもいい。さっさっと教えろ」


巨大な星のパワーとかまでなくていい。ちまっとしたのでいいんだ!


「くっくっ。いい性格してんじゃないか。ますます気に入った。よし、俺が手取り足取り…いでっ。なにすんだシャルハ。ああ?!」

「魔法は国内においても機密事項。まして、異世界人に教えるのはもっての他です!」


チッ。やっぱりそうか。


「いいじゃねえか。別に。素質なかったら出来ねえし」

「駄目です!大問題になりますよ!」


ぱっと見半端ない威力あるからな。悪用されては大変だ。たとえたいしたことない魔法でも、それを足がかりに魔法開発されかねない。


「えー、では、次はお昼にいたしましょうか」


案内のリーンさんが、2人の言い合いに困り、次に進むことに決めたらしい。

そして、移動を始める俺達だが、それでも言い合いが続いてた。仲いいんだろう。

ちょっと羨ましいな。俺にはそこまでの人間関係はない。

移動して、白い建物で昼食だ。

ひゃっほう!と内心テンションを上げて料理を待つ。

「………………」

「どうしたの?オミ」


メリルは何かのジュースを飲んでいる。花の蜜とかだろうか。


……俺の目の前にはクリームシチューに酷似した料理。

ゲテモノ料理は勘弁願いたいが、こう…、少しくらい異世界らしさがほしかった。


「大丈夫だよ?異世界の人が食べても毒にならないって検査済みだって聞いてる」

「検査…」


妖精からそんな現実的な言葉を聞くと思わなかったが、現実的には、そうだよな。


「そうか…」


異世界人に配慮した料理なんだろうと考え、クリームシチューにしか見えない料理を食べることにした。


「野菜は微妙に違うな」

「世界が違うから、まったく同じものはないよ?」

「ああ。そうだよな」


味は馴染みのものとほぼ同じだったが、野菜の形、色、触感が違った。感動で少し目が潤みそうだ。

今俺は、異世界バルファを味わってんだよな…。


「そんなに美味しかった?よかった」


感動する俺を見たメリルも自分のことのように喜んで空中をくるくる回ってる。




それから次はバルファの世界の動物との触れ合いタイムだ!

これは事前に知らされていたことで、ものすごく楽しみにしていた。


「庭にはいろんな動物や幻獣がいるのよ。オミはどんな動物に会いたい?」

「そうだな…」


すでに他の人はおのおの好きな動物に会いにいってる。

一番人気はドラゴンだろう。この世界でも少なく、この世界の住人すら、滅多に見ないというのだから、これほどすごい機会はないだろう。

しかし、


「んー…、メリルは知ってるかな?これくらいの大きさで、猫みたいで黒くて羽があるやつ」


大きさは普通の猫より少し大きいくらいで、だけど、猫のようなスリムな感じでなく、大型猫科の子供のような感じだ。体の割に小さな羽があるが、それで飛んでいる。

一見可愛いだけのようだが、その目には気品を感じとれる。
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