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征服2

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「あれ? 珍しいですね。こんな早くに」

「ああ…、早く目が覚めたんでな」

「そうですか?」


生徒会室には副会長の三原がいた。今日は会いたくなかったが、やはり仕事が溜まっているから早くに来たんだろう。

俺が早いことを気にしていたが、俺の様子には気づかないようで、内心安心する。とくに会話することなくすぐに仕事を始めた。

仕事が終わると、その日もまたあの男が来ないかと警戒しまくったが、そんなことはなく、そう何度もあるわけはないとの考えになり、少し嫌な気分だがそのベッドで眠った。


そして数日が経ち、男はもう来るはずもないと思いこんだが。



「く…、ふ……、うあっ」


また全く同じようにあっさりとあの男に身体を蹂躙される。そして数日ごとに何度となく繰り返されることになった。


「はあ、はあ、てめえ、一体どういうつもりだ?」


嫌な話、精神的にも身体的にも慣れてきた俺は、行為が終わった後に男に話しかけた。
不快さで吐くことなく精神を保てるのはこの男の見目がいいからかもしれない。それも腹立たしいが。

あんなに激しくしてたってのに、男はいつもの余裕の表情だ。色気は出ているが、元からだしな。


「どう、とは? この行為がなんであるか、知らないわけじゃあるまい?」

「そうじゃねえ、どうして俺を選んだ? 会ったこともないだろう。お前ならいくらでも寄ってくる相手はいるだろう。それこそ、こんな面倒なことしなくてもいいような」


この学園には男ばかりといっても、美人や美少女かのような男もいる。そして俺は、体格のいい、タチだ。

そういうのがいいって趣味の奴もいるだろうが、趣味なら、よけいに俺でなくてもいいはずだ。

まだ身体は行為の名残が残っているのが不快で俺は眉を寄せてそこから意識をそらす。


「なるほど。確かにそうだな。お前からすれば自分はリスクがある相手だというわけか」

「おい? その言い方だとたいしてリスクはないのか?」


手引きする奴は相当の立場なのか?


「まあな。詳しくはまだ言えないが。そうそう、明日からはよろしく頼むよ生徒会長」

「は?」

「知らないか? まあ、急に進めた話だしな。明日から留学生として学園に世話になる。名はハルガ…リブリードだ」

「な……」


そんなこと全く聞いてない。男が流暢な日本語でも外国の者だろうと思っていたが。


「歳いくつだよ」

「ん? 17だ」

「同じかよ…」


外国の人間で若いとは思っていたが、体格や余裕から年上だと思っていた。…そう思いたかったのかもしれない。

そして言っていた通りに男は留学生として学園にやってくる。


遠くからやってきたばかりですなんて顔だが、昨日寮に出没したんだ。それも何日も前から。つまりとっくに近くにひそんでいたんだろう。

あの顔は、この学園では評判になるだろうと思っていたが、あの野郎、でかい猫かぶって優等生なふりをしていて、あっというまに一番の噂のまとだ。


「リブリードさん…、素敵な方ですね…」


副会長も奴を案内をした時は警戒していたのに、数日で心酔している。

恋する乙女なごとく思いをはせているようだ。


「それより早くその書類を教師のところに持っていけよ」


書類持ったまま、ぼんやりとして動いてない。精神どっかいったか。


「……ええ。分かってますよ。…会長」

「なんだ?」

「彼を嫌っているのですか?」

「別に。なにも思ってない」


憎んでもいい相手だと思うが、あの事を別にすればどうでもいい。


「そうですか? 彼はこの学園で大きな人気を得ると思いますよ?」

「…なにが言いたい?」

「いえ…、ただ…。それをあなたが阻止するのはよくないですよ?」

「…そんなくだらないこと言ってる暇があるなら書類を届けてこい」

「…わかりました…」


少し眉を寄せて副会長は生徒会室を出ていった。
あいつは俺があの野郎を妬んでいるんじゃないかと言いたいのだろう。

そして、そんなことをするなら許さないと牽制してきた。

あれのどこがそこまでいい? 変態だぞ。




「くくっ。そうだな否定はしない」


変態だって言葉も余裕に受け入れるとか腹立つ。

また、俺の部屋にいた留学生の男。いつものようにことに及んで、その後に副会長のやりとりを思い出して、変態のどこがいいんだと、言ってしまった。愚痴みたいで、これでは本当に妬んでるようだ。

男は笑いながら俺の頭を引き寄せ額に口付けた。

けっして受け入れたわけでなく、こういうさりげないことも、抵抗することが難しいのだ。気づいたらされている。


「お前はなにが目的なんだ」


前にも似たようなことを聞いたが、結局言わなかった。


「それはどこを聞きたいのか分からないが、俺が留学したのは仕事の関係もあって前々からセリのことは関係なく決まっていた。どこに行くか考えていた時にセリの情報が入ってな。興味本位でここにした」


なんで俺の名前である瀬里と呼ぶかはもう無視するとして、興味本位で来たというのは態度からして本当なのだと分かったが。


「チッ。わざと大事なこと言ってないだろ」

「フッ…。少し迷っている。言ったものかどうか」

「それは…」


こいつにとって知られると不利になる話か? それとも…。
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