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第二章
第十二話
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アスターはミチルの部屋をくぐり、ミチルの眠るベットの上に上った。ミチルはアスターの気配を感じてとっさに寝転んだ。
「あ、アスターおはよう」
「おはようって、もう夜だよ」
「うん、わかってる。起きてたもん」
ミチルはベットのわきに絵本を忍ばせていた。長老に渡されたものだった。ミチルはその本をアスターに見せた。
「この話、よくできているのよね。なくなってしまうと思われた女の子がいけにえによって永らえるんだよ」
「・・・・・・へぇ、よかった。助かるんだ」
そこには人に囲まれた黒猫がいた。人々は槍を持ちその猫を射ようとしている。
「うん、でもね。なんだか悲しいお話なの。そう感じるんだ」
アスターはミチルの話を聞いてふと真剣な顔になった。
「でも僕はね、この猫は幸せなんだと思う」
ミチルは不思議そうな顔をした。どうして?とたずねる。
「この猫はきっと女の子を救えてよかったと思ってるよ」
アスターはその絵を見下ろして言った。
「そうか、そうねきっと」
ミチルはその悲しみの影には気づけずにアスターを抱き寄せた。
「眠り歌を歌いましょう」
「あ! 懐かしい」
その眠り歌は風にそよぐような花が揺らめくような、そんな音色を奏でた。そして二人は安らぎの中に眠りについた。
「あ、アスターおはよう」
「おはようって、もう夜だよ」
「うん、わかってる。起きてたもん」
ミチルはベットのわきに絵本を忍ばせていた。長老に渡されたものだった。ミチルはその本をアスターに見せた。
「この話、よくできているのよね。なくなってしまうと思われた女の子がいけにえによって永らえるんだよ」
「・・・・・・へぇ、よかった。助かるんだ」
そこには人に囲まれた黒猫がいた。人々は槍を持ちその猫を射ようとしている。
「うん、でもね。なんだか悲しいお話なの。そう感じるんだ」
アスターはミチルの話を聞いてふと真剣な顔になった。
「でも僕はね、この猫は幸せなんだと思う」
ミチルは不思議そうな顔をした。どうして?とたずねる。
「この猫はきっと女の子を救えてよかったと思ってるよ」
アスターはその絵を見下ろして言った。
「そうか、そうねきっと」
ミチルはその悲しみの影には気づけずにアスターを抱き寄せた。
「眠り歌を歌いましょう」
「あ! 懐かしい」
その眠り歌は風にそよぐような花が揺らめくような、そんな音色を奏でた。そして二人は安らぎの中に眠りについた。
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