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第一部

9.新しい日常

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 翌朝、まだ体調が万全でないというのに、エミール・ヴェルナー・バイアーは力の入らない身体でふらつきながら、身支度を整えていた。

 人体への悪影響を考えると、治癒能力はあまり使わない方がいい――――それは、これまでの人生経験の中で得た知識だ。ティオにとっては豆知識のようなもの。
 だからエミールについても、後々の事を考えて必要最低限の治療のみを行っていた。


「ちょっ……! 危ないですよ、殿下!」
 ――朝ご飯を用意するために、ちょっと席を外した間になんて事を考えるのよ、この人は!!!
 ひとまず、手に持っていた流動食をテーブルの上に置き、ティオ・ファーバーはエミールへと向き直る。
「……面倒をかけてすまない。これほどまでにしてくれたのに、ろくな礼をすることもできず……申し訳ない」
 まるで別れの挨拶をするかのように頭を下げるエミールに嫌な予感がして、ティオが彼を問い詰めると、彼は早晩この孤児院を出て行くつもりだったことを白状した。

 彼が何者かの襲撃を受け、あのような惨状に陥っていたであろうことは容易に想像が付く。しかし、ティオに推察できるのはそこまでだ。まさか彼の元婚約者の浮気相手、レイモンド・マクラウドが刺客を差し向けていただなんて、ティオは予想だにしていなかった。
 ティオは平民だ。だから、王侯貴族がそこまで愚かだなんて思いもしなかった。実際目にした今でさえ、ある程度の知能と常識は持ち合わせていると……心のどこかで思っていたのだから。


「ここにいると君達に迷惑をかけることになる」
「そんなことありません! 殿――」
「――はもう王族じゃない」
 殿と言いかけたティオの唇を指で制し、エミールは静かに言う。まるで己に言い聞かせるように。
「何も、返すことができなくて、本当に申し訳ない。君は、この国のため……民の為に惜しみない協力をしてくれていたのに、結局何も返せなかっ――」
「話を勝手に終わらせないで下さい!!」
 それ以上の言葉を遮るように、ティオは大声で叫んだ。

 ――エミール殿下は頑固だ。このまま彼の言葉に流されてしまえば、次に会う時は…………冗談じゃない!

「そっちが勝手に一人で決めて一人で行くって言うんなら、私だって勝手に決めて勝手について行きますよ!」
 ティオのいきなりの発言にエミールは驚いて固まる。内容にも驚いたが、有無を言わぬ圧を感じて。
「しかし……」
 ティオの剣幕に押されて、一瞬流されそうになる己を叱責するも、あの時あの森で自分が感じた絶望的な無力感を思い出し、言葉に詰まる。
 エミールが見せたすきを、肉食系女子であるティオは見逃さなかった!
「迷惑かけるとか、そんなのどこ行っても同じじゃないですか! どこの誰が、こんなふざけた事したのか知りませんけど…………私の方が強いですよ! 絶対私の方が強いので、私が守ります!!! そんじょそこらの衛兵より、私の方がはるかに役に立ちますよ! どこかの誰かに迷惑をかけるなんてこと、私が傍にいる限りそんなことには絶対にさせません!!」
 とどめと言わんばかりに、ティオはそうまくし立て――。
「誰にも迷惑をかけたくないというのなら、私の傍にいればいいじゃないですか。殿下のついでに周りも守ってあげちゃいますよ?」
 と、締めくくった。


「俺はもう王族じゃない。だから……エミールでいい」
「……はい! エミール様!」
「様も敬語もいらないんだが」
「わ、分かった……エ、エミール?」
「うん。ありがとう、ティオ」
 エミールからの頼み事は全部叶えたい。いきなりの呼び捨てとタメ口への切り替えに、ティオは自分が思っていた以上に動揺してしまった。
 ――て……照れる……! な、なんだろう? 今までずっと敬語で敬称呼びだったからかな?
 動揺するティオに向かい、エミールは軽やかに笑った。その笑顔を見て、ティオは彼の笑った顔をあまり見たことがなかったのだと気付いた。今まで笑顔だと思っていた顔も、今の笑顔と比べると鎧のような作られた笑顔だったのだと、ティオはこの時はじめて気付いた。



 ◇


 エミールが孤児院の一員として暮らすようになって半年が経った。
 村の人間も、エミールの正体を知っているが取り立てて口の端にのせるようなことはしなかった。何しろここは辺境の小さな村だ。王太子が誰であろうが、どこかの貴族がもめ事を起こそうが、彼等の生活に変化などない。

 今日も今日とて、エミールの孤児院生活は平和だった。
「エミールさんが勉強を教えてくれるから助かるわ」
「浅学非才の身でお恥ずかしいです」
「……しっかりしてるわねぇ」

 教会の一画を使用して、子供達向けの教室を開いている。
 参加しているのは孤児院の子供達をはじめ、資金的にも土地的にも学校へ通うことのできない子供達も参加している。講師となるのは年長者や、教会から派遣されてくる牧師だ。

「だからスペルが違うって言ってンでしょうがッ!!」
「うるせーババア!」
「なんですって?!」
「うわーんっ、ティオが怒ったぁ……」
「アンタには怒ってないでしょ?! なんで泣く??」

 エミールが講師を務めていた間は大人しかった子供達だったが、休憩のために交替した瞬間から、子供達の大暴走が始まった。エミールはその様子を、楽しげに見ていた。

 これまでの生活水準を維持することはできない。それを苦痛と感じさせないよう、ティオはあらゆる努力を惜しまなかった。
 まず、「固い繊維では肌を傷つけてしまう!」という謎の思い込みの元、リネン類の繊維を木っ端微塵に叩き潰した。次に、「普段の食事内容では身体を壊すかも!」と、朝早くから遠くの畑までして新鮮な野菜をもらってきた。ついでに新鮮な獣を狩って来ることも忘れない。破格の値段で肉屋のジジィに売ってさばいてもらった。彼にここの生活に一日も早く馴染なじんでもらうため、彼に相応ふさわしい役割も二、三見繕った。最終的に孤児院の経営補佐兼講師の座に落ち着きそうだ。

「足りないものがあれば何でも言ってね! すぐに用意するからね! するからね!」
「……うん、ありがとう。でも、そんなに無理をしなくても大丈夫だから。俺もここの生活に慣れたいんだ。君がいるこの空間はとても心地が良いから」
「そ……そう……なんだ?」
「君のお陰だ、ありがとう、ティオ」
「え、えへへ……」

 そう言ってエミールはとても親しみを込めた笑みをティオに向ける。
 日に日に優しくなるその微笑みが、ティオはとてもとても好きだった。





「ティオ様、お久しゅうございます……!」
 学園生活の補佐をしてくれていた修道女のラウラ・アショフが、息も絶え絶えに孤児院へと駆け込んできたのは、そんなある日のことだった。
 その日、小さな村の案内はほぼ終わり、ティオは今日はどこにデートに誘おうかな、と行き先をエミールと共に話し合っていたのだが。

「ど、どうしたの??」
 王都から直接ここを目指してやってきたのかと思えるような大きさの旅行鞄と、何かに追われてきましたと言わんばかりのすり切れた修道服。かつてのエミールほどボロボロな出で立ちではない。だが、修道女がこれほどまでボロボロになるのも珍しい。
今日日きょうびの修道女はどんな修行をしてるワケ?」
 若干呆れたようにティオは言う。ティオはデートの予定が狂ってご機嫌斜めだ。そんな彼女の様子を見て、エミールは苦笑する。
「王都から教会へ戻る道中、魔獣に襲われたんです。退けることには成功したのですが、馬車が大破してしまいまして……」
 その情けない声と、むくれるティオをなだめるように頭に乗せられたエミールの手の温もりに、ティオの機嫌は少しだけ……直った。


 院長ウーテが、孤児院の応接室にラウラを通し、ティオ、エミールがそれに続く。躾の行き届いた要領の良い子供達が、紅茶とお菓子を用意してティオにチップをねだった。ティオは血涙を流しながら、貴重な硬貨を子供達に渡したりしつつ、ラウラの話に耳を傾けることになった。

「そう言えば、今の王都がどうなっているのかご存じですか?」
「え、その話題を選んじゃう?」
 ティオはちらっとエミールへと視線を配り、どうしようか? とアイコンタクトをしてみた。大丈夫だ、とエミールから返答が来る。聞けばそう答えるだろう。彼の表情しぐさ、その全てを総合的に見て――若干の不安は残るが、ティオはラウラに先を促すことにした。

「第二王子のブリクサ・グラーフ殿下が、エミール殿下のお仕事を引き継がれたのですが、そのせいで現場に混乱をきたしております」
 エミールは神妙な面持ちでラウラの話を聞いているが、ティオにはピンと来ない。ティオは平民だ。しかも孤児。王立学園へ通ってはいたものの、本職の方が忙しく勉学にいそしむことはできなかった。
 だから、この期に及んでティオはまだ、王族に対してある種の色眼鏡を通してみていた。この国の代表、賢く偉大な我らの指導者――――謁見の間で、どれほどの愚行を見せられたとしても、あれは一種の気の迷い。頭を冷やせばまともな感性が復活し、民を導きこの国の未来を明るく照らしていくものだと――思っていた。

「両陛下は辺境伯と折り合いが悪いのも災いして、軍備に明るくありません。エミール殿下がそこを補っておられたようですが……。両陛下は、それをそのままブリクサ・グラーフ殿下に丸投げしたため、軍部の指揮系統が崩壊したようです」
「え?」
 ティオはラウラの言っていることが理解出来ない。
 ――え、軍部の指揮を……子供が? え、陛下は?? 常備軍って陛下の陛下による陛下のための軍なんじゃないの??

「失態を払拭しようと、魔獣の生息地ゆえに封印されていた土地を、有効な採掘資源を独占するのは悪だ! と仰って解放して回っているので……近隣の市や村に甚大な被害が出るのも時間の問題でしょう」
「ブリクサ殿下の独断と偏見で?」
「いえ、これは……その、オストワルト公が……」
 オストワルト公、エミールの元婚約者であるベリンダ・オストワルトの父親。
 ――え、なんで公爵がここで出てくる?

「オストワルト公は、以前からをされていたようです。ここ一年で、急速に王都が危機に瀕する事態になったのも恐らく……。しかも、ご自分達を革新派と言い、居もしない神に祈りをささげるのは前時代的だとまで。そんな妄信がこの国を駄目にしているのだと仰って、教会の言うことに耳を貸しません。その……ティオ様のことも、教会の失策の証明だと……」

 ラウラは申し訳なさそうにそう告げる。
 ティオは別に彼等が己のことをどう評価しようと構わなかった。彼等の評価には、ティオの特性や生活を変える力など無い。ティオにとっては無意味なものだ。

 加えて、国や民を守るのは彼等の仕事だと、ティオは考えている。
 だから、自分があの場から引き上げれば、異形の脅威にさらされた王都は窮地を迎えるだろうが、賢い人間が残っているのであれば、何らかの適切な対策を練るだろうと思っていた。
 それだけではない。学のないティオには難しいことが分からない。世界情勢など予測も付かない。そういうことは、分かる人間――徳やら位やらの高い人間がすればいいと思っている。そういった人物は、とてもとても優秀なのだろうとも。彼等にできないのだとしたら、きっと誰にもできないのだろうと、そう、思っている。

 ――そういう人達の中に、貴族のみなさんもいると思ってたんだけど。

「それは王領に限った話なのだろうか?」
 口を開いたのはエミールだ。他貴族の領地でそんなことをすれば、領主は黙っていないだろう。紛争の火種になる。エミールは当然、それを危惧した。彼の表情から全てを読み取ったラウラは、困った顔をして。
「……もめていますね。他にもを出してしまいましたし。社交シーズンであるというのに、ほとんどの貴族が王都を出て自領へ引き上げてしまったようですし。私も、教会の命令で王都を出ました。今はまだ、殿下と懇意にしていた教会騎士団が残っていますが……それも時間の問題だと思われます。王都には、異形に対処できる兵も修道士もほとんどいません。ブリクサ・グラーフ殿下の無謀な指揮で、多くが…………」
 続くラウラの言葉に、その場に沈黙が堕ちる。

 エミールはテーブルの下で、強く拳を握りしめていた……。





「エミール様、随分と柔らかい顔をされるようになりましたね」
「ヤワラカイカオ?」
 夕食後、孤児院の談話室でいつものように子供達に勉強を教えていたエミールを目の当たりにして、ラウラは純粋に驚いていた。
 ラウラにとってはに見えたものだが、ティオにとっては、心の傷が癒えて本来の姿に戻ったという認識なので、ラウラが驚く理由が今ひとつピンと来ない。なので、『ヤワラカイカオ』というものを割と本気で悩むティオだった。

「まあ、ここには王都の喧噪なんて全然伝わってこないからねぇ。平和なモンよ?」
 ティオは小型サイズの喋るの毛繕いをしながら、穏やかな顔でラウラの質問に答えた。当初、ラウラはティオの腕の中にいた白い狼に顔面蒼白となっていたのだが、孤児院にいる幼い子供達を優しく見守るように振る舞う狼に、恐怖心は徐々に無くなっていった。完全に無くなるほどではないが。
 この白い狼、ラウラの予想通りに聖獣と呼ばれる存在なのだが、教育を受けていないティオはそれを知らない。
 エミールもはじめは驚いていたが、徐々に慣れた。最近では、ティオの意志によるものか、エミールに従順な下僕のような動きまでするようになったので、狼の心労を慮る余裕まで身につけていた。

「魔獣がねぇ……大変ねぇ」
 しみじみと言いながら、膝の上の狼の毛繕いをやめようとしないティオに、ラウラは「自分は彼女の真実を毛ほども知らなかったのではないか」と戦慄するのだった。


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