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Part.3 リュート編 1.

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 俺の人生は波乱万丈。とりあえず孤児だ。それをカナエちゃんの叔父夫婦が引き取ってくれて、戦士として成長したわけだが。
 まさかのまさか。世界の至宝とも言えるレイカさんと結婚することになるとは思わなかった。生きててよかった。
 途中何度も死にかけた。というのも、誰に似たのかわからない。俺は極度の方向音痴だ。すぐにどこかへ行ってしまう。故に、子供の頃ライガとカナエちゃんと遊んでいた時はカナエちゃんに魔法で家まで送ってもらっていた。
 流石に成人したあとは、互いに知らずに(ライガと旅に出ていてことも、結婚していたことも、サタハユを追放されていたことも知らなかった)、俺は放浪……と言えば聞こえがいいが旅で彷徨って……というか、迷っていた。
 おかげで、いろんな国の特殊な技を習得できたりとお得な面もあった。俺はどこの国でも強いらしく、各国で権力者の令嬢との縁談が持ち上がっていたようだが、会話ができないのだ。技を習得は身振りでできるが、結婚は身振りでできない。笑って誤魔化していた。と思われる。
 久しぶりにカナエちゃんに呼び出されたら、レイカさんと結婚と言われ、ライガの親父さんに決闘を言い渡され、ちょっと大変だった。この時は特殊な技が役に立った。正攻法でライガの親父さんを倒すのはかなりの難易度だ。ギルドなら超S級だろう。倒す(転倒させる)だけでよかったので助かった。本当に助かった。
「なぁ、あの親父を転倒させるの俺にも教えてくれよ」とライガは言う。
「いやぁ、あれは俺が方向音痴だからこそ習得できたわけで、簡単には教えたくないです。ところで、ライガの事、義兄さんと呼んだ方がいい?」
「やめてくれ。今更逆に気持ち悪い。カナエの事も義姉さんとか呼ぶなよ」
 俺も呼ぶ方として気持ち悪かったから助かった。

「ところでさー、レイカが起きてっこないのって、お前の体力のせいか?」
「多分そうだと思う」俺は素直に言った。
 何?柱の陰からジーっとお義父さんがこっちを見てる。
「俺のレイカちゃんじゃなくなった……」
「しつこいなぁ、親父も。そんなんが、レイカに嫌われる要素だと思う」
 ライガは直球できついな。親父心を抉るような……。
「そのうち起きてくるでしょ?魔力で体力回復もできるんじゃない?」
「いやー、あいつだって魔力の欠乏があるかもしれないぞ」
 そうなのか、俺も自重しないとなぁ。

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