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14話 クリスマスからの元日

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「なぁ、クリスマスパーティーってどんな格好すればいいんだ?」
「他のパーティーと変わりないよ。あ、着ぐるみとか?」
「そうじゃなくて‼世の中のクリスマスデートするカップルは気合入れてオシャレするもんなんだろ?そういうのだよ‼」
――あぁ、ハルカがいるからか…
「デートみたいに二人きりなら張り切りがいがあるけど、あくまでホームパーティーだし気合いなんて入れんくていいだろ」
「ハルカがミニスカサンタコスだったらどうしよう…」
「笑えるな」
――俺はごく自然に言ったのだが
「笑えないよ!ミニスカなんて…。ミニスカに見合う服着てなきゃおかしいだろ!サンタコスだったらトナカイの着ぐるみでも着るさ」
「母さんも妊娠中だし、今年はクリスマスパーティーどうするのか聞いてみようか」
「母さん、今年はクリスマスパーティーどうすんだ?妊娠中だからアルコールもNGだろうし、ハメも外せないだろ?無理も出来ないだろうし。どうするんだ?」
「それなのよねー。残念だけど、今年は家族でクリスマスパーティーはできないわねぇ。翔君とリョウ君とハルカちゃんの3人で楽しみなさい‼」
――俺が中抜けしてリョウとハルカの二人にするか
「さぁ、俺らで企画立てんの大変だー。とにかく頑張ろうぜ」
「3人とは言ったけど、俺中抜けしてお前とハルカの二人っきりにする。服装も気合い入れなおしだ。男性雑誌を読みまくれ!そして一番いい感じなのを選ぶんだ。そのコストはお前持ちだかんな」
「3人って言ってハルカはここに来るかな?」
「毎年恒例だから大丈夫だろ。あとはサプライズだ」


 クリスマスパーティー当日、やっぱりハルカは来た。そして、母さん無理できないからいつもみたいには無理だと告げた。
「そうだよね、アヤメさんに無理させられないよね」
――ごく私服のハルカと俺
 そこにヴァイオリンを持ってなんかすごい高そうな服(着る人によるんだろうな)のリョウが現れた。
「リクエストに応じますよ?レディ?」
――俺は?
「うわー、リョウ君。スゴっ、王子だ!クリスマスだから、なんかクリスマスソングがいいな」
「わかりました」
――ヴァイオリンもうまいなぁ。
「ヴァイオリン、どうしたんだよ?」
「買った。パパの事務所で後払いで」
「ピンからキリまであるだろうに…」
「あぁ、店員さんがおまけしてくれたりした」
――イケメンて得だな
「俺のリクエストは応じてくれるの?」
「レディ優先です。レディ、他にリクエストは?」
「この家の中で聞いてるはずだから、『こんにちはアカちゃん』は?」
「それはいい。きっと胎教にも」

「あら、この音はリョウ君かしら?」
「そうだな、アルコールはないけど…今夜は君に酔おう」
「銀♡この子が生まれてもずっと一緒よ♡」
「何を当たり前の事を♡」

「リョウ・ハルカ悪りぃ、俺他のもてない男にクリスマス誘われてんだ」
「翔…。まさかカラダを売ってるの?」
「なんだよ、ハルカまで腐ってんのか?もてない男の悲しい集まりだよ」
――リョウあとは頑張れよ
 と、これからってとこで
「それなら私もクラスの子から誘われてるのよ。もてない女の悲しい集まり(笑)」
――おう、リョウが残ってしまう…
「仕方ないよ、友達は大事にしないとね」
「片付け任せちゃってごめんね」
「得意だから平気だよ」
 そしてリョウは一人になった。
「なんだよ、リョウが残るのかよ」
「男に誘われてるんじゃなかったのか?」
「そんなのは体調が優れなかったとか何とでも言い訳できる。一人で孤独なクリスマスはキッツイ。それもお前は準備万端だったもんな」
 リョウが涙ぐんだ
「コンタクト入れてるなら、目―擦れねーぞ」
――やっぱクリスマスにかける思いってあったんだな
「もうちょいしたら初詣がある。それは皆で参加だ。ハルカは振袖だぞ」
「振袖とペアルックは紋付袴だろうか?」
「聞いたことない。お前の方が詳しいんじゃね?」
――立ち直るの早いな…

 @玄関
「クリスマスパーティーかぁ、私も参加したかったなぁ」
「公務をして下さい」
――今年はホームパーティーじゃないし、いろいろあったしな。リョウの想い人のことは言えない
「今年はお世話になりました。来年はぜひ自分の水晶を!」
――そして玄関を閉めた


それで元日
「全員集合だな。あけましておめでとう」
「おめでと~」
「おめでとうございます」×4(俺・リョウ・ハルカ・ケルリン)
「皆で初詣だー!ケルリンは悪いが留守番な、騒ぎになっちまう」
「自覚してます」
「今年はアヤメの振り袖姿見れないのか…」
――既婚者は振袖じゃないだろ!留め袖か?
「帯が変な風にお腹を圧迫しちゃったら大変ですもん。銀さん、私が振袖でいいじゃないですか?着付けはアヤメさんですよ?」
「うーん、本人がいいなぁ」
「銀さん、ワガママですねぇ。そして、私に失礼。アヤメさんLOVEなのはわかりますけど」
「そうよ、銀。子供みたいにワガママ言わないで。ほら、銀…」
――ケルリンは聞き取ったらしい。耳いいからな
「あんまりお腹目立たないのかなぁ?と思いきや目立ちますね」
「はーい、また大発表~‼お腹の子は男の子で双子で~す」
――男ばっかり…華がない家だな。食費もかかりそうだし、大変そうだ
「アヤメをめぐる男の戦い…」
「もう初詣行こうぜー」
――両親相手にするのも面倒になってきた
「おみくじひきましょうよ!今年は双子も産まれることだしいい年にしたいわ」
「俺、中吉。恋のライバル現るって双子か?アヤメを取られるもんな。仕事は順調で今より大きな収入の見込みってあるぞ」
――それはあなたの頑張り次第ですよ
「俺は小吉」
――我ながら微妙過ぎるものを引いたもんだ
「あ、俺も中吉。中吉多くないですか?中身はパパのとは違いますよ。秘密です」
「私はなんと大吉~!恋愛運って言っても私には銀がいるし、仕事運って主婦だし、あ、健康運は超良好って」
――なんか言葉の重みが少ない神社だな
「私も中吉。本当に中吉多いですね。私も中身は内緒です」
――小吉の俺って逆にすごくねぇ?
いつものことだけど人が集まってきた。リョウ目当てだな。神社でリョウ待ちしてたんじゃねぇか?
「ママの体が心配。お参りして早く帰ろう」

そしてニンジャ式で帰宅した。母さんの体に負担はかからないようだ。
「ね、すごくやりたいことあるの。ハルカちゃん、協力してくれる?あの悪代官チックにあ~れ~って帯ほどいてみたい‼体の負担にはならない(と思う)の。着替えるし、いいでしょ?」
「今度は私にやらせてくださいね‼」
――親父がポツリと「俺もやりたいな」と言ったのを俺は聞き逃さなかった
「そうか、親父もやりたいのか。ハルカの帯はダメだろ?母さんの帯でやれば?」
――そう言ったら異常に喜んでいた
「銀は子供産んだ後に、二人っきりで楽しみましょ♡」

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