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王宮に戻ってから、早速陛下に予防接種について相談した。

「そうだなぁ。ヒト型でこの国で活動する以上は予防接種は必須かなぁ?ヒト型だが、獣医さんがいいんだろうか?ヒトの医者でいいんだろうか?」
「ヒトだから、ヒトの医者でいいと思います。あと、不慮の事故に備えて接種はこの謁見の間で行うのがいいかと」
「そうだな。生まれて初めてチクっと痛いだろうし。ドラゴン型になる恐れもあるな。街医者の所で行い、被害を出すわけにいかない。被害は最小限に!」
最小限…謁見の間の天井突き抜けが最小限なんだよな…。

さて、ドラゴン達にはどうやって説明するかなぁ?

「ちょっといいか?食事をしているところ悪いが…」
ドラゴンは止まらない。というか聞いてる?食事の取りあいに夢中。

「話があるんだけど、ウォーレス・クーラス・トルネは十分に大人だから大丈夫だよな。えーと、ヒト型でこの国で活動するにあたって、予防接種を受けなければなりません!」
「「「えー!」」」
「俺は悪魔の技だと聞いている」
「そんなの受けるの?いやよ!」
「悪魔の技ではないので安心してください!明日の午前中王宮の謁見の間でしてもらいます。必ず参加してください。そうだ!もう寝ちゃったけど、ちび達も連れて来てくださいね!」


ひどい伝わり方だなぁ。ドラゴンの間ではあれが‘悪魔の技’として伝わってるのか…。

そして、翌日。
「謁見の間にきちんとみんな揃ったね~。よかった、誰か脱走とかするかと思った。さて、ちび達はあっちの先生ね。ウォーレス達はこっち」
「何でリョウは予防接種受けないんだ?」
「俺は色々予防接種受け済みだから、必要ないんだ。みんなは受けたことないでしょ?その違い」

予防接種が始まる。地獄の蓋が開くって感じだ。
ウォーレス、マジかよ?ドラゴン型になった上にブレス?そんなに痛いか?地味な痛さが嫌なのか?
陛下が予め消火隊を用意していたので大事にならなかった。よかった。

ちび達は、よしよし強がり合戦だな。
「俺はこんなのへっちゃらだもん」という声が聞こえる。
へっちゃらじゃなかったウォーレスっていう大人がいるんだけどね。

クーラスとトルネは涙目。ドラゴンは地味な痛みに弱いなぁ。ドーンとした痛みとか攻撃には強いけど、注射とかはダメなのか…。

それにしても…謁見の間の天井は突き破り2回目。いずれも原因はドラゴン化。
これが被害の最小限なのかなぁ?
大人担当のお医者さん怯えちゃったよ。ゴメンなさい。

陛下が時価の3倍の報償を与えたそうだ。すいません。それで許してください。


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