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許せないな
しおりを挟む「ナルサさん、私···」
「状況ならわかってる。
君の『新しいお母様』が来たからね。」
え、あの人が?どうして···
「まったく、めんどくさかったよ。
「クルアちゃんの面倒は新しくお母様になった私がしなくちゃいけないの」、
とか、
「今はまだ慣れないだろうから私は一緒にいてあげたいの」、
とかもうあの人なんなんだろうね。」
よっぽど彼女に、いろいろ言われたみたいでナルサさんは疲れているみたい。
「···ごめんなさい。」
「え、ああ、いやそういうつもりで言ったわけじゃないんだ。
すまない、勘違いさせて。」
ナルサさんがしまった、とばかりに焦って言った。
「まあ、とりあえず今は休みなよ。
状況ならわかってる、けど、君の心境はわからないしあの日君たちがどんな話をしたのかもわからない。
『君が混乱して飛び出した』としか相手は言わなかったからね。
とにかく、詳しくは君が回復してからゆっくり話してくれればいいから。」
そう言って、彼女はおもむろに小さな手で私の頭を撫でてくれた。
不思議とその手に安心できて、気が付いたら眠っていた。
まったく、私のかわいい生徒をこんなに弱らせるなんて大魔王とも言えど許せないな。
それに、私はこの子をあの子に頼まれているからね。
自分のベッドに横たわっているクルアは、安心しきったようにスウスウと寝息をたてていた。
「この無防備な寝顔は昔から変わらないな。」
普段は冷静すぎるところもあって、年相応に見えないこともあるけれど、こうしてみると、
─やっぱりまだ無垢な子供だよ、君は。
不意にクルアがうなされてうぅ、と声を漏らした。
「大丈夫、私が君を守るから。
大丈夫だから安心してお眠り。」
私はこの子を守る。
あの子──クシャーナが必死に最後まで守った大切な子だから。
私のかわいい生徒だから。
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