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連れてこられたのは城の敷地の中で南に位置する塔だった。
「ここの塔はね、魔法や魔法道具の研究をするための施設になっているの。」
塔の中を歩きながらお母様が説明してくれる。
中はいくつもの部屋があっていろいろな魔族が廊下や階段を行き交っている。
「お城の敷地内にはこういうところが他にもあるの?」
「ええ、魔界を支えるための主要施設は大体あるわよ。」
「じゃあ、とーさまが働いている場所も?」
「ふふっ、父様が働いている場所が気になるの?」
「ううん、同じ敷地内にいるのにどうしてあんな今生の別れみたいな顔を毎日するんだろうなって思って。」
「きっと、クルアと少しでも離れたくないのよ。
まぁ、あれは同じ親としては少し引くのだけれどね。」
と、まあいろいろな話をしているとお母様がひとつの扉の前に止まった。
扉には
『入ったら殺す』
とかかれている。
─まさか、ここに入るとかじゃないよね···。
私はお母様を不安げに見た。
しかし、お母様はそんなことはお構いなしに扉を開いた。
─···お母様には字が読めないのだろうか。
開けられた相手もびっくりしたのだろう、中から声がした。
「おい、誰だ扉を開けたのは!!!字が読めねーのか!!?」
失礼、声ではなく怒鳴り声でした。
中にいたのはサングラスをかけたチンピラみたいな魔族だった。
「あら、ここはナルサの部屋じゃなかったかしら?」
「なんだてめぇは!ここは俺様の研究室だ!!
ナルサの部屋は反対側の三階上だ!!」
「そうだったかしら···?
まあいいわ。ご親切にありがとう。」
お母様は扉を閉めた。
「お、おかーさま···?」
「クルア、ごめんなさい。実は私、方向音痴なの。」
お母様がてへっと笑う。
─そういうのは早めにいってくれないかな!!?
それと、字は読もう?
「ここの塔はね、魔法や魔法道具の研究をするための施設になっているの。」
塔の中を歩きながらお母様が説明してくれる。
中はいくつもの部屋があっていろいろな魔族が廊下や階段を行き交っている。
「お城の敷地内にはこういうところが他にもあるの?」
「ええ、魔界を支えるための主要施設は大体あるわよ。」
「じゃあ、とーさまが働いている場所も?」
「ふふっ、父様が働いている場所が気になるの?」
「ううん、同じ敷地内にいるのにどうしてあんな今生の別れみたいな顔を毎日するんだろうなって思って。」
「きっと、クルアと少しでも離れたくないのよ。
まぁ、あれは同じ親としては少し引くのだけれどね。」
と、まあいろいろな話をしているとお母様がひとつの扉の前に止まった。
扉には
『入ったら殺す』
とかかれている。
─まさか、ここに入るとかじゃないよね···。
私はお母様を不安げに見た。
しかし、お母様はそんなことはお構いなしに扉を開いた。
─···お母様には字が読めないのだろうか。
開けられた相手もびっくりしたのだろう、中から声がした。
「おい、誰だ扉を開けたのは!!!字が読めねーのか!!?」
失礼、声ではなく怒鳴り声でした。
中にいたのはサングラスをかけたチンピラみたいな魔族だった。
「あら、ここはナルサの部屋じゃなかったかしら?」
「なんだてめぇは!ここは俺様の研究室だ!!
ナルサの部屋は反対側の三階上だ!!」
「そうだったかしら···?
まあいいわ。ご親切にありがとう。」
お母様は扉を閉めた。
「お、おかーさま···?」
「クルア、ごめんなさい。実は私、方向音痴なの。」
お母様がてへっと笑う。
─そういうのは早めにいってくれないかな!!?
それと、字は読もう?
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