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第3章 終局に向かって

第二十四話 古塔をさがして

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「取りあえずこれくらいかなー」

 必要な薬の素材は市場で大体そろえたはいいが、ユーリがどこにいるかはまだつかめてないんだよな。
 何とかして手がかりを集めなければ......
 その後、他の店に行って聞き込みをしたが、特にユーリに関することや施設についての情報は掴めなかった。

「はぁ、あと一歩なのにここで足止めかよ」

 俺はため息をつきながら、宿に戻った。

「あら、おかえり。 何かあったの?」
「いや、薬の素材は集まったんだけど、ユーリに関する情報がつかめなくて」
「もしかして、明日何処に向かうか決まってないの?」

 リアンは心配そうに聞いてきた。

「ああ、何処かの施設にいるのは間違いないんだ......」

 リアンはそう聞くと、ある提案をした。

「とにかく、一旦夕食でも食べに行きましょ?」

 それもそうだな。
 俺達は夕食を食べに食堂に向かった。

「何を食べようかしら?」


 リアンは、そう言いながらメニューを眺めていた。
 俺も周りが夕食を食べているのを見ていると腹が減ってきた。

「じゃあこれにするかな」

 俺達はメニューを決めて、店員に注文した。

「でも本当にシンが言ってた施設がこのレイアム大陸にあるの?
「ああ、それは間違いない。 施設から出た時一瞬だけど雪が見えたからな」
「他には見えなかったの?」
「他は......」

 そう言っている間に、頼んだ料理を店員が運んできた。

「ひとまず食べから話すよ」

 そう言うと、リアンは頷いた。

 俺が頼んだのは、海鮮丼だ。
 リアンは何を頼んだのか見ると、リアンも同じのを頼んでいた。

「初めてだね、同じ物を頼むなんて」

 リアンはにっこり笑いながらそう言った。
 俺は、そうだね、っと微笑みながら答えて夕食を済ませた。

「さて、話しの続きなんだけど途中である事を思い出したんだ」
「なに?」
「あのとき、雪と古びた塔のようなものを見たんだ」
「塔?」

 すると、黙り込んだ。
 何か心辺りあるのだろうか?

「......もしかしたら北にある多次元の古塔のことかもしれない」
「多次元の古塔?」

 どこか別の次元にでもつながっているのだろうか?
 俺はとっさにそんな事を考えていた。

「ええ、レイアムで塔って言ったらそこしかないはず......」

 多次元の古塔か、となるとそこを目指せばいいのか。
 俺達はその後、部屋に戻った。

「夕食も食べたし風呂にでも入るかな?」

俺はタオルを持って風呂へ向かった。

「にしても、のんびりと湯に浸かるのは久しぶりだな......」

ここ最近は忙しくてあんまり落ち着いて湯に浸かれなかったしな。
とはいえ、あまり気を緩めると何かあった時に対処できないし、もう少ししたら上がるかな。

俺はそれから五分位して、風呂から出た。
せっかくだし、牛乳でも買うかな。
近くの売店で俺は牛乳を買い、一気にぐいっと飲み干した。

「ぷはぁー、これも久々だな!」

俺はつい声を出してしまった。
何か、売店の店員が一瞬驚いてこっちを見てきたが、すぐに元に戻った。

でも、こうしてみるとアイツと決着を着けた後、四大陸の温泉巡りも悪くないな。
幸い薬作りで資金は、充分稼げるしな。

ま、後の事を考えても仕方ないか。
その後は、すぐに部屋に戻り、少しリアンと他愛のない話をして眠りについた。

「さぁて、そろそろ向かうか」
「向かうって、シンは何処に塔があるのか分かるの?」

あ、そうだったわ。

「取り敢えず、塔までは案内するけどそこからはあなた次第よ」
「ああ、塔までの案内を頼む」

俺はリアンに付いていき、古塔に向かった。
すると、向かってる途中でリアンがある忠告をしてきた。

「後、言い忘れていたけど塔の中には絶対に入っちゃ駄目よ」
「分かった、気をつけるよ」

しかし、何でリアンは古塔の事に詳しいんだろう?
俺はリアンに付いていっているうちにそんな疑問が頭に浮かんだ。

「なあ、何でリアンはそんなに塔の事を知っているんだ?」

 俺は、気になっていたことをリアンに聞いた。
 すると、リアンから思ってもいない答えが返ってきた。

「......わからない、ただあの塔の中に入ったらいけないことだけは覚えているの」

 もしかしたら、リアンと塔は何か関係がありそうだな。
 にしても、まだつかないのか。

 港を出てすでに五時間ぐらいは経過していた。
 本来なら四時間で着くはず、なのにさっきから塔は見えているのに全然近づけていないような......

 しかも目の前が、霧がかかっているように見えるし。

「なあリアン、何かこの辺り変じゃないか? 変な霧も出てるし」
「え、霧なんてどこにも出てないわよ」
「え!?」

 そんなはずは.......
 俺は目を擦り、もう一度辺りを見渡した。
 しかし、目の前には霧が漂っていた。

「駄目だ、何故か目の前がかすんでいる」
「大丈夫? 少しは見える?」
「ああ、足元はかろうじてはっきりと見える」

 しかし、なんで俺の視界にだけ靄がかかっているんだ?
 すると背後から、腕に針を、刺された。

「いたぁ!?」

 俺はすぐ振り向くと、そこには杖のような物を加えた動物がいた。
 視界がかすんでいるため何の動物かはわからなかったが。

「シン! 大丈夫?」
「ああ、それよりこいつは一体......」
「杖を咥えた狐にやられたみたいね」

 狐? 
 しかも杖を咥えているなんて、まるで動物の魔法使いだな。
 ってもしかして、こいつってユーリの手先か?

 だとしたら、俺の視界が霞んでいるのもこいつのせいだろう。

「シン、離れて! こいつの相手は私がするわ」
「分かった」

 俺は目の前の動物から離れた。
 すると、少しだが視界が晴れた。
 となると原因はやはりこいつだったのか。 

 その後、しばらくリアンが戦っている内に、視界が晴れてきた。
 恐らく狐の魔力が残り少ないからだろう。

「これで!」

 声と共に、リアンは石ころサイズの氷の礫を狐の杖に放った。
 礫は見事に杖に命中して、狐が咥えていた杖は、ポキッと折れた。

 すると、俺の視界は完全に晴れた。
 それと同時に、狐もこれ以上は無理だと判断したのか、折れた杖を咥えてどこかへ消えた。

「ありがとう、リアン」
「気にしないで」

 俺達は、少し休憩してまた塔へ向かった。
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