メッセージは料理名?

殿原しん

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Episode2 遠くへ

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「たなやん。ツッチーが……」
「 ん?間違って酒でも飲んだ?」
「イヤ、そうじゃなくて………………しっ……、死んだ」
「は?何の冗談だよ?笑えない」
「俺だって笑えねーよ!!」
   
 電話口から聞こえるそれは、とてもふざけているようには聞こえない。

「説明しろ」

 思ったより低い声が出た。

「二時間くらい前に、あいつの家の最寄りで別れて」

 いつもよりだいぶ小さいカマの声が震えている。

「帰ってきて寝てたら、今さっきツッチーのお姉さんから電話あって……それで起きて」
「それで?」

 立ったまま壁に寄りかかる。

「部屋で、首っ…………」
「ツッチーって、そういうことするタイプじゃないだろ?もっと軽やかでさ。要領良くてさ」
「………………」

 黙ったカマに、悪いドッキリを期待する。修は話しながら、少しずつ冷静さを取り戻してきた。

「それにさ、カマ。なんでお前、お姉さんの連絡先知ってんだよ??」
「ツッチーん家行った時に交換したから」

(あったな、そんなこと)

「で。本当は?」
「お前ら、俺のことなんだと思ってんだよっ!!」

 クル辺りにも同じことを言われたのだろう。

「ドッキリなら、もう良いから。ネタバラシして」

 だいぶ平坦になってきた修の声。

「信じないならもう良い。藤にも電話しないとだから」

 やけに真面目そうな返しに、これまでカマやみっつんから、仕掛けられた数々のドッキリを思い出す。

(今日はディテール拘ってんな……)

「後でツッチーに謝っとけよ?」

 いくらなんでも不謹慎過ぎる内容に、釘を刺した。

「………………」

 言葉をなくしたカマとの通話を切り、ツッチーへとスマホの画面をタップする。

『ツッチー、月曜日カマとみっつんに昼奢ってもらわん?』

 さっきの電話が尾を引いて、数分置きに携帯へと手が伸びてしまう。

 数日前は、あんなにこの差に怖気付いていたというのに。

(大丈夫だって。あのツッチーだぞ?確かに意外と、秘密主義ではあるけど。それだってほら。後々教えてくれたりするし)

 手元がずっと落ち着かない。ざわつく夜が更けて行った。
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