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最終章
04
しおりを挟むひどい二日酔いのように頭も体も重い。
瞼の向こうから届く光に目が覚めたが、重い頭が持ち上がらず、目を開ける気にもなれない。
身動ぎすると、肌にシーツの感触が届く。靄がかかったように記憶が昏い。少し体を動かすだけで頭に痛みだか重みだか分からない負荷がかかり意識を落としそうになったが、右手に走った痛みで踏みとどまった。
泥中から昨夜の記憶を探る。忌々しい子爵に薬を盛られて―――見張りの下郎を殴り飛ばし、店を出て馬車を拾ったところまでは覚えている。ベッドにいると言うことは無事に帰宅したのだろう。
肌寒さにシーツを引っ張って身体を丸めようとすると、体が腕の中の何かに乗りかかる。重い瞼に力を入れる。やっと開いた目に、見慣れた妻の寝室が写った。
乾いた血液に汚れた己の腕の中、血痕の散ったシーツの上で、上半身をはだけた妻の白い身体がぐったりと横たわっていた。
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