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第二章 浮遊島は星々と共に。
第25号 少年と飛空艇探索。
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戻って、ヒルト達の飛空艇。ヒルトは艇内を探索していた。
「は……うわぁぁ!」
ただ、今は目を輝かせている。
「これも!あれも!本に書いてあった物とそっくりじゃないか!!」
うわぁうわぁと、今にも跳び跳ねそうな気持ちを声で抑える。
ここは艇内にあるただの物置部屋である。そこは部屋の名前どおり、ガラクタで埋め尽くされていた。しかしヒルトにとっては、いや、地上の人々にとっては、いわゆる古代の遺物の入った宝物庫である。
ヒルトは近くにあった薄い長方形の物を手にとる。
「これは確か…解体したら細かい電子部品が出てきたとかって…。」
これ遺物の中でもかなり昔のだったはずだけど…すごいなぁ…。
目をつむり感動にひたる。
備考として、ここに解説を置いておこうと思う。この世界の人々の間では、はるか昔に今では考えられないような科学があった、ということは一般常識となっている。
今までも沢山もの遺物を解体、分析を行ってきたのだ。しかし、どれも現時点、扱えるようなものは指の数に等しかった。原型をとどめていて、かつこの時代の科学の追いつけられるような物、それが条件であった。まあ、この遺物達のおかげと言うべきか、時代は急激な進歩を遂げたのだが、これはまた、備考の備考と言える。
さて、話を戻そう。
「それにしても、なんでこんなにこんな物達が…。」
嬉し半分、疑問に思う。我に帰ったようにしばらく考え込む。
「…。あれ。そーいえば…。僕の今乗っているコレって……?」
んー?あっれー?
実際にはないが、大量の冷や汗が額から爪先にかけて下っていった、ような感覚が残る。
「くじらじゃんかっ……!!」
(え?いや、確かに今までそんな節は所々あったよ?や、んーでも…えぇー!?)
頭を抱え込む。
くじらとは、ヒルトの追いかけてきたものとは、簡単に言うのならば空を永遠と飛び続ける無人の飛空艇。永遠やらなんやらについては、何処かの誰かがロマンチックに付け足したものではあるが、それらを省けばかなり、この飛空艇はくじらと言っても過言ではない。
(というか、くじらの識別範囲が広すぎるんだよ!?)
心の中だけで愚痴を放つ。
いざ、今まで憧れ(共に敵意も)を向け続けてきた物に乗ってみると、実感がないどころか多少の罪悪感が襲ってくる。
(ま、敵意を向けるなら、くじらじゃなくてあれに乗ってた奴らだけどな…。)
少し現実を見直す。ついでに頭の後ろをかく。
ふと、後ろを見てみた。別に理由があった訳ではない。周りをぐるっと見る間のことだったのだが、最終的には「後ろを見た」ということになった。
何せ、部屋の外__窓の外に人影が見えたのだから一瞬でも気になるというものだ。
そして、そのあるはずもない人影にヒルトは、懐かしさを感じた。ただ、それだけのことである。
「……。」
そんなことあるはずがない、と持ち直した。きっと、幻覚でも見たのだろう、取り敢えずはそういうことにしておいた。
忘れてそのままにしていた、頭の後ろの腕をゆっくりと下ろす。
「…。よっし!他の部屋も見に行くぞ!」
おー!と、片腕を天井に上げる。
ヒルトは自分一人しかいないこの部屋で、意味のない空元気を出した。
ところで、ヒルトが気付いた人影は、実際気のせいでしかなかった。しかしそれは人影についてであって、もしかするなら本当に「何か」が窓の外にいたのかもしれない。
(気のせい、なのかな…。今とても…とても懐かしいものを見た気がする…。)
そしてとある場所で、また一人の少女がこう、感じたのだった。
「は……うわぁぁ!」
ただ、今は目を輝かせている。
「これも!あれも!本に書いてあった物とそっくりじゃないか!!」
うわぁうわぁと、今にも跳び跳ねそうな気持ちを声で抑える。
ここは艇内にあるただの物置部屋である。そこは部屋の名前どおり、ガラクタで埋め尽くされていた。しかしヒルトにとっては、いや、地上の人々にとっては、いわゆる古代の遺物の入った宝物庫である。
ヒルトは近くにあった薄い長方形の物を手にとる。
「これは確か…解体したら細かい電子部品が出てきたとかって…。」
これ遺物の中でもかなり昔のだったはずだけど…すごいなぁ…。
目をつむり感動にひたる。
備考として、ここに解説を置いておこうと思う。この世界の人々の間では、はるか昔に今では考えられないような科学があった、ということは一般常識となっている。
今までも沢山もの遺物を解体、分析を行ってきたのだ。しかし、どれも現時点、扱えるようなものは指の数に等しかった。原型をとどめていて、かつこの時代の科学の追いつけられるような物、それが条件であった。まあ、この遺物達のおかげと言うべきか、時代は急激な進歩を遂げたのだが、これはまた、備考の備考と言える。
さて、話を戻そう。
「それにしても、なんでこんなにこんな物達が…。」
嬉し半分、疑問に思う。我に帰ったようにしばらく考え込む。
「…。あれ。そーいえば…。僕の今乗っているコレって……?」
んー?あっれー?
実際にはないが、大量の冷や汗が額から爪先にかけて下っていった、ような感覚が残る。
「くじらじゃんかっ……!!」
(え?いや、確かに今までそんな節は所々あったよ?や、んーでも…えぇー!?)
頭を抱え込む。
くじらとは、ヒルトの追いかけてきたものとは、簡単に言うのならば空を永遠と飛び続ける無人の飛空艇。永遠やらなんやらについては、何処かの誰かがロマンチックに付け足したものではあるが、それらを省けばかなり、この飛空艇はくじらと言っても過言ではない。
(というか、くじらの識別範囲が広すぎるんだよ!?)
心の中だけで愚痴を放つ。
いざ、今まで憧れ(共に敵意も)を向け続けてきた物に乗ってみると、実感がないどころか多少の罪悪感が襲ってくる。
(ま、敵意を向けるなら、くじらじゃなくてあれに乗ってた奴らだけどな…。)
少し現実を見直す。ついでに頭の後ろをかく。
ふと、後ろを見てみた。別に理由があった訳ではない。周りをぐるっと見る間のことだったのだが、最終的には「後ろを見た」ということになった。
何せ、部屋の外__窓の外に人影が見えたのだから一瞬でも気になるというものだ。
そして、そのあるはずもない人影にヒルトは、懐かしさを感じた。ただ、それだけのことである。
「……。」
そんなことあるはずがない、と持ち直した。きっと、幻覚でも見たのだろう、取り敢えずはそういうことにしておいた。
忘れてそのままにしていた、頭の後ろの腕をゆっくりと下ろす。
「…。よっし!他の部屋も見に行くぞ!」
おー!と、片腕を天井に上げる。
ヒルトは自分一人しかいないこの部屋で、意味のない空元気を出した。
ところで、ヒルトが気付いた人影は、実際気のせいでしかなかった。しかしそれは人影についてであって、もしかするなら本当に「何か」が窓の外にいたのかもしれない。
(気のせい、なのかな…。今とても…とても懐かしいものを見た気がする…。)
そしてとある場所で、また一人の少女がこう、感じたのだった。
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