上 下
12 / 13

なんで・・・恋愛が嫌いな私が、よりにもよって恋愛シュミレーションゲームの主人公にして転生してるのよ、冗談じゃない!(12話)

しおりを挟む

翌日、学校に現れたカレンの姿は紺色の制服に下は膝下10センチのスカート、そして髪型はポニーテールに髪飾りと言う出で立ちだった。
最初、女子達が戸惑う事もあったけど、チェルシーのおかげでそれほど大きな混乱はなかった。

むしろ男子達の方がカレンに気に入られようと声を掛けてきた
「まさか女だとは思わなかったよ」
「言ってくれたら、色々と助けてあげたのに。 男の俺に頼れば良かったじゃねぇか」
「今の今まで散々嫌みを言ってきたのに今更? てか、男だの女だのと言ってるなんてあんた達、古臭い考え方だね」
カレンのその言葉に、男達は黙って去っていった。

しかし当然、納得できない者達もいる。
そんな者達の不満を解消する為にも、校舎から離れたあの廃れた休憩スペースに一人で行った。

そこへ真っ先に現れたのがソードだった。
「何か用?」
「何か用かだと、ふざけるな! 女のお前が地位や力を手に入れる必要などない、ましてや自ら夫を選ぶ事など言語道断だ! 今すぐ陛下に願いを取り下げてこい」

ソードは吐き捨てるように言った。
「女だからと人の事を見下して、男である自分の価値が上だと勘違いしないで! 私とあなたは同じ人間よ」
今度はカレンが吐き捨てるように言った。

「同じ人間であったとしても、地位や立場や持っている力は違いますわ」
2人の会話に割って入ってきたのは悪役令嬢マーガレット・エヴァーグレイス。
3人の付き人を従えて2人の前に現れた。

睨み合う3人の中でカレンが最初に動いた。

「私は、10年もの間それを考えて得た答えが今なのよ。 それすら否定するのなら、じゃぁ他にどうしろというの? 一生独身でいろって言うのか? ……まぁ私は別にそれでも構わないけど」
カレンの言葉に怒りをあらわにし、詰め寄るマーガレット。
「なっ! 結婚しないなんて、バカにしているのですか?」
じゃぁどうしろって言うのよと呆れていると「なら、俺が嫁にもらってやろうか?」と後ろから声が聞こえてきた。

カレンが振り返るとすぐ後にヴェルディ・ハウザーが立っていた。
ヴェルディはカレンが何かを言う前にカレンの手を取り自分の方に引き寄せた。
体制を崩してヴェルディの腕の中に収まる形になるカレン。
「この時を待っていたよカレン、君を迎えに来た。 俺の嫁」
嫁と言う単語にカレンは以前より感じていたヴェルディに対する違和感に気付いた。

ゲームの中のヴェルディは18歳と言う年齢にもかかわらず学園にいた。
しかしそれはカレンの存在を知り彼女を嫁としたかったが為に入学をずらしたからと言う設定のキャラだった。

しかし自分は男性だったにもかかわらずヴェルディはいた。
ヴェルディは最初から自分が女だと言う事を知っていて、機会を狙っていた。
だが気付くのが遅かった。
それでも何とか冷静を保って手帳に書きとめていた攻略キャラに関するデータを思い出した。

「(ヴェルディ……第5の攻略キャラ、ヴェルディ・ハウザー。 隣国ハウザー公国の第2王子、完璧主義者な理論派、影響力が強く、独創性のある天才肌。 がその反面、執着心が強すぎて、頭ごなしになりやすく、人の言う事を聞かない性格。 今の今まで遠巻きに見てるだけで接触してこなかったのに、なんなんだこいつ)」


カレンは何とかヴェルディの腕の中から逃れようとするが、力の差が大きく離れる事ができなかった。
身長は178センチ、一見して痩せ型に見えるけど鍛えていて力では叶わない。
少し青みがかった黒い髪は腰まで伸びていて、鮮やかな琥珀色の瞳がどことなく不気味に見えた。
「逃がさないよ、カレン」
「悪いけど、すでに先約が入るのよね」
もう一度離れようとするが、やっぱりビクともしない。

「王族との結婚は戦争を意味する。 それはヨルン王子だけじゃなく、あなたもですよ、ヴェルディ王子」
何とか言葉で説得をしようとするも……
「俺の場合は大丈夫だよ。 なぜなら我がハウザー公国はとても小さな国だからね、君を嫁にしたところで誰からも見向きもされない。 それはそれでムカつくから、変えようと思ってるんだ! でも、国を変える為には絶対的な力が必要なんだ」
「国を変えたいなら、私の力じゃなくて、まずは自分の意思を変えなさい」
まずいと思ったのかマーガレットは付き人たちに人を呼んでくるよう指示を出した。

しかしヴェルディもそんなマーガレットの動きを見て合図を出すと、茂みから5人の男達が出てきた。
見るからに怪しいその男の1人が、マーガレットを捕まえた。
「離しなさい! 無礼者、この私は誰と思っているの!」
「さぁね、知らねぇなぁ。 おっぱいがデケーって言う事は分かるんだけどなぁ! 触ってもいいか?」
「いやあ!!」
「やめろ!」
ソードが剣を抜き構える。
残った男達も剣を抜き構える。
そうこうしているうちに、マーガレットの付き人達が他の人を呼んできた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

貞操観念がバグった世界で、幼馴染のカノジョを死守する方法

葉月七里
ファンタジー
モブな俺は、幼馴染で高校イチの美人であるの茜への告白に成功する。 だが、その夜に突然なぜかパラレルワールドへ!? そこは誰とでもスルのが当たり前という、貞操観念がバグった世界だった。 じゃあ茜も!? この世界じゃ誰とでもシテるってこと!? いや、そんなの絶対に耐えられない。 俺は行きあたりばったりの雑な戦法ながら、全力で茜を守ることを決意するのだった─── ちょっと変わったラブコメです。

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

魔物の装蹄師はモフモフに囲まれて暮らしたい ~捨てられた狼を育てたら最強のフェンリルに。それでも俺は甘やかします~

うみ
ファンタジー
 馬の装蹄師だった俺は火災事故から馬を救おうとして、命を落とした。  錬金術屋の息子として異世界に転生した俺は、「装蹄師」のスキルを授かる。  スキルを使えば、いつでもどこでも装蹄を作ることができたのだが……使い勝手が悪くお金も稼げないため、冒険者になった。  冒険者となった俺は、カメレオンに似たペットリザードと共に実家へ素材を納品しつつ、夢への資金をためていた。  俺の夢とは街の郊外に牧場を作り、動物や人に懐くモンスターに囲まれて暮らすこと。  ついに資金が集まる目途が立ち意気揚々と街へ向かっていた時、金髪のテイマーに蹴飛ばされ罵られた狼に似たモンスター「ワイルドウルフ」と出会う。  居ても立ってもいられなくなった俺は、金髪のテイマーからワイルドウルフを守り彼を新たな相棒に加える。  爪の欠けていたワイルドウルフのために装蹄師スキルで爪を作ったところ……途端にワイルドウルフが覚醒したんだ!  一週間の修行をするだけで、Eランクのワイルドウルフは最強のフェンリルにまで成長していたのだった。  でも、どれだけ獣魔が強くなろうが俺の夢は変わらない。  そう、モフモフたちに囲まれて暮らす牧場を作るんだ!

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...