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ゲートの起動を確認して、兵達はフィールド内に待機していた。敵の姿はまだ見えない。
『まだ、敵に動きはありません』
ゲートは沈黙していて、長い緊張状態にある。
美桜は空を見上げて、魔法壁で閉じられた青い空を見る。
(これで、決まる……)
「何を呆けている。気を抜くな」
シメオンが美桜を見る。
「えぇ……大丈夫です」
美桜は笑みを浮かべた。
『ゲートから、何か出て来ました…!!!』
伝達兵の声が聞こえた次の瞬間、何かが美桜達の身体を吹き飛ばした、
「!?」
遅れて爆発音がする。
(防御壁が砕かれた……!?)
美桜は事前に魔法防御をかけて、攻撃を防ぐ準備をしていた。なのに、防御壁はガラスのように簡単に砕かれてしまった。レベル五の上位魔法すら防ぐ壁をである。おまけに、後方に吹き飛ばされた美桜の身体は、中身を押しつぶされるようなダメージを受けた。
「ぐっ……!?」
柵に当って地面に落ちる。
「がはっ、げほっ、げほっ!」
口から吹き出した赤い血に、美桜は驚く。
(内臓がやられてる……!)
肺や腹に鋭い痛みが走る。
「げほっ、げほっ!」
(敵の攻撃を甘く見てた……!)
どんな強力な攻撃でも、美桜の覚えた上位魔法での防御壁なら難なく防げると思っていた。
(違う、これ……呪いなんだ……)
物理攻撃のように見えて、これは呪術の込められた攻撃なのだと美桜にはわかった。怨念の篭った攻撃は、別の概念で防御壁を砕き、美桜の身体を内側から壊す。
「はぁ、はぁ……」
(くらったら、確定ダメージが入る奴なのか……だから、レベルに関係無く兵がやられてしまうんだ……)
美桜は敵に対する認識不足に歯ぎしりする。
(攻撃を解除しなきゃ……)
上位の聖霊詠唱を行い、身体にかかった呪いを解こうとする。しかし、それをはじかれる。
(……ダメだ……向こうとこっちの世界では、呪術レベルが違い過ぎる……こちらの世界の聖霊詠唱では解呪出来ない……回復の効果も打ち消される……魔力も吸われてる……)
その時、美桜は、誰かが立ち上がるのを見た。
「はぁ、はぁ、はぁ……くっ……」
その人は血を吐きながら、剣を地面に突き立てて立ち上がる。
「し、しめおん……さま……」
彼は剣を手に、身体を引きずって歩いて行く。
(だめ、だめです……その先に行っては……)
彼も美桜と同じように内臓にダメージを受けている。なのに、彼は立ち上がり歩いている。遠ざかって行く背中が見える。美桜は必死に手を伸ばす。
(私も、私も行きます……!)
呪いを打ち切る事は出来ず、回復も出来ず、痛覚遮断も使えない。美桜は歯を食いしばって、立ち上がった。
(ここで行かなければ、私はなんの為に、ココにいるの……!!)
片足をあげた拍子に、口から血を吐く。
「げほっ、ごほっ!」
更に歯を食いしばり、剣を握りこんで立つ。
(私は行くんだ! あの人の元へ!!)
二本の足で地を踏んで、遠ざかって行った背中を追いかける。痛みで視界が回り、腹の内臓は明らかにおかしな具合になっていたが、それを無視して歩いた。
彼の後を追って行くと、シメオンが剣を構えてゲート前に置かれた巨大な兵器と対峙していた。魔物の姿は見えない。奇妙な形をした大砲のような兵器だけがおかれていて、青紫の小さな光が筒の中に溜まっていっている。それは周囲から魔力を集め、次の攻撃を準備しているように見えた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
シメオンが走り寄って、その砲台を剣で斬りつける。すると、砲台は魔法壁で守られているようで、彼の剣ははじかれてしまう。
「ぐっ!」
後ろへ吹き飛ばされたシメオンの身体から、煙があがっている。
「シメオン様!」
美桜は彼に駆け寄る。
「生きていたか……」
彼が美桜を見る。
「私も手伝います……!」
「……止めておけ。身体が壊れるぞ」
彼は立ち上がる。彼が剣を握った手は、既に赤黒くただれている。魔法壁に触れると、身体が火傷したようになってしまうらしい。再び走り出しそうなシメオンのマントを握る。
「おやめください!!」
「離せ……!」
「嫌です!! 貴方が、死んでしまう!!」
美桜は泣いている。きっと彼がもう一度死ぬ気で攻撃すれば、あの魔法壁は壊れて大砲は壊す事が出来る。同時に、兵達に放たれた呪いも消えるだろう。けれど代わりに、シメオンは身体を焼かれ死んでしまうのだ。
「私は、貴方が死ぬところを見たくありません!!」
「……私がここで行かなければ、この国は魔物達によって滅ぼされる」
シメオンが美桜を見る。
「おまえは、私をプライドの高い男だと言ったな」
美桜は涙で見えない目で、頷く。
「私もそう思う」
シメオンは笑みを浮かべて、走った。マントは美桜の手を離れ、彼の背中が遠ざかって行く。
「シメオン様!!!」
喉から絶叫が出る。恐怖で、咄嗟に身体が動かない。シメオンの攻撃が魔法壁に当たった瞬間、大きな音が鳴り、彼の身体が焼ける。
「俺もいますよ、兄上!!」
反対側から声がする。なんと、カミロ王子が同じように、魔法壁に攻撃をしていたのだ。
「私もいるよ!!」
空中から、マリアが魔法を放つ。
「俺も手伝います!!」
レオナルドが、鋭い槍を突き立てる。みんな、ぼろぼろだった。それなのに、必死にあらがっている。美桜は涙を拭いて、剣を抜きシメオンの隣に並んで剣を突き立てた。
「「「おおおおおおおお!!!」」」
『ブルーソード!!』
『光破斬!!』
カミロとシメオンがそれぞれ、奥義を使う。
皆の心が一つになり、魔法壁が砕け、大砲が打ち砕かれる。大きな爆発音の後に、五人はふらふらと後ろに下がってへたり込む。
「や、やったぞ。俺達、兵器を壊したんだ……」
「やったじゃん、カミロ様!」
「ぐうぅ……さすがにもう、立っていられません……」
レオナルドが後ろに倒れる。
美桜はシメオンを見る。
彼は酷い火傷を負っていて、倒れて目を閉じている。その姿瞬間、体が冷たくなる。美桜は必死に彼に這いずり寄る。
「シメオン様…!」
美桜は涙を流す。絶望がじわりじわりと美桜の体に這いずり寄る。
「シメオン様!!!」
体に残った、わずかな魔力をシメオンに注ぎ込んで回復させる。
「シメオン様っ! ああぁ!!」
顔を歪めて美桜は泣いた。
(私はなんの為にここにいたの!! 私はなんの為に!!)
「……っ」
すると彼がみじろぎして、目を開けた。
「シメオン様!!」
彼は呆然と空を見た後、美桜を見る。
「私は、生きているのか」
「はい、シメオン様は生きています!!!」
心の絶望が拭い去られる。
「おまえに、助けられたな……」
彼の右手が美桜の頬を撫でた。
「……っ……」
彼が笑みを浮かべた後に、苦しそうに顔をしかめる。
「衛生兵! 早く来てください!!」
美桜は悲鳴をあげる。
「来たぞ!」
ユンバが走り寄って来る。
「ユンバ!」
今回、彼には事前に、戦場の外で待機するように言っておいた。なのでユンバは怪我を負っていない。けれど、こんな早く来てくれるとは思わなかった。
「よし、運ぶぞ。他の衛生兵もすぐ来るから、待ってて!」
シメオンを抱えて、彼はシュシュッと素早く駆けて行った。
「……ありがとう」
美桜は、運ばれていくシメオンの姿を見て、ほっとして気を失ってしまった。
つづく
ゲートの起動を確認して、兵達はフィールド内に待機していた。敵の姿はまだ見えない。
『まだ、敵に動きはありません』
ゲートは沈黙していて、長い緊張状態にある。
美桜は空を見上げて、魔法壁で閉じられた青い空を見る。
(これで、決まる……)
「何を呆けている。気を抜くな」
シメオンが美桜を見る。
「えぇ……大丈夫です」
美桜は笑みを浮かべた。
『ゲートから、何か出て来ました…!!!』
伝達兵の声が聞こえた次の瞬間、何かが美桜達の身体を吹き飛ばした、
「!?」
遅れて爆発音がする。
(防御壁が砕かれた……!?)
美桜は事前に魔法防御をかけて、攻撃を防ぐ準備をしていた。なのに、防御壁はガラスのように簡単に砕かれてしまった。レベル五の上位魔法すら防ぐ壁をである。おまけに、後方に吹き飛ばされた美桜の身体は、中身を押しつぶされるようなダメージを受けた。
「ぐっ……!?」
柵に当って地面に落ちる。
「がはっ、げほっ、げほっ!」
口から吹き出した赤い血に、美桜は驚く。
(内臓がやられてる……!)
肺や腹に鋭い痛みが走る。
「げほっ、げほっ!」
(敵の攻撃を甘く見てた……!)
どんな強力な攻撃でも、美桜の覚えた上位魔法での防御壁なら難なく防げると思っていた。
(違う、これ……呪いなんだ……)
物理攻撃のように見えて、これは呪術の込められた攻撃なのだと美桜にはわかった。怨念の篭った攻撃は、別の概念で防御壁を砕き、美桜の身体を内側から壊す。
「はぁ、はぁ……」
(くらったら、確定ダメージが入る奴なのか……だから、レベルに関係無く兵がやられてしまうんだ……)
美桜は敵に対する認識不足に歯ぎしりする。
(攻撃を解除しなきゃ……)
上位の聖霊詠唱を行い、身体にかかった呪いを解こうとする。しかし、それをはじかれる。
(……ダメだ……向こうとこっちの世界では、呪術レベルが違い過ぎる……こちらの世界の聖霊詠唱では解呪出来ない……回復の効果も打ち消される……魔力も吸われてる……)
その時、美桜は、誰かが立ち上がるのを見た。
「はぁ、はぁ、はぁ……くっ……」
その人は血を吐きながら、剣を地面に突き立てて立ち上がる。
「し、しめおん……さま……」
彼は剣を手に、身体を引きずって歩いて行く。
(だめ、だめです……その先に行っては……)
彼も美桜と同じように内臓にダメージを受けている。なのに、彼は立ち上がり歩いている。遠ざかって行く背中が見える。美桜は必死に手を伸ばす。
(私も、私も行きます……!)
呪いを打ち切る事は出来ず、回復も出来ず、痛覚遮断も使えない。美桜は歯を食いしばって、立ち上がった。
(ここで行かなければ、私はなんの為に、ココにいるの……!!)
片足をあげた拍子に、口から血を吐く。
「げほっ、ごほっ!」
更に歯を食いしばり、剣を握りこんで立つ。
(私は行くんだ! あの人の元へ!!)
二本の足で地を踏んで、遠ざかって行った背中を追いかける。痛みで視界が回り、腹の内臓は明らかにおかしな具合になっていたが、それを無視して歩いた。
彼の後を追って行くと、シメオンが剣を構えてゲート前に置かれた巨大な兵器と対峙していた。魔物の姿は見えない。奇妙な形をした大砲のような兵器だけがおかれていて、青紫の小さな光が筒の中に溜まっていっている。それは周囲から魔力を集め、次の攻撃を準備しているように見えた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
シメオンが走り寄って、その砲台を剣で斬りつける。すると、砲台は魔法壁で守られているようで、彼の剣ははじかれてしまう。
「ぐっ!」
後ろへ吹き飛ばされたシメオンの身体から、煙があがっている。
「シメオン様!」
美桜は彼に駆け寄る。
「生きていたか……」
彼が美桜を見る。
「私も手伝います……!」
「……止めておけ。身体が壊れるぞ」
彼は立ち上がる。彼が剣を握った手は、既に赤黒くただれている。魔法壁に触れると、身体が火傷したようになってしまうらしい。再び走り出しそうなシメオンのマントを握る。
「おやめください!!」
「離せ……!」
「嫌です!! 貴方が、死んでしまう!!」
美桜は泣いている。きっと彼がもう一度死ぬ気で攻撃すれば、あの魔法壁は壊れて大砲は壊す事が出来る。同時に、兵達に放たれた呪いも消えるだろう。けれど代わりに、シメオンは身体を焼かれ死んでしまうのだ。
「私は、貴方が死ぬところを見たくありません!!」
「……私がここで行かなければ、この国は魔物達によって滅ぼされる」
シメオンが美桜を見る。
「おまえは、私をプライドの高い男だと言ったな」
美桜は涙で見えない目で、頷く。
「私もそう思う」
シメオンは笑みを浮かべて、走った。マントは美桜の手を離れ、彼の背中が遠ざかって行く。
「シメオン様!!!」
喉から絶叫が出る。恐怖で、咄嗟に身体が動かない。シメオンの攻撃が魔法壁に当たった瞬間、大きな音が鳴り、彼の身体が焼ける。
「俺もいますよ、兄上!!」
反対側から声がする。なんと、カミロ王子が同じように、魔法壁に攻撃をしていたのだ。
「私もいるよ!!」
空中から、マリアが魔法を放つ。
「俺も手伝います!!」
レオナルドが、鋭い槍を突き立てる。みんな、ぼろぼろだった。それなのに、必死にあらがっている。美桜は涙を拭いて、剣を抜きシメオンの隣に並んで剣を突き立てた。
「「「おおおおおおおお!!!」」」
『ブルーソード!!』
『光破斬!!』
カミロとシメオンがそれぞれ、奥義を使う。
皆の心が一つになり、魔法壁が砕け、大砲が打ち砕かれる。大きな爆発音の後に、五人はふらふらと後ろに下がってへたり込む。
「や、やったぞ。俺達、兵器を壊したんだ……」
「やったじゃん、カミロ様!」
「ぐうぅ……さすがにもう、立っていられません……」
レオナルドが後ろに倒れる。
美桜はシメオンを見る。
彼は酷い火傷を負っていて、倒れて目を閉じている。その姿瞬間、体が冷たくなる。美桜は必死に彼に這いずり寄る。
「シメオン様…!」
美桜は涙を流す。絶望がじわりじわりと美桜の体に這いずり寄る。
「シメオン様!!!」
体に残った、わずかな魔力をシメオンに注ぎ込んで回復させる。
「シメオン様っ! ああぁ!!」
顔を歪めて美桜は泣いた。
(私はなんの為にここにいたの!! 私はなんの為に!!)
「……っ」
すると彼がみじろぎして、目を開けた。
「シメオン様!!」
彼は呆然と空を見た後、美桜を見る。
「私は、生きているのか」
「はい、シメオン様は生きています!!!」
心の絶望が拭い去られる。
「おまえに、助けられたな……」
彼の右手が美桜の頬を撫でた。
「……っ……」
彼が笑みを浮かべた後に、苦しそうに顔をしかめる。
「衛生兵! 早く来てください!!」
美桜は悲鳴をあげる。
「来たぞ!」
ユンバが走り寄って来る。
「ユンバ!」
今回、彼には事前に、戦場の外で待機するように言っておいた。なのでユンバは怪我を負っていない。けれど、こんな早く来てくれるとは思わなかった。
「よし、運ぶぞ。他の衛生兵もすぐ来るから、待ってて!」
シメオンを抱えて、彼はシュシュッと素早く駆けて行った。
「……ありがとう」
美桜は、運ばれていくシメオンの姿を見て、ほっとして気を失ってしまった。
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