神獣の花嫁

綾里 ハスミ

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 目を開けると、白い天井だった。しかし、それはあの世界の天井とは違う。

「蛍光灯……」

 手を伸ばすと、右腕にほうたいが巻かれて、透明な管が出ていた。目で追いかければ、吊るされた点滴のパックが見える。

「あ……」

 水天は起き上がる。すると、背中にひきつるような痛みを感じた。

「つぅ……」

 足音がして、周りを囲うように閉められていたカーテンが開く。

「ダメですよ、いきなり起き上がっちゃ」

 入って来た白い服を着た看護師が、水天をベッドに戻す。カーテンの向こうには窓があり、遠くにビルの並ぶ町並みが広がっていた。

「あなた、背中を縫ってるんだから、急に動いちゃダメよ。また、傷が開いちゃうわよ」

 看護師に注意されながらベッドに寝た水天は、ぼんやりと天井を見上げる。
 背中の痛みは本物だ、これは夢ではない。

(じゃあ、あっちが夢だったのかな……)

 しばらくして医者がやって来たが、水天は上手く返事をする事が出来なかった。とりあえず、背中に刺し傷があって、病院に入院してから二ヶ月間も寝ていたらしい。
 しかし彼らが立ち去った後、恐ろしい事が起きた。
 病室の扉を開いて、父親がやって来たのだ。

「どういう事だ」

 父が鋭く睨んで来る。

「一人で生きていいけると言ったから、一人暮らしを許可したんだぞ。それが、一年たらずでこんな問題を起こして……刺されただって? どうせ、碌でもない連中とつるんでいたんだろう」

 父親の冷ややかな目を見て、水天は自分の身体がすくむのを感じた。

「どうせなら、そのまま死んでくれたら良かったものの……」

 父は心底残念そうに言う。

「おまえの住んでいたアパートは引き払った、何ヶ月も家賃んを滞納していたようだしな。退院したらウチの家に来い。一人で置いておいたら、また妙な事を起こしそうだからな」

 それだけ言って、父は出て行った。この冷たさ、これは紛れもない現実なのだと思い知った。
 二ヶ月の間で、一応背中の傷が落ち着いてるので、すぐに退院する事になった。
 水天は血の気の引く思いで、父の車の後部座席に乗って家に帰った。
 家につくと、父が水天の手を引いて、家の横の倉庫に歩いていく。

「っ」

 倉庫が開かれて、そこに身体を投げ捨てられた。

「懐かしいか、おまえの家に帰って来たぞ」

 荷物の積まれたプレハブ小屋は、ちっとも懐かしくなんてなかった。

「良いか、今日からおまえはココから一歩も出るな。餌は適当に運んでやる。けして、ここから出るんんじゃない。良いな」

 水天は小さく頷いた。こういう時、頷かなければ父が殴るのをよく知っていたからだ。

「よし、いい子だ。賢い犬なら飼ってもいい」

(もう、家族でもないわけだな……)

 この世で唯一血の繋がりのある父は、倉庫の扉を叩きつけるように閉めて、出て行った。もちろん、扉は鍵が閉められた。プレハブ小屋には、窓が付いていたが。外が見えないように、外型から厚い板が打ち付けられている。

 水天は小屋の中を探って、古びた毛布を身体にまとう。寒い冬の倉庫で、震えながら一夜を過ごした。


***


 水天の倉庫での生活は単調だった。生活と言える程、上等なものではない。

 基本的に一日中倉庫の中に閉じ込められていて、たまに水や残飯が投げ込まれる。そして、週に一度、汚物の入ったバケツを自分で処理する為に庭に出された。その時だけ、水天は外に出る事が出来た。いつも、父が鋭く監視しているので、逃げ出す事は出来なかったが。一度、逃げ出そうとしたら、すぐに捕まって、その後は首輪と鎖を付けられた。たまに、水天にとって兄や弟と言う立場の奴らが倉庫にやって来て水天に暴力を振るって来る事もあったが、疲れきった水天には、ただ縮こまって耐える事しかできなかった。

 真っ暗な倉庫の中で、幾度目かわからない夜を迎える。

 身体が、ガタガタ震えている。寒すぎて、歯の根が合わない。この死ぬような寒さを知っている、きっと外で雪が降っているのだ。

(あれは夢……良い夢だったな……)

 遠い過去となった、荒唐無稽な甘い夢を思い出す。

 自分の母になってくれた優しい老婆、いつも心配してくれた兄、優しい友人の神官達、そして水天を愛してくれた神獣。

 ずっと我慢していた涙が落ちる。あれを夢だと思いたくなかった。こんな辛い現実に帰って来たくなどなかった。

(俺、死ぬのかな……)

 もう何日もまともな物を食べていない。水だって飲んでいない。治ったはずの腹の傷が熱を帯びている。身体がガタガタと震えて、心臓が奇妙に激しく鳴っている。

(死んだら……また、あの夢の場所に行けるかな……)

 水天は、静かに目を閉じた。





 神雷は、水天の存在がこの世界から消えた事に気づいた瞬間、体をその場所に飛ばした。都の使いとの謁見中だったが、そんな事気にしていられなかった。

 そして、降り立った庭で、女が小刀を手に目を見開いているのを見つけた。全身から強い邪気を放つ、恐ろしい女だった。

「し、神獣様」

 狼狽える女の持つ小刀は、先が赤く濡れている。地面にも血が落ち、それは傍の池の方向まで点々と落ちていた。

「ここで何をしている」
「……」

 女は黙っている。藤の花が女を責めるように、風でざわめく。

「お、男に襲われたのです」

 女は小刀を隠す。神雷は女の傍に寄り、腕を強く握って小刀の刃を見た。べったりとついた新しい血から、水天の気配が感じられた。

「刺したのか」
「仕方がないではありませんか! あの男が襲って来たのだから」

 女は身をよじり、逃げようとする。しかし、瞬間女の体に光が落ちた。

「ーーー!!」

 女は目を見開き、悲鳴を上げたようだが、その声は神雷の耳に届く事はなかった。雷に打たれた女の体が灰になり、握った腕もハラハラと崩れ落ちた。女が嘘を付いているのなど明白だった。死ぬ前に女が落とした小刀を拾う。やはり水天の気が感じられた。神雷は、彼の落ちたらしい池を見下ろす。しかし、もうそこに水天の気は無い。

 彼はもうここにいなかった。





 水天を失った神雷は、必死に彼を取り戻す方法を考えた。帰った異邦人を、再び呼び戻す方法。神気を帯びた彼は一つの結論を出した。

『迎えに行くしかない』

 呼ぶ事は出来なくても、神雷が彼の世界に行く事は可能なように思えた。あいにく、彼の血が手元にあった。これを縁にして、彼の気配を探れば世界を渡る事も可能な事のように思えた。ただ、それを為すには今の神雷には神気が足りていなかった。

 水天を失なったまま、神雷は『降臨の儀』を行い、霊山に籠って神気を溜め続けた。



 夜、霊水で作られた酒を、神雷は一人飲む。これも、神気を体に溜める為に接種している物だった。酒気が強く、胃が焼けるのを感じる。あまりこの酒が得意でなかった神雷は、以前は飲んでいなかった物である。けれど、最近はよくコレが必要になった。目を閉じると、不安で押しつぶされそうになる。必ず彼を連れ帰ると心に決めている。けれど、それが失敗に終わった時を想像して、胸が痛くなった。彼の世界にたどり着けないかもしれない。たどり着いた世界で時の流れが大きくずれていて、もう彼は死んでいるかもしれない。もしくは、水天はこちらでの記憶を忘れているかもしれない。いろいろな不安が、頭に浮かぶ度、神雷は振り払うように酒を飲んだ。

「神雷様」

 声をかけられる。華明が、心配そうに見ている。 

「今夜はもうその辺りで止めましょう。いくら、霊酒といっても、飲み過ぎはよくありません」

 華明が、瓶の蓋を閉じる。神雷は杯から手を離した。こうして酒を飲んでいたら、水天がひょっこり現れて、止めてくれないかと夢想する時があった。そんな事は一度も起こらないのだが。

 右頬に涙が落ちるのを感じた。それに気づいた華明が、布で拭ってくれる。

「華明、私は夢を見ていたのだろうか」

 彼との日々が、遠い事に感じられる。

「いいえ、水天様は夢や幻ではありません。あの方は、確かにココにおられました」

 神雷は華明を見る。

「だから、心を強く持ってください。水天様もきっと、待っておられます。自信を持ってください、神獣に出来ぬ事は無いのですから」  

 神雷は頷いた。

「あぁ、ありがとう華明」

 彼女はいつだって、自分を励ましてくれた。
 神雷は立ち上がる。

「心配をかけてすまない。少し、儀式の間で祈りを捧げて来る」
「えぇ、お気を付けて」

 神雷はしっかりとした足取りで部屋を出た。今の神雷に出来る事は、準備を万全に行い、自らを信じる事だけだった。





 一年の準備を終えて、神気を溜めた神雷は、ついに『世界渡りの儀』を行った。初めて行われる儀式、怯える神官達もいた。失敗すれば、神獣がこの世界から永遠に失われる事がわかっていたからだ。けれど彼らは、神雷に協力してくれた。

 儀式の間で、朱色の礼服を着た神官達がずらりと並び、祈りの言葉を捧げている。組まれた木の中で、炎が強く燃えている。ロープで仕切られた結界の中、華明の打ち鳴らす鈴の音を聞きながら神雷は目を閉じた。手には、水天の血のついた布を持っている。

 広い空間を飛んでいた意識が、ぴたりと一つの場所に引き付けられて行くのを感じた。

「飛ぶ」

 体がそちらに引っ張られて、神雷はそちらの世界に飛んだ。体が空に浮き、大きな龍の姿になり、そのまま高い空へと昇って行った。





 目を開けて、神雷は用心深く周囲を見た。雪が降っている。白い雪は厚く降り積もり、周囲の景色を覆い隠している。しかし、ココが自分の居た世界と違う事は肌の感覚でわかった。空気があまりにも違った。重い空気に、神雷は顔を歪める。この世界の空気は、どこもこんな風に淀んでいるのだろうか。

 振り返ると、四角い建物のような物が見えた。材質は木と石が組み合わさった物のようだった。そして、その家の庭の中に視線が引き付けられる。神雷は足早に近づいて、その扉に手をかける。鍵を壊して、中に入る。

「!」

 神雷は駆け寄って、倒れた男を抱き上げる。

「水天!」 

 いつから風呂に入れられていないのか、水天の体と服はひどく汚れていた。それに、抱き上げた体が軽い。骨が背中に当たる。唇は荒れ、目の下にクマが出来ている。顔色が悪く、まるで死んでいるようだった。

 口に耳を当てて、彼の呼吸の音を聞く。小さいが、彼は息をしている。その事に、心の底から安堵する。しかし、目を覚まさない。彼が弱っているのは明白だった。そして、どうして彼がこんな仕打ちを受けているのか理解できなかった。

 水天の記憶を読む。この世界に帰って来た彼の身に何が起きたのかを知りたかった。

「っ……」

 酷い記憶だった。彼は父親に、兄弟に虐げられていた。人が人に対して、これ程醜悪な事を出来るのだと信じたくなかった。そして、そんな事を彼らは水天が生まれたからずっと行って来たのかと思うと、強い怒りが生まれるのを感じた。

 水天に自らの神気を分け与えて生気を取り戻させた。彼の体を厚い布で覆い、狭い部屋の中に暖かい光を置いた。水天の呼吸が落ち着くのを見て、神雷は立ち上がった。

「少しだけ待っていてほしい」

 狭い小屋を出て、彼の家族のいる家の中に入った。神雷の怒りに呼応するように、周囲を雪が舞った。



 鍵を壊して扉を開けて中に入る。部屋の中は驚く程暖かった。水天の居た小屋の中の冷たさが思い出されて、怒りがわく。

(何故、彼を家に入れてやらない)

 連れ子とは言え、父親とは血が繋がっている。血のつながりのある子どもを何故、虐げられる。
 笑い声の聞こえる部屋の扉を開けた。突然入って来た神雷を見て、談笑がぴたりと止まる。父親と、水天の兄と弟、そかれから女が神雷を見ている。

「な、なんだおまえは!!」

 父親が立ち上がり、慌てて小さな刃物のような物を構えた。

「何故、彼を中に入れてやらないんだ」

 沈黙が落ちる。

「何を言ってるんだ」
「どうして、外の小屋にいる彼を家の中に入れてやらなかったのかと聞いているんだ」
「あんたなんなんだ! この家から出て行け!」

 男が傍にあった、四角い物を投げる。それを神雷は、手を前に出して宙で止めた。

「!」

 驚く気配がする。

「ま、マジックか?」
「いや、あんなの無理だろ」

 兄弟達がコソコソと何か話している。
 物を投げられる度に、神雷は宙で全て止めた。次第に彼らの顔色が変わり始める。自分達が、常識で測れない物と対峙している事を、ようやく理解したらしい。

「もう一度聞く、何故彼を家族の輪に入れてやらなかったんだ」
「あれは、家族ではないからだ! 答えたぞ! ほら、出て行け!

 刃物が投げられる。神雷はその刃物を宙で操って、弟の方に投げた。太ももに刃物が刺さる。

「うわあああ!!!」

 悲鳴が上がる。

「な、なんて事をするんだ!! 殺す気か!!」
「同じ事をしたまでだ。おまえも、あの子に同じ事をしただろう、あれは十歳の頃だったか?」

 今の神雷には水天の過去が全てわかった。彼らが、水天に何をして来たのか。
 指を鳴らして、台所からヤカンを運び、兄の背中にかけた。

「ぎゃあああ!!!」

 熱湯をかけられた兄は、悲鳴をあげて床を転がる。

「これは、六歳の頃だったか……」

 父親を指さして、女の方に指をずらす。
「殴れ」
「や、やめて!」

 女が叫んで逃げようとする。 

「か、体が勝手に動くんだ!」

 父親は、女に馬乗りになって顔や体を殴り始めた。

「ぐっ! あっ!」

 殴られる度に女は悲鳴をあげた。神雷はしばしそれを眺めた。女がぐったりして動かなくなった。父親が立ち上がる。

「や、やめろ!」
「おまえはコレが好きなんだろう?」

 引き出しから、小箱を取り出す。蓋を開けると、沢山の待ち針が入っている。針を宙に浮かせて、男の右腕に刺した。
「っ!!!!」

 今度は左腕に。次は背中に。

「痛い!!! 痛い!! やめてくれ!!」
「針は沢山ある、遠慮はするな。おまえがあの子に刺したのと同じ場所に全て刺してやろう」

 それから、たっぷり時間をかけて水天がこれまで受けて来た虐待を全て彼らに体験させた。
 最後は虫の息だったが一応生きてはいた。
 部屋の中の暖房器具を壊す。暖かな部屋が冷たくなっていく。
 床に転がった彼らが呻く。

「運が良ければ、生き残れるんじゃないか。雪の日に寒い小屋に彼を閉じ込めた過去の自分達を悔いるんだな」

 神雷が外に出ると、闇の中で雪は一層深く積もっていた。今夜はとても冷えそうだ。
 小屋に入り、布で包まれた水天を抱き上げる。神気を分け与えたおかげか、先ほどよりも水天の顔色は良かった。

「では、帰ろうか水天」
「しん、らい……」

 目を閉じた彼が、寝言を呟く。その言葉に、神雷は笑みを浮かべた。外に出て、空へと飛んだ。もうここに、用は無い。



 
つづく

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