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婚約(ミッシェル[ヘンリー]視点)
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スタンリッド伯爵家のお茶会に招待された。
母と私とブランシュとマックスの4人で伺う事になった。
お茶会といってもスタンリッド家と我が家のふた家族だけの気軽な会だ。
姉も行くつもりだったが、ハワード様が思いのほか狭量で姉を自分のエスコートなしで他家のお茶会に行くのをよしとしなかったので、今回は遠慮することになった。
スタンリッド伯爵家とうちは領地が隣同士。父母もアカデミーの同級生らしく、交流はあったようだが、まだ子供が小さかったので家を行き来するまでではなかったが、私とクロヴィスが同じクラスで友達になった事で、また交流が始まったのだ。
「今日はお招きいただきましてありがとうございます」
「こちらこそお越しいただきありがとうございます」
母達は堅苦しい挨拶をし、お互いに噴き出し笑っている。
「やっとお茶会ができるようになったわね」
「本当に。一番下がやっと5歳。ちょっと楽になったわ」
私はブランシュとクロヴィスにここで運命の出会いをさせなくてはならない。
「クロヴィス、妹のブランシュだ。10歳なんだ。よろしく頼む。ブランシュ、こちらはクロヴィス。私の友達だ。仲良くして欲しい」
なんとか紹介した。
「クロヴィスです。よろしくお願いします」
「ブランシュと申します。よろしくお願いします」
ブランシュのカーテシーもバッチリ決まった。
「あらあらお見合いみたいだわね」
母が楽しそうにしている。
「本当。でも本当にブランシュちゃんがクロヴィスのお嫁さんになってくれたら嬉しいわ」
スタンリッド夫人ナイス!!
「そうね。いいわね。でもまだもう少し先でいいのではないかしら。そのうち好きな人ができるかもしれないし、婚約してしまったらその時に解消するのも辛いし」
母はブランシュが傷つくことになるのが嫌なようだ。ふたりが離れることなんてあり得ないのに。
母達の会話を遮るようにクロヴィスが前に出た。
「母上、シューナアス夫人、私はブランシュ嬢と結婚したいと思います。他の人を好きになることなどありません。必ず幸せにします。ブランシュ嬢と結婚させて下さい」
クロヴィスよ、なんでそんなに前のめりなんだ?
まさか巻き戻す前の記憶があるのか?
だからクロヴィスもブランシュと近づくために私に近づいた?
なきにしもあらずだな。まぁ、今は記憶については触れないでおこう。
私は息子なのに兄だから説明がややこしい。
母はクロヴィスに近づき手を取った。
「まぁ、嬉しいわ。ブランシュはどう? クロヴィス様のお嫁さんになる?」
ブランシュどう返事するんだ? 私はブランシュを見た。
ブランシュは恥ずかしそうにしているが顔を上げた。
「はい。クロヴィス様のお嫁さんになりたいです」
母はブランシュの手を取りクロヴィスの手と重ねる。
「一旦持ち帰ってギルバート様と相談しなきゃならないけど、反対するようなことは何もないし、フローラはどうかしら?」
母はスタンリッド夫人に尋ねた。
「うちも私の一存ではお返事できないけど、何の問題も無いと思うわ。セシルが戻ってから話をして正式に婚約を申し込むわね」
母達に依存はないようだ。
「クロヴィスが弟になるなんて変な気分だけどうれしいよ。クロヴィス、ブランシュを頼むね」
「あぁ、命に変えてもブランシュ嬢を愛し守り抜くと誓う」
クロヴィス、重いよ。これは絶対記憶があるな。13歳の男が初めて会ったばかりの女の子に吐くセリフじゃ無い。
私はクロヴィスにも巻き戻す前の記憶があるとこの時確信した。
後日正式にスタンリッド家から婚約の打診があり、クロヴィスとブランシュの婚約が決まり、結婚はブランシュがアカデミーを卒業してからということになった。
私はそれからもクロヴィスとの友情を深め、義兄上と戯けて呼んだりして『辞めてくれ~気持ち悪い』と嫌がられている。
まだ、巻き戻した話はクロヴィスに言っていないが、もし、ルブラウン家に変な動きがあればブランシュを守るために打ち明けるつもりだ。ただ私がふたりの子供に生まれ変わることは内緒にしておくつもりだ。
姉上と婚約したランディス公爵家との共同事業もはじまり、ブランシュとクロヴィスが婚約した。今のところルブラウン家が付け入る隙はないはず。
しかし、油断してはならない。私は必ずあの男を叩き潰す。
母と私とブランシュとマックスの4人で伺う事になった。
お茶会といってもスタンリッド家と我が家のふた家族だけの気軽な会だ。
姉も行くつもりだったが、ハワード様が思いのほか狭量で姉を自分のエスコートなしで他家のお茶会に行くのをよしとしなかったので、今回は遠慮することになった。
スタンリッド伯爵家とうちは領地が隣同士。父母もアカデミーの同級生らしく、交流はあったようだが、まだ子供が小さかったので家を行き来するまでではなかったが、私とクロヴィスが同じクラスで友達になった事で、また交流が始まったのだ。
「今日はお招きいただきましてありがとうございます」
「こちらこそお越しいただきありがとうございます」
母達は堅苦しい挨拶をし、お互いに噴き出し笑っている。
「やっとお茶会ができるようになったわね」
「本当に。一番下がやっと5歳。ちょっと楽になったわ」
私はブランシュとクロヴィスにここで運命の出会いをさせなくてはならない。
「クロヴィス、妹のブランシュだ。10歳なんだ。よろしく頼む。ブランシュ、こちらはクロヴィス。私の友達だ。仲良くして欲しい」
なんとか紹介した。
「クロヴィスです。よろしくお願いします」
「ブランシュと申します。よろしくお願いします」
ブランシュのカーテシーもバッチリ決まった。
「あらあらお見合いみたいだわね」
母が楽しそうにしている。
「本当。でも本当にブランシュちゃんがクロヴィスのお嫁さんになってくれたら嬉しいわ」
スタンリッド夫人ナイス!!
「そうね。いいわね。でもまだもう少し先でいいのではないかしら。そのうち好きな人ができるかもしれないし、婚約してしまったらその時に解消するのも辛いし」
母はブランシュが傷つくことになるのが嫌なようだ。ふたりが離れることなんてあり得ないのに。
母達の会話を遮るようにクロヴィスが前に出た。
「母上、シューナアス夫人、私はブランシュ嬢と結婚したいと思います。他の人を好きになることなどありません。必ず幸せにします。ブランシュ嬢と結婚させて下さい」
クロヴィスよ、なんでそんなに前のめりなんだ?
まさか巻き戻す前の記憶があるのか?
だからクロヴィスもブランシュと近づくために私に近づいた?
なきにしもあらずだな。まぁ、今は記憶については触れないでおこう。
私は息子なのに兄だから説明がややこしい。
母はクロヴィスに近づき手を取った。
「まぁ、嬉しいわ。ブランシュはどう? クロヴィス様のお嫁さんになる?」
ブランシュどう返事するんだ? 私はブランシュを見た。
ブランシュは恥ずかしそうにしているが顔を上げた。
「はい。クロヴィス様のお嫁さんになりたいです」
母はブランシュの手を取りクロヴィスの手と重ねる。
「一旦持ち帰ってギルバート様と相談しなきゃならないけど、反対するようなことは何もないし、フローラはどうかしら?」
母はスタンリッド夫人に尋ねた。
「うちも私の一存ではお返事できないけど、何の問題も無いと思うわ。セシルが戻ってから話をして正式に婚約を申し込むわね」
母達に依存はないようだ。
「クロヴィスが弟になるなんて変な気分だけどうれしいよ。クロヴィス、ブランシュを頼むね」
「あぁ、命に変えてもブランシュ嬢を愛し守り抜くと誓う」
クロヴィス、重いよ。これは絶対記憶があるな。13歳の男が初めて会ったばかりの女の子に吐くセリフじゃ無い。
私はクロヴィスにも巻き戻す前の記憶があるとこの時確信した。
後日正式にスタンリッド家から婚約の打診があり、クロヴィスとブランシュの婚約が決まり、結婚はブランシュがアカデミーを卒業してからということになった。
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姉上と婚約したランディス公爵家との共同事業もはじまり、ブランシュとクロヴィスが婚約した。今のところルブラウン家が付け入る隙はないはず。
しかし、油断してはならない。私は必ずあの男を叩き潰す。
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