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弟が来た

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 弟のマリウスとテオドールがお見舞いに来てくれた。

 マリウスも複数での移動魔法が使えるようになったらしい。

「本来なら姉上が家督を継ぐべきなんですよ。私より魔法の腕も力もあるんですから」

 それはそうだが、私はそれを見込まれて王太子の婚約者になったんだ。

「これからのラメルテオンは家督を継ぐとかあまり関係なくなるだろうな。初代のプレジデントは貴族だけど、公爵じゃなくて侯爵だしな」

 あぁ、マチルダ姉様の夫か。

「マーロックス侯爵は野心家だからね。マチルダ姉様もあの人のせいで親を裏切った」

「でも、マチルダ様はミカルディスを嫌っていただろう。別にあの人のせいじゃないよ」

 2人の話はなんだか盛り上がっている。私は蚊帳の外っぽいな。

「マチルダ姉様はいま、学校を辞めて、国の仕事をしてるよ。ただミカルディスの娘だから肩身が狭いみたいだ。陰口を言う人もいる」

「マーロックス先生は味方なのにな。そんな人がいるラメルテオンに未来はないと思う。みんなで一緒にいい国するために頑張らないといけないのに」

 ラメルテオンはまだ上手く行っていないようだ。

 国が変わると言うのは大変な事だと思う。民からしたら何故国王が失脚したのかよくわからないだろう。

 国王も王妃もいい人だったので民からは人気があった。

これからのラメルテオンは貴族と民の距離を近くしたいそうだが、なかなかむずかしいだろうな。ゾニサミドを見本にすればいいと思う。



「そうだ姉上、私達が今日来たのは元王妃様の具合がかなり悪いんだよ。それで姉上、遠隔で回復魔法がかけられないかと思ってさ」

 マリウスが真面目な顔で言う。遠隔?

「遠隔? やった事ないわ。そんな事できるのかしら?」

「マチルダ姉様がさ、何処でそんな事を書いた文献を読んだそうで、姉上ならできるかもしれないって言うんだ」

 王妃様には元気になってほしい。私はディート様の顔を見た。ディート様は難しい顔をしている。

「遠隔はできない事はないが、元王妃は心を病んでいるのだろう。それが身体の回復の障害になっているようだ。
 心の回復魔法は対面でも難しい。遠隔でできるだろうか?」

「私がやってみます」

「だめだ。まだ万全じゃない。今無理をしたらまた回復が遅れる。獣人の回復師に頼んでみてはどうだろうか?」

 獣人の回復師なんているのか? 知らなかった。

「義兄上、紹介してもらえますか?」

「もちろんだ」

 マリウスとテオドールはディート様と一緒に回復師の元に向かった。

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