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闇堕ち?

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 私は真っ暗な世界にいた。手足は動かせるが、立ち上がる事はできない。目を開けてみるが暗すぎて何も見えない。
ここはどこなのだろう?

 息が苦しい。臭いもひどい。

 私はきっとあのもやの中にいるのだろう。もやから抜け出さねば。

 私は魔法でもやを浄化しようと呪文を唱える。しかし、もやは浄化されるどころか濃くなっているようだ。

「エル、無駄だよ。エルの魔法はこの瘴気に取り込まれていて効かないんだ」

 この声はカール様か?

「カール様、どういう事ですか?」

 暗闇なのでどこにいるのかわからない。

 声だけが聞こえる。

「エルが私を騙したから、私はエルに復讐するんだ」

「騙した?」

「そうだよ。死んだって騙したじゃないか。私は本当に哀しかったんだ」

「カール様にはミレーユ嬢がいるでしょう。私が消えた方がおふたりは幸せでしょう?」

 逆恨みか? 訳がわからない。
、「ミレーユは捕まったよ。ミレーユも私を騙していたそうだ。エルは知ってたんだろう? 知ってて私を見捨てて死んだふりをして逃げた」

 闇堕ちか? 湖に落ちた時に瘴気の水をたくさん身体にいれたので、さっき、スキャンした時は身体の中は瘴気が蔓延していた。

 まさか、魔獣に?

 人間は瘴気を取り込んでも魔獣化しないと言われていたが、両親を殴り飛ばしたり、私を連れて逃げたり、本来のカール様にはそんな力も体力もない。

 闇堕ちして魔獣になっているのか?

「エル、エルが言うことを聞くなら許してあげるよ。今からでも遅くない。戻ってきて私と一緒に国を繁栄させよう」

 カール様がうしろから私の肩をガシッと掴んだ。

「カール様、無理ですわ。もうラメルテオン王国は無いのです」

「国を売ったのか?」

「売ったのではありません。クーデターです」

 真っ暗でカール様の表情がわからない。

「そうか、なら作ればいいだけだ」

 作る? 

「エル、一緒に新しい国を作ろう。私を騙したラメルテオンの者達など皆殺してしまえばいい。お前と私ならできる。もう裏切ることは許さない」

 私の肩を握る手に力を入れている。痛い。爪が肩に食い込む。血の匂いがする。
私はきっと肩から血を流しているんだろう。


 どうにかしてディート様に連絡を取らなければ。

 お義父様、お義母様の言う通りディート様の帰りを待つべきだった。

 まさか瘴気を取り込んで闇堕ちし魔獣化してるとは思いもよらなかった。本当に手のかかる人だわ。

 私の魔法は効かないようだし、どうしたもんか。

 義両親から話を聞いたら、からなずディート様は来てくれるはず。

 なんとか時間を稼ごう。

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