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学園
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学園に到着した。ここに来るのは4回目だ。入学式には一応来た。そして試験の日と卒業証書をもらった日。また来ることになるとは夢にも思わなかった。
「ハイディ、行くよ」
?
「ハイディ!」
?
「姉上、いいかげんにしてください。ここではハイディでしょ? しっかりしてくださいよ」
「そうだったわ。ごめんなさいね。私はハイデマリー・ニコランジル。大丈夫よ」
弟のマリウスは呆れた顔をしている。今日から学園ではハイデマリーだったことをすっかり忘れていた。
私は職員室に向かう。事情を知っているマーロックス先生と打ち合わせをする。マーロックス先生と私は従姉妹同士で本物のハイディのことも知っている。
「エル、今日からよろしくね。それにしても化けたわね。まったくハイディとは別人だけど、可愛くて弱々しくて守ってあげたくなっちゃうわ」
「マチルダ姉様にはどんな風に見えるの?」
幻影魔法は見る人によっては私だと分かると父はいう。私は幻影魔法で変身している人を見たことがないので、どんな風に見えるのか気になった。
父母やマリウスは意地悪をして教えてくれない。
「そうね。二重にダブって見える感じかしらね。元々のエルに魔法で作ったハイディが重なっている感じ。余程エルを知る人にしかエルの姿は見えないんでしょう?」
「ええ、私と親しい人以外にも魔力の強い人も見えるわ」
「カール殿下が見えなかったら笑っちゃうわね」
マチルダ姉様は貴族令嬢には思えない程大口を開けてゲラゲラ笑う。
「とりあえず教室に行きましょう」
マチルダ姉様に促され、私たちは職員室を出て教室に向かった。
「今日から留学生として3ヶ月の間皆さんと一緒に学ぶ事になったハイデマリー・ニコランジル公爵令嬢よ。私の従姉妹なの。ニコランジル嬢はセフォチアム国から来たの。我が国の言葉は全く問題ないから皆さん仲良くしてあげてね」
マチルダ姉様から紹介された。ハイディのフリをしなくては。
「初めてお目にかかります。ハイディ・ニコランジルと申します。初めての留学で不安でいっぱいですが、頑張ってラメルテオン王国のことを学んでセフォチアムに戻りたいと思っています。よろしくお願いします」
カーテシーをした。
シーンとしている。ヤバい、間違えたか? 固まってしまう。
マチルダ姉様はにっこり笑った。
「メドレニック公爵令息、よろしくお願いね。あとで校内を案内してあげて。では、授業はじめるわね」
「私はテオドール・メドレニックです。このクラスの委員長をしています。何がわからないことがあったら、何でも聞いてください。それでは校内を案内します」
テオに促されて教室を出た。
少し歩いて人気の少ない場所に来た。
突然テオは指をパチンと鳴らし、遮断魔法で私達の姿と声を隠した。
「エルだろ? 何やってるんだ?」
さすがテオ。お見通しか。
「さすがね。潜入捜査みたいな感じかしら?」
「そんなの君がすることじゃないだろ?」
「そうよね。私もそう思うわ」
テオは私の答えに目を丸くして驚いている。私が自主的にやりたいと言ったと思ったのだろう。
「うちの両親と国王夫妻の命令なの。マリウスは反対してくれたんだけど、あの4人がノリノリなのよ。あぁ影もついてるから大丈夫よ。ねぇ影さん?」
私の呼びかけに風が舞った。
「しかし、大丈夫なのか? あの男爵令嬢を調べに来たんだろ?」
「ええそうよ」
「私も父上から逐一報告をするように言われている」
さすが宰相ね。ちゃんと仕事してるわ。
テオは私の幼馴染。宰相の子息だ。カール様の側近で次期宰相にほぼ決まっている。
「あの令嬢と母親には前男爵夫人の殺害容疑がかかってる。協力者もいるはずだ」
「ええ、マリウスから聞いたわ。ねぇ、カール様達は本当にその令嬢に懸想してるの?」
テオは腕組みをして首を捻っている。
「俺は魅了じゃないかと思っている」
「魅了?」
「うん。こんなことを言ったら不敬だが、引っ掛かっているやつらはみんな少し頭が花畑みたいな奴ばかりだろう? 好意を持っている奴だけしかかからない天然の魅了の魔法じゃないかと思う」
なるほど天然の魅了の魔法か。
「無意識なのね」
「そうあってほしいな」
私たちは少しでも良い方向に向くように祈っていた。
「ハイディ、行くよ」
?
「ハイディ!」
?
「姉上、いいかげんにしてください。ここではハイディでしょ? しっかりしてくださいよ」
「そうだったわ。ごめんなさいね。私はハイデマリー・ニコランジル。大丈夫よ」
弟のマリウスは呆れた顔をしている。今日から学園ではハイデマリーだったことをすっかり忘れていた。
私は職員室に向かう。事情を知っているマーロックス先生と打ち合わせをする。マーロックス先生と私は従姉妹同士で本物のハイディのことも知っている。
「エル、今日からよろしくね。それにしても化けたわね。まったくハイディとは別人だけど、可愛くて弱々しくて守ってあげたくなっちゃうわ」
「マチルダ姉様にはどんな風に見えるの?」
幻影魔法は見る人によっては私だと分かると父はいう。私は幻影魔法で変身している人を見たことがないので、どんな風に見えるのか気になった。
父母やマリウスは意地悪をして教えてくれない。
「そうね。二重にダブって見える感じかしらね。元々のエルに魔法で作ったハイディが重なっている感じ。余程エルを知る人にしかエルの姿は見えないんでしょう?」
「ええ、私と親しい人以外にも魔力の強い人も見えるわ」
「カール殿下が見えなかったら笑っちゃうわね」
マチルダ姉様は貴族令嬢には思えない程大口を開けてゲラゲラ笑う。
「とりあえず教室に行きましょう」
マチルダ姉様に促され、私たちは職員室を出て教室に向かった。
「今日から留学生として3ヶ月の間皆さんと一緒に学ぶ事になったハイデマリー・ニコランジル公爵令嬢よ。私の従姉妹なの。ニコランジル嬢はセフォチアム国から来たの。我が国の言葉は全く問題ないから皆さん仲良くしてあげてね」
マチルダ姉様から紹介された。ハイディのフリをしなくては。
「初めてお目にかかります。ハイディ・ニコランジルと申します。初めての留学で不安でいっぱいですが、頑張ってラメルテオン王国のことを学んでセフォチアムに戻りたいと思っています。よろしくお願いします」
カーテシーをした。
シーンとしている。ヤバい、間違えたか? 固まってしまう。
マチルダ姉様はにっこり笑った。
「メドレニック公爵令息、よろしくお願いね。あとで校内を案内してあげて。では、授業はじめるわね」
「私はテオドール・メドレニックです。このクラスの委員長をしています。何がわからないことがあったら、何でも聞いてください。それでは校内を案内します」
テオに促されて教室を出た。
少し歩いて人気の少ない場所に来た。
突然テオは指をパチンと鳴らし、遮断魔法で私達の姿と声を隠した。
「エルだろ? 何やってるんだ?」
さすがテオ。お見通しか。
「さすがね。潜入捜査みたいな感じかしら?」
「そんなの君がすることじゃないだろ?」
「そうよね。私もそう思うわ」
テオは私の答えに目を丸くして驚いている。私が自主的にやりたいと言ったと思ったのだろう。
「うちの両親と国王夫妻の命令なの。マリウスは反対してくれたんだけど、あの4人がノリノリなのよ。あぁ影もついてるから大丈夫よ。ねぇ影さん?」
私の呼びかけに風が舞った。
「しかし、大丈夫なのか? あの男爵令嬢を調べに来たんだろ?」
「ええそうよ」
「私も父上から逐一報告をするように言われている」
さすが宰相ね。ちゃんと仕事してるわ。
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「あの令嬢と母親には前男爵夫人の殺害容疑がかかってる。協力者もいるはずだ」
「ええ、マリウスから聞いたわ。ねぇ、カール様達は本当にその令嬢に懸想してるの?」
テオは腕組みをして首を捻っている。
「俺は魅了じゃないかと思っている」
「魅了?」
「うん。こんなことを言ったら不敬だが、引っ掛かっているやつらはみんな少し頭が花畑みたいな奴ばかりだろう? 好意を持っている奴だけしかかからない天然の魅了の魔法じゃないかと思う」
なるほど天然の魅了の魔法か。
「無意識なのね」
「そうあってほしいな」
私たちは少しでも良い方向に向くように祈っていた。
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