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朝から突撃?

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 外が明るい。
朝になったのかな?

 きのうはあのまま眠っちゃったのか。
なんだか騒がしいなぁ。

「お嬢様~! お目覚めですか? 大変です!!」
 
 侍女のナターシャが大慌てな様子で扉を叩く。

「起きてるわ。そんなに叩いたらリリーがびっくりしちゃうわよ」

 私がそう言うと「失礼します」と言い、ナターシャは部屋に入ってきた。

「アルブラン公爵夫妻がお見えです」

 えっ? お義父さまとお義母さまが?
昨日の一件かしら?

 こんなに朝早くから前触れも無しに来るなんて珍しいなぁ。

「早く用意しなきゃね」

「はい。今は旦那様と奥様がお相手していらっしゃいます」

 私はベッドから降り、おふたりに会うために支度を始めた。
 せっかくなのでお義母さまからいただいたドレスにしようかな。

 支度を済ませ、サロンに行くと、4人でお茶を飲みながら話をしている。

「おはようございます。遅くなり申し訳ございません」

 私はカーテシーで挨拶をした。

「まぁ、私が贈ったドレスを着てくれているのね。嬉しいわ。ごめんなさいね。こんな朝早くに前触れもなく来てしまって」

「私は、ヴィオちゃんは、昨日大変だったのだし、もっとゆっくり寝かしてあげようと言ったんだが、ベアトリスが言うことを聞いてくれなくてね」

 お義父さまは恐縮して頭をかいている。

「ヴィオ、おふたりは昨日のことがあったからお前の身が心配になって、少し早いが公爵家に引っ越してきてはどうかとおっしゃっているんだ」

 引っ越し? お父さまにそんなことを言われて驚いた。

 お義母さまは満面の笑みを浮かべている。

「結婚式まではまだ2ヶ月あるんだけれど、結婚したらすぐにユリウスが公爵を継いでしばらくは領地に住む事になるので、それまで私達と一緒に我が家に住まない? 薔薇園も昨日から着手しているから、すぐにできるわ」

 結婚したらすぐにユリウス様が公爵になる? 領地に住む?
 今初めて聞いた。それに薔薇園? 一昨日、薔薇園の話をしたばかりなのにもう着手って?

 早いなぁ。お義母さまはほんとに何でも早い。

「それに、昨日の事件はヴィオちゃんを誘拐して、私と王妃を誘き出して殺害しようという計画だったらしいの。
 黒幕は側妃かもしれないけど、実行犯はそこまで聞かされてないらしいの」

「そうだったのですね。お義母さまと王妃様が無事でよかったです」

「まぁ、ヴィオちゃん、自分が辛い目に遭ったのに私達の心配をしてくれるなんて、なんて優しい子なの~」

 お義母さまは私を抱きしめる。

「公爵家の方が警備は厳重だし安心だと思う。ナターシャも一緒に行ってくれるな」
「はい。もちろんお嬢様について行きます」
 お父さまがそう言い、ナターシャも公爵家に行く気満々だ。

「結婚式まではこの屋敷にいたいのですが、ダメですか?」

「心配なのよ。ヴィオちゃんに何かあったらと思うと……」

 お義母さまはハンカチを目に当てている。

「では、ユリウス君をこちらに滞在させてもらうのはどうかな? 
 ユリウス君なら賊が来ても大丈夫だろう。ナターシャもいるし、メトロファン家の使用人は皆鍛えているから心配ないだろう。
 お前がヴィオちゃんに逢いたければ訪れればいい」

 お義父さま、ユリウス様も別にいいのに。

 お母さまがお義母さまの肩に手を置いた。

「お姉さまもユリウス様と一緒に我が家に滞在されてはどうですか? 商会のお仕事がある時はここから通うことにすればよろしいのでは?」

「まぁ、パトリシアありがとう。でも、私は執務室に仕事がたんまり残っているの。こちらに滞在したいけれど、今回は諦めるわ」

 お義母さまは本当にいそがしいようだ。

「アルブラン家の護衛達を置いて帰る事にしよう。夜にはユリウスを寄越すよ」

 お義父さまは微笑む。

 朝から嵐のように押しかけたおふたりは、また嵐のように帰っていった。

「お姉さまは何故かうちに泊まるのを嫌がるのよね」

 お母さまはふふふと笑う。我が家にはお義母様の嫌がる何かがあるのかな?

 とりあえずお腹がすいた。朝ご飯食べよう。


*お義母さまは猫が怖いのです。
メトロファン伯爵家にはいつも猫が必ずいるのでできればきたくないのでした*

☆ベアトリスはお義母さま。
 パトリシアはお母さまです。
ベアトリスとパトリシアは従兄弟同士なのでパトリシアはベアトリスのことをお姉さまと呼びます。
ベアトリスとパトリシアは母同士が姉妹なのです☆
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