26 / 50
26話 コンラート親子2
しおりを挟む
リオネルはしばらくアンネリーゼが匿うらしい。
ということはエマも共犯か?
「エマも知っているの?」
「もちろんよ。エマには内緒にしてもらうように頼んでいるの。バレても私に頼まれて言えなかったとという事にしてね」
リオネルは部屋の奥でリーンハルトと遊んでいる。
コンラート様のところはリオネルの下に弟が3人いるそうで、母親が亡くなってからは、メイド達と一緒にリオネルが面倒をみているらしく、小さい子の扱いには慣れているようだ。
「ディーママ、私、将来はリオと結婚しようと思っているの」
「えっ?」
アンネリーゼの言葉に私は目を見開いた。
「愛し合っているの?」
「まだ12歳と7歳よ。それはないわ。リオは私があの女に虐げられて辛い時に支えてくれたの。リオにとっては小さい弟達と同じような感じで見ていたのだろうけど、杏音の記憶が戻るまでは本当に辛かったのよ。リオとおばさまがいなかったら完全に壊れていたと思う」
「そうだったのね。だからリオネルを慕っているのね」
「慕っているというのとは違うわね。なんだろう。リオといると楽なの。気を張らなくていいし。リオも私といると弱い自分でいてもいいから楽だと思っているみたい。でも、もし、これから先、王都の学校に行って好きな人ができたらそっちに譲ろうと思っていたけど、この領地から出ないなら私の物だわね」
アンネリーゼはヒヒヒと笑う。
「そうだ、あの女はおばさまにも嫌味をよく言っていたわ。どちらもこの領地の出身でしょう。あの女は親が王都のタウンハウスで働いていて、王都に住んでいたから、学校では、ここに住んでいたおばさまにマウントをとっていたみたい。私がリオの家に逃げていった時も田舎者のくせにとか、ネチネチ言っていたわ」
「嫌な人だったのね」
「まぁ、おばさまは『言わせとけばたいいのよ』っていつも相手にしてなかったけど、亡くなった時に『こんな田舎で野垂れ死になんて馬鹿みたい』って言ったから、リオもおじさまも敵認識したわ。全く嫌な女よ。あんな女から生まれたなんてぞっとするわ」
アンネリーゼは眉根を寄せた。私は空気を変えようとリオネルの話に戻した。
「リオが魔法医師になってこの地にいてくれたらいいわね。ラート様を説得するためには、まずはアル様を仲間に引き入れるか」
「よろしくお願いします」
私は子供部屋を出て、アルトゥール様の執務室に向かった。
◇◇◇
「アル様、お話があるの。今、大丈夫ですか?」
アルトゥール様は机に向かって書類を読んでいたが、私の声に顔を上げた。
「様はいらないって言っただろ。話って何?」
立ち上がりソファーの前に移動してきた。
「座って」
私に座るように促す。
「リオネルのことなの」
「そう、ラートも呼ぶ?」
「まずはアル様と話したい」
「様はいらない」
アルトゥール様はなかなかしつこい。様にこだらわなくてもいいのに。あっ、私もか。
「リオネルは医者になりたいらしいの」
「医者か」
「この領地には医者が少ないでしょう。お母様が亡くなった時に医者になろうと思ったそうよ。ラート様に何度も話そうとしたけど、騎士になれと頭ごなしに言うだけで全く話を聞いてくれないらしいの」
「そうか。ラートは先祖代々、嫡男が騎士団長を務めていたから、リオにもやらせたいのだろう。リオは頭もいいし、剣の腕もいい。このままいけば問題なくラートの後継になれると思うが、そんな思いがあったんだな」
アルトゥール様は腕組みをして頷いた。
「リオの思いが本物で決意が固いなら、医者になればいいと思う。あいつは優しいから医者に向いているかもしれないな。ラートはあいつがそんな理由で医者になりたいと知ったら反対はしないだろう。そこまで石頭じゃないはずだ」
「アル様から、話してみてくれない?」
「様はいらない」
「アルから話してみてくれませんか?」
「それでいい。私から話してもいいが最後はリオが話すべきだ。ふたりが話す場に私達も一緒にいて、援護射撃をしてやったらどうだろう」
それはいい。それなら、リオネルも話しやすいし、コンラート様も聞く耳を持つかもしれない。
「しかし、その前にリオに会わせてほしい。リオの口からちゃんと聞きたい。リオはまだ12歳だ。軽い気持ちで言っているのではないと思うが、どれだけ決意しているのか腹を割って話がしたい」
確かに、私を通してより、直にリオネルの口から聞く方が良い。私はアルトゥール様を子供部屋に案内した。
◆◆◇
「あら、お父様、来たの?」
「うん。リオネルと話がしたいそうよ」
「味方? 敵?」
「もちろん味方よ」
「なら、会わせてあげるわ」
アンネリーゼの検問を無事通れた。
アンネリーゼに呼ばれてリオネルが奥から顔を出し、アルトゥール様は奥のリオネルがいる場所に行った。
「リオ、ディーから話は聞いた。私はお前が医者になりたいのなら、それもいいと思う。ただ、騎士が嫌だから他のものになりたいというのなら背中は押せない。何がなんでも医者になりたいというなら、いくらでも背中を押す。お前の本当の気持ちを聞かせてほしい」
アルトゥール様はリオネルと部屋の奥でふたりで膝を突き合わせて話をしている。
私とアンネリーゼは少し離れた場所でそれを見ていた。
リオネルは涙を流しながらアルトゥール様に話をしている。やはり、真剣に医師になりたいのだろう。
ふたりをじっと見ていたらアンネリーゼが小声で話しかけてきた。
「リオのステータスボードの職業は魔法医師なの。騎士じゃないの。もちろんリオには話してないわ。私が鑑定の魔法が使えて、他人のステータスボードが見られることも言ってない。リオは騎士になるはずなのに、なんで魔法医師なんだろうと不思議だったのだけれど、リオ自身がなりたいと思っていたのね」
「そうか。そのステータスボードってなんでもわかっちゃうのね」
「分からないこともあるわ。わかるのは、持っている魔力やスキル、加護。そのレベル。そして職業。あとは善良かそうでないかくらいかしらね。ディーママは超善良よ」
ふふふと笑った。
アルトゥール様が納得したら、次はコンラート様を説得することだな。ステータスボードがそうなっている以上、リオネルは騎士団長にはならないだろう。コンラート様もリオネルとちゃんと向き合えばわかるはずだ。
「話は終わった。次はラートに会って話す」
私達はコンラート様をサロンに呼ぶ事にした。
ということはエマも共犯か?
「エマも知っているの?」
「もちろんよ。エマには内緒にしてもらうように頼んでいるの。バレても私に頼まれて言えなかったとという事にしてね」
リオネルは部屋の奥でリーンハルトと遊んでいる。
コンラート様のところはリオネルの下に弟が3人いるそうで、母親が亡くなってからは、メイド達と一緒にリオネルが面倒をみているらしく、小さい子の扱いには慣れているようだ。
「ディーママ、私、将来はリオと結婚しようと思っているの」
「えっ?」
アンネリーゼの言葉に私は目を見開いた。
「愛し合っているの?」
「まだ12歳と7歳よ。それはないわ。リオは私があの女に虐げられて辛い時に支えてくれたの。リオにとっては小さい弟達と同じような感じで見ていたのだろうけど、杏音の記憶が戻るまでは本当に辛かったのよ。リオとおばさまがいなかったら完全に壊れていたと思う」
「そうだったのね。だからリオネルを慕っているのね」
「慕っているというのとは違うわね。なんだろう。リオといると楽なの。気を張らなくていいし。リオも私といると弱い自分でいてもいいから楽だと思っているみたい。でも、もし、これから先、王都の学校に行って好きな人ができたらそっちに譲ろうと思っていたけど、この領地から出ないなら私の物だわね」
アンネリーゼはヒヒヒと笑う。
「そうだ、あの女はおばさまにも嫌味をよく言っていたわ。どちらもこの領地の出身でしょう。あの女は親が王都のタウンハウスで働いていて、王都に住んでいたから、学校では、ここに住んでいたおばさまにマウントをとっていたみたい。私がリオの家に逃げていった時も田舎者のくせにとか、ネチネチ言っていたわ」
「嫌な人だったのね」
「まぁ、おばさまは『言わせとけばたいいのよ』っていつも相手にしてなかったけど、亡くなった時に『こんな田舎で野垂れ死になんて馬鹿みたい』って言ったから、リオもおじさまも敵認識したわ。全く嫌な女よ。あんな女から生まれたなんてぞっとするわ」
アンネリーゼは眉根を寄せた。私は空気を変えようとリオネルの話に戻した。
「リオが魔法医師になってこの地にいてくれたらいいわね。ラート様を説得するためには、まずはアル様を仲間に引き入れるか」
「よろしくお願いします」
私は子供部屋を出て、アルトゥール様の執務室に向かった。
◇◇◇
「アル様、お話があるの。今、大丈夫ですか?」
アルトゥール様は机に向かって書類を読んでいたが、私の声に顔を上げた。
「様はいらないって言っただろ。話って何?」
立ち上がりソファーの前に移動してきた。
「座って」
私に座るように促す。
「リオネルのことなの」
「そう、ラートも呼ぶ?」
「まずはアル様と話したい」
「様はいらない」
アルトゥール様はなかなかしつこい。様にこだらわなくてもいいのに。あっ、私もか。
「リオネルは医者になりたいらしいの」
「医者か」
「この領地には医者が少ないでしょう。お母様が亡くなった時に医者になろうと思ったそうよ。ラート様に何度も話そうとしたけど、騎士になれと頭ごなしに言うだけで全く話を聞いてくれないらしいの」
「そうか。ラートは先祖代々、嫡男が騎士団長を務めていたから、リオにもやらせたいのだろう。リオは頭もいいし、剣の腕もいい。このままいけば問題なくラートの後継になれると思うが、そんな思いがあったんだな」
アルトゥール様は腕組みをして頷いた。
「リオの思いが本物で決意が固いなら、医者になればいいと思う。あいつは優しいから医者に向いているかもしれないな。ラートはあいつがそんな理由で医者になりたいと知ったら反対はしないだろう。そこまで石頭じゃないはずだ」
「アル様から、話してみてくれない?」
「様はいらない」
「アルから話してみてくれませんか?」
「それでいい。私から話してもいいが最後はリオが話すべきだ。ふたりが話す場に私達も一緒にいて、援護射撃をしてやったらどうだろう」
それはいい。それなら、リオネルも話しやすいし、コンラート様も聞く耳を持つかもしれない。
「しかし、その前にリオに会わせてほしい。リオの口からちゃんと聞きたい。リオはまだ12歳だ。軽い気持ちで言っているのではないと思うが、どれだけ決意しているのか腹を割って話がしたい」
確かに、私を通してより、直にリオネルの口から聞く方が良い。私はアルトゥール様を子供部屋に案内した。
◆◆◇
「あら、お父様、来たの?」
「うん。リオネルと話がしたいそうよ」
「味方? 敵?」
「もちろん味方よ」
「なら、会わせてあげるわ」
アンネリーゼの検問を無事通れた。
アンネリーゼに呼ばれてリオネルが奥から顔を出し、アルトゥール様は奥のリオネルがいる場所に行った。
「リオ、ディーから話は聞いた。私はお前が医者になりたいのなら、それもいいと思う。ただ、騎士が嫌だから他のものになりたいというのなら背中は押せない。何がなんでも医者になりたいというなら、いくらでも背中を押す。お前の本当の気持ちを聞かせてほしい」
アルトゥール様はリオネルと部屋の奥でふたりで膝を突き合わせて話をしている。
私とアンネリーゼは少し離れた場所でそれを見ていた。
リオネルは涙を流しながらアルトゥール様に話をしている。やはり、真剣に医師になりたいのだろう。
ふたりをじっと見ていたらアンネリーゼが小声で話しかけてきた。
「リオのステータスボードの職業は魔法医師なの。騎士じゃないの。もちろんリオには話してないわ。私が鑑定の魔法が使えて、他人のステータスボードが見られることも言ってない。リオは騎士になるはずなのに、なんで魔法医師なんだろうと不思議だったのだけれど、リオ自身がなりたいと思っていたのね」
「そうか。そのステータスボードってなんでもわかっちゃうのね」
「分からないこともあるわ。わかるのは、持っている魔力やスキル、加護。そのレベル。そして職業。あとは善良かそうでないかくらいかしらね。ディーママは超善良よ」
ふふふと笑った。
アルトゥール様が納得したら、次はコンラート様を説得することだな。ステータスボードがそうなっている以上、リオネルは騎士団長にはならないだろう。コンラート様もリオネルとちゃんと向き合えばわかるはずだ。
「話は終わった。次はラートに会って話す」
私達はコンラート様をサロンに呼ぶ事にした。
178
お気に入りに追加
3,047
あなたにおすすめの小説
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
婚約破棄目当てで行きずりの人と一晩過ごしたら、何故か隣で婚約者が眠ってた……
木野ダック
恋愛
メティシアは婚約者ーー第二王子・ユリウスの女たらし振りに頭を悩ませていた。舞踏会では自分を差し置いて他の令嬢とばかり踊っているし、彼の隣に女性がいなかったことがない。メティシアが話し掛けようとしたって、ユリウスは平等にとメティシアを後回しにするのである。メティシアは暫くの間、耐えていた。例え、他の男と関わるなと理不尽な言い付けをされたとしても我慢をしていた。けれど、ユリウスが楽しそうに踊り狂う中飛ばしてきたウインクにより、メティシアの堪忍袋の緒が切れた。もう無理!そうだ、婚約破棄しよう!とはいえ相手は王族だ。そう簡単には婚約破棄できまい。ならばーー貞操を捨ててやろう!そんなわけで、メティシアはユリウスとの婚約破棄目当てに仮面舞踏会へ、行きずりの相手と一晩を共にするのであった。けど、あれ?なんで貴方が隣にいるの⁉︎
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
王太子殿下の子を授かりましたが隠していました
しゃーりん
恋愛
夫を亡くしたディアンヌは王太子殿下の閨指導係に選ばれ、関係を持った結果、妊娠した。
しかし、それを隠したまますぐに次の結婚をしたため、再婚夫の子供だと認識されていた。
それから10年、王太子殿下は隣国王女と結婚して娘が一人いた。
その王女殿下の8歳の誕生日パーティーで誰もが驚いた。
ディアンヌの息子が王太子殿下にそっくりだったから。
王女しかいない状況で見つかった王太子殿下の隠し子が後継者に望まれるというお話です。
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
無理やり『陰険侯爵』に嫁がされた私は、侯爵家で幸せな日々を送っています
朝露ココア
恋愛
「私は妹の幸福を願っているの。あなたには侯爵夫人になって幸せに生きてほしい。侯爵様の婚姻相手には、すごくお似合いだと思うわ」
わがままな姉のドリカに命じられ、侯爵家に嫁がされることになったディアナ。
派手で綺麗な姉とは異なり、ディアナは園芸と読書が趣味の陰気な子爵令嬢。
そんな彼女は傲慢な母と姉に逆らえず言いなりになっていた。
縁談の相手は『陰険侯爵』とも言われる悪評高い侯爵。
ディアナの意思はまったく尊重されずに嫁がされた侯爵家。
最初は挙動不審で自信のない『陰険侯爵』も、ディアナと接するうちに変化が現れて……次第に成長していく。
「ディアナ。君は俺が守る」
内気な夫婦が支え合い、そして心を育む物語。
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈
恋愛
浮気ですか?どうぞご自由にして下さい。私はここを去りますので
結婚式の前日、政略結婚相手は言った。「お前に永遠の愛は誓わない。何故ならそこに愛など存在しないのだから。」そして迎えた驚くべき結婚式と驚愕の事実。いいでしょう、それほど不本意な結婚ならば離婚してあげましょう。その代わり・・後で後悔しても知りませんよ?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる