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やっと掴んだ幸せ(シンシア視点)
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ランディが旅立って3年が過ぎた。向こうの貴族学校に通いながらフレディ様から色々教えてもらっているらしい。
「シンシア、そろそろね。私が行く予定だった視察に代わりに行ってね」
「来月の?」
「そうよ。私がどうしても手が離せない用事が入ったので、最近体調が良くなったシンシア王妃が代わりに行くのよ」
こんなに元気なんだけれど、私はこの国ではずって病弱な王妃役を貫いている。
「マギーはあっちに行ってもそのままついてもらうから安心して。あっちには我が公爵家の精鋭使用人ばかりだし、何も心配はいらないわ。長かったけど、やっと自由になれるわね」
「ありがとう」
「特にランドルフがあっちに行ってからは長かったでしょ?」
ミランダはふふふと意味ありげに微笑んだ。
「あちらでのシンシアの身分はルリッド伯爵の叔母の友達の令嬢よ。また今度もお馴染みの病弱設定。領地で静養していて元気になったから、年が合い、独身であったルリッド伯爵と結婚することになったの。戸籍はちゃんと用意しているから心配ないわ。今までほとんど社交の場に登場しない幻の王妃様だし、顔を知っている人はほとんどいないから大丈夫よ」
私を社交の場や公務の場に出さなかったのは初めからラックノーラン国に行かせる為だった。
先にフレディ様をミランダの遠縁で子供のいないルリッド伯爵の養子にし、伯爵家を継がせた。フレディ様も騎士を辞めてからずっと王妃宮でランディの守り役をしていたので、社交の場には出ていない。レキソール侯爵は騎士の時に大怪我をし、人前に出るのを嫌がっていると噂されていた。守り役になった事も内緒だったのでレキソール家の人たち位しか知らない。
レオンフィード殿下の書いたシナリオ通り私達は過ごしてきた。
「では、行ってくるわね」
私は侍女のマギーと馬車に乗る。視察は2泊の予定だ。
ここから13時間位かかる国に行く。だがしかし、本当は私はその国を通り過ぎてフレディ様が待つラックノーラン国に行くのだ。
私は視察先の国で体調を崩して急逝した事になる。
その辺りはヴァーナリアン公爵家とレオンハルト王弟殿下が魔法を使い、ぬかりなく事実とする。
そして私はルリッド伯爵に嫁ぐ。伯爵家にはラックノーラン国に留学しているランディもいる。
ランディがこの計画を受け入れてくれるのかどうか心配だった。
謀った私達を拒否するのではないかと不安だった。
しかし、ランディは全てを受け入れてくれた。
フレディ様の子でよかったと喜んでくれた。私はそれだけでもう胸がいっぱいになった。
やっと親子3人で暮らせる。
1ヶ月間の旅を終え、ラックノーラン国のルリッド伯爵邸に到着した。
馬車を見つけ、玄関から走ってくるランディの姿が見える。その後ろでフレディ様が微笑んでいる。
「私はもういつ死んでもいいわ」
「何を言っているのですか? 母上はこれから父上と幸せになるのです。ルリッド伯爵家の跡取りを産まなければなりませんよ。もう、誰にもふたりを引き離すことなどできませんからね」
ランディのこんな明るい笑顔を初めて見た。
「シア、回り道したがやっと君と結婚できる。愛してる。今までもこれからも。未来永劫、来世も君だけを愛してる」
フレディ様が私を抱きしめた。私は涙が止まらない。
「もう、父上、息子の前でいちゃつかないでくださいよ」
ランディが笑う。
この幸せを失いたくない。レオンハルト殿下ありがとうございます。ミランダ、ありがとう。
私はこの国でシンシア・ルリッドとして生きていく。
愛する人達と共に。
「シンシア、そろそろね。私が行く予定だった視察に代わりに行ってね」
「来月の?」
「そうよ。私がどうしても手が離せない用事が入ったので、最近体調が良くなったシンシア王妃が代わりに行くのよ」
こんなに元気なんだけれど、私はこの国ではずって病弱な王妃役を貫いている。
「マギーはあっちに行ってもそのままついてもらうから安心して。あっちには我が公爵家の精鋭使用人ばかりだし、何も心配はいらないわ。長かったけど、やっと自由になれるわね」
「ありがとう」
「特にランドルフがあっちに行ってからは長かったでしょ?」
ミランダはふふふと意味ありげに微笑んだ。
「あちらでのシンシアの身分はルリッド伯爵の叔母の友達の令嬢よ。また今度もお馴染みの病弱設定。領地で静養していて元気になったから、年が合い、独身であったルリッド伯爵と結婚することになったの。戸籍はちゃんと用意しているから心配ないわ。今までほとんど社交の場に登場しない幻の王妃様だし、顔を知っている人はほとんどいないから大丈夫よ」
私を社交の場や公務の場に出さなかったのは初めからラックノーラン国に行かせる為だった。
先にフレディ様をミランダの遠縁で子供のいないルリッド伯爵の養子にし、伯爵家を継がせた。フレディ様も騎士を辞めてからずっと王妃宮でランディの守り役をしていたので、社交の場には出ていない。レキソール侯爵は騎士の時に大怪我をし、人前に出るのを嫌がっていると噂されていた。守り役になった事も内緒だったのでレキソール家の人たち位しか知らない。
レオンフィード殿下の書いたシナリオ通り私達は過ごしてきた。
「では、行ってくるわね」
私は侍女のマギーと馬車に乗る。視察は2泊の予定だ。
ここから13時間位かかる国に行く。だがしかし、本当は私はその国を通り過ぎてフレディ様が待つラックノーラン国に行くのだ。
私は視察先の国で体調を崩して急逝した事になる。
その辺りはヴァーナリアン公爵家とレオンハルト王弟殿下が魔法を使い、ぬかりなく事実とする。
そして私はルリッド伯爵に嫁ぐ。伯爵家にはラックノーラン国に留学しているランディもいる。
ランディがこの計画を受け入れてくれるのかどうか心配だった。
謀った私達を拒否するのではないかと不安だった。
しかし、ランディは全てを受け入れてくれた。
フレディ様の子でよかったと喜んでくれた。私はそれだけでもう胸がいっぱいになった。
やっと親子3人で暮らせる。
1ヶ月間の旅を終え、ラックノーラン国のルリッド伯爵邸に到着した。
馬車を見つけ、玄関から走ってくるランディの姿が見える。その後ろでフレディ様が微笑んでいる。
「私はもういつ死んでもいいわ」
「何を言っているのですか? 母上はこれから父上と幸せになるのです。ルリッド伯爵家の跡取りを産まなければなりませんよ。もう、誰にもふたりを引き離すことなどできませんからね」
ランディのこんな明るい笑顔を初めて見た。
「シア、回り道したがやっと君と結婚できる。愛してる。今までもこれからも。未来永劫、来世も君だけを愛してる」
フレディ様が私を抱きしめた。私は涙が止まらない。
「もう、父上、息子の前でいちゃつかないでくださいよ」
ランディが笑う。
この幸せを失いたくない。レオンハルト殿下ありがとうございます。ミランダ、ありがとう。
私はこの国でシンシア・ルリッドとして生きていく。
愛する人達と共に。
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