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恋人帰還(レオンハルト視点)
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シンシアが懐妊したことは兄上と国王である父上の耳にも入った。
「王太子である私の子供だ。すぐにでもシンシアを妻にする」
兄上はそう言ったが、シンシアは子爵令嬢。我が国には伯爵家以上の令嬢でないと、王家と縁続きになることはできない。
父はシンシアを養女にする家を探している。
祖父母と母、母の実家の公爵家とミランダのヴァーナリアン公爵が時間稼ぎのために圧力をかけていたが、父上が王命を出し、側近の伯爵家に形だけの養女にさせた。
兄上はシンシアと婚約をした。
医師と影の話によると、体質なのか、精神的なものなのかわからないが、シンシアの悪阻は酷く、ベッドから起き上がることも出来ない状態らしい。
結婚式は子供が生まれてから行うことになったが、王命ということもあり、意志は無視されたままシンシアは書類上は王太子妃となった。
「すまない。力不足で」
私はサロンに集まっているミランダと仲間達に頭を下げた。
「レオンのせいじゃないわ。悪いのは王太子よ。シンシアは軟禁されたままだし、コレット子爵も脅されているから手も足も出せないわ」
「遅れてすまない」
ジェフリーが遅れてサロンにやってきた。
「兄上が戻ってきた」
ジェフリーはシンシアの恋人のフレデリックの弟だ。
「フレデリック殿が!」
「兄上は辺境の地での戦いで負傷し、生死を彷徨っていた。シンシアの話を知り、『死ねばよかった』と塞ぎ込んでいる。自死しないように使用人が見張っているが、もう、騎士を辞めるしかなく失意のまま戻ってきたらシンシアがあんなことになっていて兄上の心が壊れないか心配なんだ」
怪我で騎士を辞めるのか。しかし、私の手紙は届かなかったのか?
「私の手紙は届かなかったのか?」
「レオン殿下の手紙だけでなく、王都からの手紙は魔物に襲われて焼かれ届かなかったらしい」
とにかくフレデリックに会って話を聞きたい。私はジェフリーにフレデリックに会わせてほしいと頼んだ。
「王国の若き獅子、レオンハルト殿下におかれましては……」
「畏まった挨拶はいりません。シンシアを守れなくて申し訳申し訳ありません」
私はフレデリックに頭を下げた。
「殿下のせいではありません」
フレディリックは目を伏せたままだ。
「単刀直入に聞きます。シンシアの子供の事ですが、フレデリック殿の子供という事はないのでしょうか」
私の言葉にフレデリックは驚いた顔をした。そして、私の顔を見た。
「私の子供です。そう思いたい。遠征に出立する前の夜、私とシンシアは結ばれました。その時の子供です」
「そうですか。卒業式の夜会の時に兄はシンシアを拉致し、そうなる寸前にシンシアに花瓶で殴られ意識を失いました。兄はあの時、シンシアの純潔を自分が散らしたと思い込んでいるようですが、あの時のシンシアは兄に穢されていません。そのあと、私の手落ちでまた拉致されて、それ以来王宮に軟禁され、兄に怪我をさせられました。それからはずっと医師と私の影が付いているので兄に穢される事はありません。シンシアを信じてもらえますか」
私はフレデリックの顔をじっと見た。
「もしもシンシアが王太子殿下に穢されていたなら、きっとシンシアは自死していると思います。シンシアの腹の子は間違いなく私の子供です」
「フレデリック殿、私に協力してもらえますか?」
私は思っている事をフレデリックに伝えた。
「王太子である私の子供だ。すぐにでもシンシアを妻にする」
兄上はそう言ったが、シンシアは子爵令嬢。我が国には伯爵家以上の令嬢でないと、王家と縁続きになることはできない。
父はシンシアを養女にする家を探している。
祖父母と母、母の実家の公爵家とミランダのヴァーナリアン公爵が時間稼ぎのために圧力をかけていたが、父上が王命を出し、側近の伯爵家に形だけの養女にさせた。
兄上はシンシアと婚約をした。
医師と影の話によると、体質なのか、精神的なものなのかわからないが、シンシアの悪阻は酷く、ベッドから起き上がることも出来ない状態らしい。
結婚式は子供が生まれてから行うことになったが、王命ということもあり、意志は無視されたままシンシアは書類上は王太子妃となった。
「すまない。力不足で」
私はサロンに集まっているミランダと仲間達に頭を下げた。
「レオンのせいじゃないわ。悪いのは王太子よ。シンシアは軟禁されたままだし、コレット子爵も脅されているから手も足も出せないわ」
「遅れてすまない」
ジェフリーが遅れてサロンにやってきた。
「兄上が戻ってきた」
ジェフリーはシンシアの恋人のフレデリックの弟だ。
「フレデリック殿が!」
「兄上は辺境の地での戦いで負傷し、生死を彷徨っていた。シンシアの話を知り、『死ねばよかった』と塞ぎ込んでいる。自死しないように使用人が見張っているが、もう、騎士を辞めるしかなく失意のまま戻ってきたらシンシアがあんなことになっていて兄上の心が壊れないか心配なんだ」
怪我で騎士を辞めるのか。しかし、私の手紙は届かなかったのか?
「私の手紙は届かなかったのか?」
「レオン殿下の手紙だけでなく、王都からの手紙は魔物に襲われて焼かれ届かなかったらしい」
とにかくフレデリックに会って話を聞きたい。私はジェフリーにフレデリックに会わせてほしいと頼んだ。
「王国の若き獅子、レオンハルト殿下におかれましては……」
「畏まった挨拶はいりません。シンシアを守れなくて申し訳申し訳ありません」
私はフレデリックに頭を下げた。
「殿下のせいではありません」
フレディリックは目を伏せたままだ。
「単刀直入に聞きます。シンシアの子供の事ですが、フレデリック殿の子供という事はないのでしょうか」
私の言葉にフレデリックは驚いた顔をした。そして、私の顔を見た。
「私の子供です。そう思いたい。遠征に出立する前の夜、私とシンシアは結ばれました。その時の子供です」
「そうですか。卒業式の夜会の時に兄はシンシアを拉致し、そうなる寸前にシンシアに花瓶で殴られ意識を失いました。兄はあの時、シンシアの純潔を自分が散らしたと思い込んでいるようですが、あの時のシンシアは兄に穢されていません。そのあと、私の手落ちでまた拉致されて、それ以来王宮に軟禁され、兄に怪我をさせられました。それからはずっと医師と私の影が付いているので兄に穢される事はありません。シンシアを信じてもらえますか」
私はフレデリックの顔をじっと見た。
「もしもシンシアが王太子殿下に穢されていたなら、きっとシンシアは自死していると思います。シンシアの腹の子は間違いなく私の子供です」
「フレデリック殿、私に協力してもらえますか?」
私は思っている事をフレデリックに伝えた。
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