13 / 14
フェノバール家のサロンでは
しおりを挟む
西の辺境の地が落ちついたので、私たちは屋敷に戻ってきた。
屋敷にはリーゼお姉様が来ていた。
「なんだ、久しぶりに魔獣退治に行こうかと思っていたのに、片づいちゃったのね」
退治って? お姉様は今、妊娠8カ月だ。
こんな大きなお腹で戦うのだろうか?
「義兄上方、なんとか言ってもらえませんか? リーゼは全く私の言う事を聞かずにうちの鍛錬場で部員たちに稽古をつけてるんですよ」
エリアスお義兄様は呆れた顔をしてルカ様とジェットお兄様に訴えている。
「無理だよ。リーゼを止められる奴なんていない。強いて言えばママが雷を落とせば止めるかもな」
「無理だろ。ママはこの件には神なは落とさないよ。それにリーゼのお腹の子は剣聖の跡継ぎだから平気だよ」
ジェットお兄様、しれっと予言?
「予言ですか?」
「予言と言うか神託。上の女の子は剣聖。下の男の子は暗部の方の跡継ぎ。エリアスは左うちわだな」
ジェットお兄様はそう言いながら部屋から出て行った。
「ほら、ジェットお兄様もああ言ってるし大丈夫よ」
リーゼお姉様は勝ち誇ったように笑う。こうなったらだれにも止められない。
「ミーナ、俺たちも早く子どもが欲しいな」
いやいや、まだ結婚してませんが。でも、ジュリアンに会いたいな。
「ルカ様、ジュリアンが来てくれるかしら?」
「ジュリアン? ジュリアンって誰?」
リーゼお姉様が話に入ってきた。
「ジュリアンは前世の私の息子なんです。私はジュリアンが3歳の時に死んじゃったから、また会いたくて……」
へ? ふと見ると、リーゼお姉様と今、お菓子を持って入ってきたママが号泣している。
「3歳なんていちばん可愛い時じゃないの。そんな時にいきなりお別れだなんて」
「ほんとほんと、リュカ兄様は再婚しなかったの?」
ママとリーゼお姉様がルカ様に聞く。
「しねーよ。俺はミーナだけ。ジュリアンは俺とミーナの両親と乳母が育てた。跡を継いで2代目国王になったからな」
なぜか赤い顔をして消えてしまった。
「ヴィーナ、すぐにジュリアン君に会えそうだね。お腹の中の子と結婚させよう。うん。それがいい」
リーゼお姉様はまだお腹の中にもいないジュリアンと自分の娘を結婚させようと盛り上がっている。
「とりあえずお菓子食べましょう。リュープリンさんがカロリーを押さえたお菓子を作ってくれたのよ」
美味しそうなお菓子が並んでいる。
やっぱりフェノバール家は平和だなぁ。この平和が毎日続くように私は神に祈る。
ドラマチックなんてもういらないわ。
屋敷にはリーゼお姉様が来ていた。
「なんだ、久しぶりに魔獣退治に行こうかと思っていたのに、片づいちゃったのね」
退治って? お姉様は今、妊娠8カ月だ。
こんな大きなお腹で戦うのだろうか?
「義兄上方、なんとか言ってもらえませんか? リーゼは全く私の言う事を聞かずにうちの鍛錬場で部員たちに稽古をつけてるんですよ」
エリアスお義兄様は呆れた顔をしてルカ様とジェットお兄様に訴えている。
「無理だよ。リーゼを止められる奴なんていない。強いて言えばママが雷を落とせば止めるかもな」
「無理だろ。ママはこの件には神なは落とさないよ。それにリーゼのお腹の子は剣聖の跡継ぎだから平気だよ」
ジェットお兄様、しれっと予言?
「予言ですか?」
「予言と言うか神託。上の女の子は剣聖。下の男の子は暗部の方の跡継ぎ。エリアスは左うちわだな」
ジェットお兄様はそう言いながら部屋から出て行った。
「ほら、ジェットお兄様もああ言ってるし大丈夫よ」
リーゼお姉様は勝ち誇ったように笑う。こうなったらだれにも止められない。
「ミーナ、俺たちも早く子どもが欲しいな」
いやいや、まだ結婚してませんが。でも、ジュリアンに会いたいな。
「ルカ様、ジュリアンが来てくれるかしら?」
「ジュリアン? ジュリアンって誰?」
リーゼお姉様が話に入ってきた。
「ジュリアンは前世の私の息子なんです。私はジュリアンが3歳の時に死んじゃったから、また会いたくて……」
へ? ふと見ると、リーゼお姉様と今、お菓子を持って入ってきたママが号泣している。
「3歳なんていちばん可愛い時じゃないの。そんな時にいきなりお別れだなんて」
「ほんとほんと、リュカ兄様は再婚しなかったの?」
ママとリーゼお姉様がルカ様に聞く。
「しねーよ。俺はミーナだけ。ジュリアンは俺とミーナの両親と乳母が育てた。跡を継いで2代目国王になったからな」
なぜか赤い顔をして消えてしまった。
「ヴィーナ、すぐにジュリアン君に会えそうだね。お腹の中の子と結婚させよう。うん。それがいい」
リーゼお姉様はまだお腹の中にもいないジュリアンと自分の娘を結婚させようと盛り上がっている。
「とりあえずお菓子食べましょう。リュープリンさんがカロリーを押さえたお菓子を作ってくれたのよ」
美味しそうなお菓子が並んでいる。
やっぱりフェノバール家は平和だなぁ。この平和が毎日続くように私は神に祈る。
ドラマチックなんてもういらないわ。
11
お気に入りに追加
723
あなたにおすすめの小説
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】妻に逃げられた辺境伯に嫁ぐことになりました
金峯蓮華
恋愛
王命で、妻に逃げられた子持ちの辺境伯の後妻になることになった侯爵令嬢のディートリント。辺境の地は他国からの脅威や魔獣が出る事もある危ない場所。辺境伯は冷たそうなゴリマッチョ。子供達は母に捨てられ捻くれている。そんな辺境の地に嫁入りしたディートリント。どうする? どうなる?
独自の緩い世界のお話です。
ご都合主義です。
誤字脱字あります。
R15は保険です。
王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?
【完結】わたしはお飾りの妻らしい。 〜16歳で継母になりました〜
たろ
恋愛
結婚して半年。
わたしはこの家には必要がない。
政略結婚。
愛は何処にもない。
要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。
お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。
とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。
そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。
旦那様には愛する人がいる。
わたしはお飾りの妻。
せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。
【完】前世で子供が産めなくて悲惨な末路を送ったので、今世では婚約破棄しようとしたら何故か身ごもりました
112
恋愛
前世でマリアは、一人ひっそりと悲惨な最期を迎えた。
なので今度は生き延びるために、婚約破棄を突きつけた。しかし相手のカイルに猛反対され、無理やり床を共にすることに。
前世で子供が出来なかったから、今度も出来ないだろうと思っていたら何故か懐妊し─
恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?
夕立悠理
恋愛
ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。
けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。
このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。
なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。
なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。
「距離を置こう」と言われた氷鉄令嬢は、本当は溺愛されている
ミズメ
恋愛
感情表現が乏しいせいで""氷鉄令嬢""と呼ばれている侯爵令嬢のフェリシアは、婚約者のアーサー殿下に唐突に距離を置くことを告げられる。
これは婚約破棄の危機――そう思ったフェリシアは色々と自分磨きに励むけれど、なぜだか上手くいかない。
とある夜会で、アーサーの隣に見知らぬ金髪の令嬢がいたという話を聞いてしまって……!?
重すぎる愛が故に婚約者に接近することができないアーサーと、なんとしても距離を縮めたいフェリシアの接近禁止の婚約騒動。
○カクヨム、小説家になろうさまにも掲載/全部書き終えてます
【完結】妹にあげるわ。
たろ
恋愛
なんでも欲しがる妹。だったら要らないからあげるわ。
婚約者だったケリーと妹のキャサリンが我が家で逢瀬をしていた時、妹の紅茶の味がおかしかった。
それだけでわたしが殺そうとしたと両親に責められた。
いやいやわたし出かけていたから!知らないわ。
それに婚約は半年前に解消しているのよ!書類すら見ていないのね?お父様。
なんでも欲しがる妹。可愛い妹が大切な両親。
浮気症のケリーなんて喜んで妹にあげるわ。ついでにわたしのドレスも宝石もどうぞ。
家を追い出されて意気揚々と一人で暮らし始めたアリスティア。
もともと家を出る計画を立てていたので、ここから幸せに………と思ったらまた妹がやってきて、今度はアリスティアの今の生活を欲しがった。
だったら、この生活もあげるわ。
だけどね、キャサリン……わたしの本当に愛する人たちだけはあげられないの。
キャサリン達に痛い目に遭わせて……アリスティアは幸せになります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる