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ママはぐいぐいくる
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目が覚めると、部屋にはルカ様とミディア様とマティと天使がいた。
「ヴィーナ、目が覚めたのね。身体はどう? 辛くない?」
身体は辛くないなぁ。
「大丈夫です。ありがとうございます」
ミディア様は私の頭を撫でた。
「中身は28歳でも身体は8歳なのよ。もっと甘えていいんだからね。やるときやれば普段は気楽でいいの。私のことはママって呼んで。ここで幸せになりましょう」
良い人だ。私が知ってる大人の中でお母様、お父様以外ではいちばん良い人かもしれない。
私は神様がドラマチックを望んだからあんな目にあったけど、ルカ様は幸せでよかった。
「はい。ママよろしくお願いします」
私の言葉に『任せて』と言い、ママは思いっきり私を抱きしめた。
「ママ、ミーナの骨が折れる。馬鹿力なんだから気をつけてよ」
ルカ様がママを私から引き剥がそうとする。
「ごめんごめん、痛かったね。じゃあ緩めるわ。リュカだけに独り占めさせないわよ。私もヴィーナを可愛がりたいわ」
ママはそう言って私の頬に自分の頬を寄せる。
こんなことされたのは初めてだ。温かい。
「ふぃおなもしゅる」
天使がベッドによじ登ってきて私にしがみつく。
ふくふくして可愛い。
マティはなんだか羨ましそうだ。
「マティもおいで」
そう言うと、マティははにかみながらベッドに上がってきた。
みんなで、抱きしめ合う。
これを幸せと言うのかしら?
「もう、みんな離れてくれる! ミーナは俺のなんだからね」
ルカ様が怒りながらそんなことを言う。
「だめよ。離れてあげない。ねぇ~」
3人は顔を見合わせて笑っている。
「ヴィーナはヴィーナのものよ。誰のものでもないの。だからヴィーナは何でも自分で決めて良いのよ。誰かの命令なんて聞かなくていいし、誰かに気を使わなくていいの。リュカはヴィーナのものだけどね」
ママは肩をすくめる。
こんな人に育てられたらきっといい子になる。私はジュリアンをこんな風に育てたかったな。
前世で大人になるまで育てられなかったジュリアンを思い出してしまった。
「ヴィーナ、お願いがあアンソニー叔父さんの養子になって欲しいんだけどどうかな? あなたが生まれたモディオダール国はもうなくなっちゃったの。それでうちの子にしようと思ったんだけど、そしたらリュカと結婚できないでしょ? アンソニーはしょっちゅうここにきてるし、気を使わなくていい人なのどうかな」
あの国はなくなったのか。まぁ、どうでもいい。養子か。どうなんだろう。
「養子に行った先でいじめられませんか?」
「大丈夫。養子と言っても戸籍だけ。あなたたちはうちに住むの。それにアンソニーは一人暮らしだから、誰もいじめないわ」
「奥様は?」
「男色なのよ」
バタン
大きな音がして扉が開いた。
「義姉上! だから男色じゃないって言ってるじゃありませんか! もう! 子供たちは信じますよ」
この人がアンソニー叔父さん?
騎士の格好をしているな。
「ヴィーナちゃん、マティくんはじめまして。アンソニー・ノルスバン、男色じゃないよ。面倒だから結婚してないだけ。うちの養子になったらなんだかんだ便利だと思うよ。うちの子になりなよ」
軽い感じの人だけどいい人みたいだ。
「マティはどうしたい?」
マティは頷いた。
「ボクはこの国いる。だからアンソニーさん、よろしくお願いします」
ママはマティの頭を撫でた。
「決まりね。アンソニー、リカルド様と書類揃えて申請してね」
「承知」
アンソニー叔父さんは私たちに『またね』と言って消えた。
ママは私の答えを聞かずに決めちゃったみたい。
まぁ、いいんだけど。
私はしばらくしてアルヴィーナ・ノルスバンになった。
ルカ様とは従兄弟になったようだ。
「ヴィーナ、目が覚めたのね。身体はどう? 辛くない?」
身体は辛くないなぁ。
「大丈夫です。ありがとうございます」
ミディア様は私の頭を撫でた。
「中身は28歳でも身体は8歳なのよ。もっと甘えていいんだからね。やるときやれば普段は気楽でいいの。私のことはママって呼んで。ここで幸せになりましょう」
良い人だ。私が知ってる大人の中でお母様、お父様以外ではいちばん良い人かもしれない。
私は神様がドラマチックを望んだからあんな目にあったけど、ルカ様は幸せでよかった。
「はい。ママよろしくお願いします」
私の言葉に『任せて』と言い、ママは思いっきり私を抱きしめた。
「ママ、ミーナの骨が折れる。馬鹿力なんだから気をつけてよ」
ルカ様がママを私から引き剥がそうとする。
「ごめんごめん、痛かったね。じゃあ緩めるわ。リュカだけに独り占めさせないわよ。私もヴィーナを可愛がりたいわ」
ママはそう言って私の頬に自分の頬を寄せる。
こんなことされたのは初めてだ。温かい。
「ふぃおなもしゅる」
天使がベッドによじ登ってきて私にしがみつく。
ふくふくして可愛い。
マティはなんだか羨ましそうだ。
「マティもおいで」
そう言うと、マティははにかみながらベッドに上がってきた。
みんなで、抱きしめ合う。
これを幸せと言うのかしら?
「もう、みんな離れてくれる! ミーナは俺のなんだからね」
ルカ様が怒りながらそんなことを言う。
「だめよ。離れてあげない。ねぇ~」
3人は顔を見合わせて笑っている。
「ヴィーナはヴィーナのものよ。誰のものでもないの。だからヴィーナは何でも自分で決めて良いのよ。誰かの命令なんて聞かなくていいし、誰かに気を使わなくていいの。リュカはヴィーナのものだけどね」
ママは肩をすくめる。
こんな人に育てられたらきっといい子になる。私はジュリアンをこんな風に育てたかったな。
前世で大人になるまで育てられなかったジュリアンを思い出してしまった。
「ヴィーナ、お願いがあアンソニー叔父さんの養子になって欲しいんだけどどうかな? あなたが生まれたモディオダール国はもうなくなっちゃったの。それでうちの子にしようと思ったんだけど、そしたらリュカと結婚できないでしょ? アンソニーはしょっちゅうここにきてるし、気を使わなくていい人なのどうかな」
あの国はなくなったのか。まぁ、どうでもいい。養子か。どうなんだろう。
「養子に行った先でいじめられませんか?」
「大丈夫。養子と言っても戸籍だけ。あなたたちはうちに住むの。それにアンソニーは一人暮らしだから、誰もいじめないわ」
「奥様は?」
「男色なのよ」
バタン
大きな音がして扉が開いた。
「義姉上! だから男色じゃないって言ってるじゃありませんか! もう! 子供たちは信じますよ」
この人がアンソニー叔父さん?
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「ヴィーナちゃん、マティくんはじめまして。アンソニー・ノルスバン、男色じゃないよ。面倒だから結婚してないだけ。うちの養子になったらなんだかんだ便利だと思うよ。うちの子になりなよ」
軽い感じの人だけどいい人みたいだ。
「マティはどうしたい?」
マティは頷いた。
「ボクはこの国いる。だからアンソニーさん、よろしくお願いします」
ママはマティの頭を撫でた。
「決まりね。アンソニー、リカルド様と書類揃えて申請してね」
「承知」
アンソニー叔父さんは私たちに『またね』と言って消えた。
ママは私の答えを聞かずに決めちゃったみたい。
まぁ、いいんだけど。
私はしばらくしてアルヴィーナ・ノルスバンになった。
ルカ様とは従兄弟になったようだ。
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