上 下
19 / 21

ジェフリーの独白1(ジェフリー視点)

しおりを挟む
 何が後はよろしく頼むだよ。全くあの人は……。

 私は巻き戻る前の世界も巻き戻ってからの今の世界でもウィルヘルム殿下の側近としてこき使われている。

 回帰前は殿下は今にして思えば8~9歳頃から少しづつ毒を盛られていたので、病弱ですぐに体調を崩していた。
 それまではとても元気だったのに急に原因不明の病になったのであちこちから医師を呼んだりしていたがなかなか回復しなかった。

 王太子が病気だとわかると良く無いらしく、同じ歳で背格好も似ている私は影武者のように王太子の仕事をさせられる事もしばしばだった。

 私には愛する婚約者がいた。領地が隣で親も仲が良かったので婚約したのだが、私はベルが生まれた時にベルをお嫁さんにすると決めていた。
 
 ベルとは少し歳が離れているので可愛くて仕方なかった。大事にしていた。

 しかし、殿下の容体が悪化してくると影武者の仕事が忙しくなり、王宮にカンヅメになってしまいベルに全く会えなくなってしまった。

 月に一度のふたりのお茶会も殿下の仕事があり、キャンセルが続く。

 でも手紙は出していた。なかなかベルから返事がこないので、ベルも学園に入り、忙しいのかもしれないと思っていた。

 やっとのことで無理矢理時間作りベルに会えたのだが、突然婚約を解消してほしいと言われた。私は目の前が真っ暗になった。

 王女に私と別れろと言われ、身の危険を感じるような嫌がらせをされているという。

 なんでもっと早く言わなかったのかと聞いたら、何度も手紙を書いたという。
 
 しかし、手紙は受け取っていない。

 これはおかしい。何があると思ったが、とにかく少し待ってほしいと言った。

 誰かが意図的にやっている。誰だろう?
殿下か?

 確か言っていた「お前はいいよな。元気だし、愛する婚約者もいる。羨ましいよ」と。

 私は粉骨砕身殿下のために働いている。そのためにベルにもろくに会えていない。本当に殿下が犯人なら許せない。

 追求しようと王宮の殿下の元に戻ったが、その時殿下はすでに昏睡状態だった。

 影にベルを守ってほしいと頼んだが、私は王族では無いのでダメだと言われた。

 昏睡状態の殿下の元に行き、意識が戻った時に影に命令してもらうように頼み、命を出してもらったが遅かった。

 ベルが亡くなったと連絡を受けた時、殿下も亡くなられたばかりだったが、すぐに王宮を飛び出した。

 ベルは眠っているようだった。

 私は誰がベルを殺したのが調べた。黒幕はグリーデン公爵と側妃だった。

 ふたりは結託し、殿下に長い間少しづつ毒を盛り、病で亡くなったと見せかけ側妃の娘の王女を女王にしようとしていた。

 殿下の影武者として長い間執務をしてきた私を女王の王配とし仕事をさせるつもりだったようだ。王女がベルに私と別れろと嫌がらせをしていたのはそのせいだった。

 そしてなかなか婚約を解消しないので毒を盛った。

 全てのことを知り、私はキレた。

 私が腹黒ければこのまま王配におさまり、じわじわと復讐していったかもしれないが、私にはそんなことはできない。

 ベルのいないこの世界で生きていても、仕方ない。

 私はグリーデン公爵と側妃、そして王女を惨殺し、ベルの墓の前で自死した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】処刑された王太子妃はなぜか王太子と出会う前に戻っていた

hikari
恋愛
マドレーヌは無実の罪を着せられ、処刑された。王太子は浮気をしていたのだ。 そして、目が覚めると王太子と出会う前に戻っていた……。 王太子と出会ったのはある日の舞踏会。その日からマドレーヌは他の男性と踊る事を決める。 舞踏会にはたまたま隣国のジェーム王子もいた。 そして、隣国の王子ジェームスはマドレーヌに惹かれていく……。 ※ざまぁの回には★印があります。 令和4年4月9日19時22分完結

幼馴染の公爵令嬢が、私の婚約者を狙っていたので、流れに身を任せてみる事にした。

完菜
恋愛
公爵令嬢のアンジェラは、自分の婚約者が大嫌いだった。アンジェラの婚約者は、エール王国の第二王子、アレックス・モーリア・エール。彼は、誰からも愛される美貌の持ち主。何度、アンジェラは、婚約を羨ましがられたかわからない。でもアンジェラ自身は、5歳の時に婚約してから一度も嬉しいなんて思った事はない。アンジェラの唯一の幼馴染、公爵令嬢エリーもアンジェラの婚約者を羨ましがったうちの一人。アンジェラが、何度この婚約が良いものではないと説明しても信じて貰えなかった。アンジェラ、エリー、アレックス、この三人が貴族学園に通い始めると同時に、物語は動き出す。

【完結】貴族社会に飽き飽きした悪役令嬢はモブを目指すが思わぬ事態に遭遇してしまう

hikari
恋愛
クララは王太子と婚約していた。しかし、王太子はヴァネッサというクララのクラスメイトと浮気をしていた。敢え無く婚約は破棄となる。 クララはある日夢を見た。そして、転生者である事や自分が前世プレーしていた乙女ゲーム『今宵は誰と睦まじく』の悪役令嬢に転生していた事を知る。さらに、ヒロインは王太子を奪ったヴァネッサであった。 クララは前世、アラフォー独身社畜だった。前世で結婚できなかったから、今世ではしあわせになると決めた。 所詮、王太子とは政略結婚。貴族社会に嫌気が差し、平民のトールと一緒になろうとしたが、トールは実は原作とは違ったキャラだった。

私は悪役令嬢なの? 婚約破棄して悪役にならない道を選びました

hikari
恋愛
エマニュエル王太子から婚約破棄されたその晩、アレクシアは夢を見た。そして気づいた。自分はある乙女ゲーの悪役令嬢に転生した事を。とはいえ、ゲームの内容とは少し違う。だったら、自分は平民のモブキャラを好きになれば良いのね。 本当の悪役はエマニュエル王太子を略奪したジェシカだった。 好きになったモブキャラは実は行方不明の隣国のアルキューオネ帝国の皇子だった!! 転生大井亜里沙であることを理解してくれたのは無二の親友ヴィクトリアだった。 ヒロインはジェシカと仲が良くない。だったら、悪役にならなければ良いんだ! とアレクシアは思った。ヒロインに協力し、ヒロインの意中の彼を射止めることにする。ヒロインが好きなのは実はスポーツマンのゲイルだった。 極めつけはエマニュエルはアレクシアと婚約中にジェシカと交際していた事が国王に知られ、ジェシカ共々国を追われる最高なスッキリざまぁ。 ざまあの回には★がついています。 悪役令嬢ものは今作で最後になる予定です。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです

シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」  卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?  娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。  しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。  婚約破棄されている令嬢のお母様視点。  サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。  過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。

処理中です...