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やれることをやるしかない(セシル視点)

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 瞬間移動魔法を使い私達は無事、王宮に到着した。荷物は今頃それぞれの屋敷に到着しているだろう。

 王宮では、陛下、王妃様、レオナルド殿下、宰相閣下、ミッシェル様、リックさまとそれぞれの家族が待っていた。
「2年の間ご苦労であった。後日帰還パーティーを催すので、今日は戻ってゆっくりするがよい」
 国王陛下から労いのお言葉をもらった。陛下はお言葉を続ける。
「君達の2回目の人生の話は興味深く聞かせてもらっている。また日を改めて詳しく聞かせてもらいたい」
「「畏まりました」」
 私達は返事をし、それぞれの家族とともに王宮を後にした。

「帰ってきたばかりで申し訳ないが明日、また王宮に来てくれるか? いろんな話を聞かせて欲しい。特に1回目の人生とか、バルダナス国の事や魔法について聞かせてほしい」
 帰り際にレオナルド殿下が言う。私達は明日も王宮に集まることになった。

 しかし、ジークハルトがスパリーナ国に残るとは驚いた。
 王立学校に入学しないで、スパリーナ国の魔法騎士団に正式に入団するとは。
 そうなると、本当にユアン殿下の側近になるかもしれないな。

 これは、今の世界でレティシア嬢が救いの神子ではなく、女神スパリーナの神子になっていたからか?
 時間を巻き戻す魔法は女神スパリーナに認められないと使えないと言っていたし、巻き戻す魔法を使う条件がレティシア嬢が女神スパリーナの神子となり、ジークハルトも女神スパリーナに忠誠を誓ったのかもしれない。
 ジークハルトは決してレティシア嬢から離れないだろうし、スパリーナ国に残るのは仕方ない事なのかもしれない。

 まぁ、考えても仕方ない。私も出来るならばスパリーナ国の魔法学校に行きたい。 そして、もっと魔道具の研究がしたい。
 我が国の魔法学校では魔道具の研究はやっていない。入ってもやりたい事はない。
ダメ元で父に行かせてほしいと頼んでみよう。
 通うのは瞬間移動魔法で通うのもありだし。
 私もそろそろ自己主張してもいいだろう。

 次の日、私達はレオナルド殿下のところに集まっていた。ジークハルトも瞬間移動魔法で来ている。
「私は国に帰ってから、キサリエル魔導士団長からジュリエッタ嬢の知るこの世界に起きたことを色々聞いて、バルダナス国のことを調べてみた。確かに攻め込む前には魅了魔法を使う工作員を潜入させ国内の守りをガタガタにするらしい」
 殿下はだんだん難しい顔になる。
「私もしてやられた口だな。きっと私は前の人生でエリーゼに余程酷いことをしたんだろう。最初に会った時からエリーゼは私を嫌っていた。それなのに長い間、私の側にいてくれた。辛かっただろう。ユアン殿下と幸せになってくれるといいな」
 哀しそうに言う。
「姉は決して殿下を嫌ってはおりませんでした。留学していなければ立派に国母となっていたでしょう。全ては神の心のままでございます」
 ミッシェルが殿下を慰める。
「前の人生では皆それぞれの婚約者に酷いことした。今の人生ではそうならないようにバルダナス国の侵略を阻止すればいい」
 ジークハルトも殿下を慰める。

 私は立ち上がり、殿下の隣に行った。
「前の人生の事より今の人生が良いものになるように皆で力を合わせてがんばりましょう。私達はスパリーナ国で色んな事を学んだ。バルダナス国なんかに好きにさせません」
 そう言って殿下の背中をぽんと叩く。
「私も魔物もやっつけられるくらい強くなりましたよ」
 場の雰囲気を明るくしようとちょっと戯けて言ってみた。場を明るくするのは私の役割のような気がする。

「シャロンが現れるまであと3年。それまでにバルダナス国を崩壊させましょう。我が国を戦場にしないようにしましょう」
 ジュリエッタが言う。

 同じ失敗は繰り返さない。私達は自分のやるべき事をやりだそうとしていた。
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