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番外編
次期国王決まる1
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急にお祖母様に呼び出された。
「リカルド様、お祖母様のお話ってなんでしょうね?」
「父上の具合があまり良くないから、次の国王の話かもしれないな」
義父である国王陛下は最近、身体の調子が悪く、床につくことも多くなっている。仕事は元々そんなにしていないので影響はないのだが、そろそろ次の国王を決めておくべきなのかもしれない。
王宮に到着すると、すでにみんな集まっていた。
国王陛下、王妃様、宰相のオーウェン様、アンソニー、ソフィア、ウィリアム、マデレイネ。そしてリュカもいる。
義弟達は一応王位継承権は放棄しているが、家族なのでこの場に呼ばれているのかな?
やはりリュカがいるということはあれほど拒否していたが、リュカがするのか?
「王妃様、今日は何の呼び出しですか? こんなにみんなが揃うのは久しぶりですね」
王妃様の側に行き、挨拶の後聞いてみた。
「あれよあれ。陛下もそろそろ引退させようと思っているのよ。王太后様が水面化で色々動いていたみたいよ」
そうなんだ。誰になるんだろう?
今更リカルド様とか言わないだろうし、リュカは絶対拒否の姿勢だがこの場にいるし。ダークホースでシャル? ないない。シャルは国王の器じゃないわ。まだリリの方が向いていると思う。
それにシャルの瞳の色は私と同じ紫だ。この国の王はブロンドの髪とエメラルドグリーンの瞳と決まっている。
私達が歓談しているとお祖母様が現れた。
「みんな集まってくれてありがとう。次の王太子を決めたの。現国王にはそろそろ引退してもらおうと思うのよ。それで1年位王太子をして、来年には即位してもらうつもりよ」
来年には即位か。国王教育とかの時間があまりない。大変だろうなぁ。
お祖母様は話を続ける。
「幼い頃から国王教育はしているからもう何も問題はないと思うけど、みんな次期国王を支えてね」
幼い頃から国王教育をしている? 誰? そんな人いたのね。
私は誰が次期国王になるのか興味津々だ。
「フィオナ、アス、こちらに」
お祖母様に言われて部屋の奥からフィオナとアスが出て来た。
へ? まさか?
お祖母様はふたりを前に出した。
「次期国王はフィオナ、アスには王配になってもらうわ。王太子の発表は来週。国王の戴冠式は来年の予定よ。戴冠式に一緒に結婚式もするわね」
いやいや、初耳だわ。リカルド様知っていたのかしら?
リカルド様を見ると首を振っている。リカルド様も知らなかったのね。
リュカを見たら、黒い顔で口角を上げている。リュカは知ってたのね。
そういえば、フィオナは小さい頃から毎日アスと一緒に王宮に通っていたわ。遊びに行ってるとばかり思っていたけど、国王教育をしていたのか。エスタゾラム王国に留学していたのも女王について勉強していたのね。
「皆さん、私はまだまだ若輩者で国王に即位しても皆さんのお力に頼ることもたくさんあると存じます。どうか私と王配のマティーアスにお力をお貸し下さいませ。よろしくお願い致します」
フィオナは美しいカーテシーをした。
「私は王配としてフィオナを支えていく所存でございます。若輩者ではありますが粉骨砕身がんばります。どうか皆様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」
アスも私達に頭を下げた。
ちゃんと挨拶ができたので、ママは嬉しいよ。
「リュカは知ってたの?」
私はリュカの腕を掴んだ。
「まぁな。大ばぁばからフィオナが次の女王だから、協力してって言われたんだ。いつだったかな? あんまり早くから発表したら、フィオナが潰れちゃダメだから内緒にしてくれって言われてさ。知っていたのは俺とオーウェンのおっさんくらいじゃないかな」
そうだったのか。
私はフィオナにも声をかけた。
「おめでとうでいいのかしら?」
「どうかな? おめでたいかどうかわからないわ」
「そうね。そんな小さい頃から勉強してたなんて知らなかったわ」
「私も知らなかったの。あれが国王教育だったなんて。アスと一緒に遊びに来てるだけだったんだけどね」
遊びながら勉強か。
「でも、エスタゾラム王国で4年間みっちり王女について勉強したわ。じぃじよりは仕事ができるつもりよ」
フィオナはふふふ笑う。
やっぱり国王陛下は評価低いのね。
「お祖母様、驚きましたわ。フィオナが次期国王だなんて、いつから決めておられたのですか?」
「生まれた時よ」
「生まれた時?」
「ノルスバンの王になる者はみんなブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳というのは知ってるわね」
「はい」
「これはもう、私しか知らないことなのだけれど、王位継承者は右の瞳だけエメラルドグリーンが少し濃いのよ。フィオナの瞳をよく見て。左右濃さが違うでしょ? 私もなのよ。
リカルドは左右同じ色だったけど優秀だったから国王にするために育てたんだけど、やはり選ばれた継承者ではなかったのね。
だからリュカも違うと思ったの。いったい神様は誰を後継者にするつもりなのかと思っていたのだけれど、フィオナの瞳を見て、あぁこの子なのねと理解したわ。それからリュカに詳しい話をしてフィオナに秘密裏に国王教育をすることにしたの。リュカは初代国王の生まれ変わりだからね」
お祖母様はクスクス笑う。
なるほどそうなのね。
「瞳の左右の色か。同じ色で良かったよ」
リカルド様がぼそっと呟いた。
戴冠式と結婚式まであと1年。忙しくなりそうだな。
「リカルド様、お祖母様のお話ってなんでしょうね?」
「父上の具合があまり良くないから、次の国王の話かもしれないな」
義父である国王陛下は最近、身体の調子が悪く、床につくことも多くなっている。仕事は元々そんなにしていないので影響はないのだが、そろそろ次の国王を決めておくべきなのかもしれない。
王宮に到着すると、すでにみんな集まっていた。
国王陛下、王妃様、宰相のオーウェン様、アンソニー、ソフィア、ウィリアム、マデレイネ。そしてリュカもいる。
義弟達は一応王位継承権は放棄しているが、家族なのでこの場に呼ばれているのかな?
やはりリュカがいるということはあれほど拒否していたが、リュカがするのか?
「王妃様、今日は何の呼び出しですか? こんなにみんなが揃うのは久しぶりですね」
王妃様の側に行き、挨拶の後聞いてみた。
「あれよあれ。陛下もそろそろ引退させようと思っているのよ。王太后様が水面化で色々動いていたみたいよ」
そうなんだ。誰になるんだろう?
今更リカルド様とか言わないだろうし、リュカは絶対拒否の姿勢だがこの場にいるし。ダークホースでシャル? ないない。シャルは国王の器じゃないわ。まだリリの方が向いていると思う。
それにシャルの瞳の色は私と同じ紫だ。この国の王はブロンドの髪とエメラルドグリーンの瞳と決まっている。
私達が歓談しているとお祖母様が現れた。
「みんな集まってくれてありがとう。次の王太子を決めたの。現国王にはそろそろ引退してもらおうと思うのよ。それで1年位王太子をして、来年には即位してもらうつもりよ」
来年には即位か。国王教育とかの時間があまりない。大変だろうなぁ。
お祖母様は話を続ける。
「幼い頃から国王教育はしているからもう何も問題はないと思うけど、みんな次期国王を支えてね」
幼い頃から国王教育をしている? 誰? そんな人いたのね。
私は誰が次期国王になるのか興味津々だ。
「フィオナ、アス、こちらに」
お祖母様に言われて部屋の奥からフィオナとアスが出て来た。
へ? まさか?
お祖母様はふたりを前に出した。
「次期国王はフィオナ、アスには王配になってもらうわ。王太子の発表は来週。国王の戴冠式は来年の予定よ。戴冠式に一緒に結婚式もするわね」
いやいや、初耳だわ。リカルド様知っていたのかしら?
リカルド様を見ると首を振っている。リカルド様も知らなかったのね。
リュカを見たら、黒い顔で口角を上げている。リュカは知ってたのね。
そういえば、フィオナは小さい頃から毎日アスと一緒に王宮に通っていたわ。遊びに行ってるとばかり思っていたけど、国王教育をしていたのか。エスタゾラム王国に留学していたのも女王について勉強していたのね。
「皆さん、私はまだまだ若輩者で国王に即位しても皆さんのお力に頼ることもたくさんあると存じます。どうか私と王配のマティーアスにお力をお貸し下さいませ。よろしくお願い致します」
フィオナは美しいカーテシーをした。
「私は王配としてフィオナを支えていく所存でございます。若輩者ではありますが粉骨砕身がんばります。どうか皆様、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます」
アスも私達に頭を下げた。
ちゃんと挨拶ができたので、ママは嬉しいよ。
「リュカは知ってたの?」
私はリュカの腕を掴んだ。
「まぁな。大ばぁばからフィオナが次の女王だから、協力してって言われたんだ。いつだったかな? あんまり早くから発表したら、フィオナが潰れちゃダメだから内緒にしてくれって言われてさ。知っていたのは俺とオーウェンのおっさんくらいじゃないかな」
そうだったのか。
私はフィオナにも声をかけた。
「おめでとうでいいのかしら?」
「どうかな? おめでたいかどうかわからないわ」
「そうね。そんな小さい頃から勉強してたなんて知らなかったわ」
「私も知らなかったの。あれが国王教育だったなんて。アスと一緒に遊びに来てるだけだったんだけどね」
遊びながら勉強か。
「でも、エスタゾラム王国で4年間みっちり王女について勉強したわ。じぃじよりは仕事ができるつもりよ」
フィオナはふふふ笑う。
やっぱり国王陛下は評価低いのね。
「お祖母様、驚きましたわ。フィオナが次期国王だなんて、いつから決めておられたのですか?」
「生まれた時よ」
「生まれた時?」
「ノルスバンの王になる者はみんなブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳というのは知ってるわね」
「はい」
「これはもう、私しか知らないことなのだけれど、王位継承者は右の瞳だけエメラルドグリーンが少し濃いのよ。フィオナの瞳をよく見て。左右濃さが違うでしょ? 私もなのよ。
リカルドは左右同じ色だったけど優秀だったから国王にするために育てたんだけど、やはり選ばれた継承者ではなかったのね。
だからリュカも違うと思ったの。いったい神様は誰を後継者にするつもりなのかと思っていたのだけれど、フィオナの瞳を見て、あぁこの子なのねと理解したわ。それからリュカに詳しい話をしてフィオナに秘密裏に国王教育をすることにしたの。リュカは初代国王の生まれ変わりだからね」
お祖母様はクスクス笑う。
なるほどそうなのね。
「瞳の左右の色か。同じ色で良かったよ」
リカルド様がぼそっと呟いた。
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