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番外編
アンソニーの恋3(レイチェル視点)
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ミディアお義姉様に相談してよかった。
もう私の胸だけに納めておくなんてできない。ソフィアと黙っておくと約束したけど辛くて。
お義姉様にロバート様に話さなきゃダメと言われたので話そうと思う。
何で早く言わないんだと怒られそうだけど、ロバート様に話をしても解決できそうもないものね。
辛い人を増やすだけだもの。
でもお義姉様はちがう。絶対何とかしてくれるはず。
「ロバート様、お話があるのです」
私は学園の帰りに馬車の中で思い切って話をしてみた。
「何かな? 改まってお話があるだなんて」
「ソフィアの話です。黙っておいて欲しいと言われたのですが、私が黙っていたらソフィアは不幸になります。だから昨日思い切ってお義姉様に相談したら、ロバート様にも話をしなきゃダメと言われました」
ロバート様は驚いた顔をしている。
「姉上に? 相談する前に一言言って欲しかったな。姉上に言ったら穏便では済まないよ。わかってる?」
「穏便に済ませたくないから相談しました。なんとかできるのはお義姉様しかいないです」
「そうか。ソフィア嬢とアンソニーを結婚させたいとかそういうこと?」
ロバート様は腕組みをして呆れた顔をしている。
きっと貧乏な伯爵令嬢と王子様を結婚させたいだけだと思っているのだろう。
「ソフィアが売られるんです」
私はロバート様の顔を見てぽつりと呟いた。
「売られる?」
「はい。借金を返すためにお年寄りの男爵の後妻に売られるんです」
「ちょっと待って、ランタス伯爵家って娘を売らなきゃならない程大変なのか?」
ロバート様は前のめりになり、私の肩をがしっと掴む。
「ロバート様やアンソニー様に知られるのが嫌だから黙っていて欲しいと言われていました。お金目当てで近づいたと思われたくないと」
「そんなこと思うわけがないのに……」
「私がいくらそう言ってもソフィアは聞き入れてくれませんでした。いくらアンソニー様を好きになっても身分が違いすぎる。このまま家のために支援してくれる人のところに行くというのです」
私は話しながら涙が止まらなかった。
ソフィアとは同じ伯爵家の娘で淑女学校の頃から仲が良かった。
ソフィアの家は領地は災害の被害を受け、大変なことになった。
お父様がずっと領地で陣頭指揮を取り頑張っていたが、王立学園に入り少しした頃から身体を壊して寝込むようになった。
お兄様とお母様がお父様を支えて頑張っていたが思うように復興できず、借金ばかりが増えていったようだ。
ソフィアも得意の刺繍をして、家を支えている。
私は父にソフィアのことを話して支援してもらおうとしたが、ソフィアにレイチェルの家に迷惑はかけられないと断られてしまった。
私はロバート様に今までの話を全て話した。
「その男爵家とはどこだかわかるか。」
「確か、ナゼア男爵だと言っていたような」
「ナゼア男爵? あのナゼア男爵か?」
ロバート様は怖い顔になった。
「ソフィア嬢はナゼア男爵がどんな人が知っているのか? 知っていて家のために犠牲になると言うのか?」
「どんな人なのですか?」
私は名前くらいしか知らない。
「ナゼア男爵は何度も結婚していて、夫人達は皆、使用人のように扱われ、挙げ句の果てには原因不明の病で亡くなったり、事故にあったり、まともな亡くなり方はしていない。それに愛妾もたくさんいるが、飽きるとゴミを捨てるかのように捨てるそうだ。鉱山を持っているのでお金は潤っているので仕事もせず女にうつつをぬかしていると母が怒っていた」
「ソフィアも使用人のように使われて殺されるの?」
「多分な」
「嫌ぁ~!」
私は泣き叫んでしまった。
「大丈夫だ。姉上が動いているなら悪いようにはしないだろう。とにかくアンソニーに知らせよう」
私を屋敷まで送った後、ロバート様はアンソニー様に会うと王宮に向かった。
もう私の胸だけに納めておくなんてできない。ソフィアと黙っておくと約束したけど辛くて。
お義姉様にロバート様に話さなきゃダメと言われたので話そうと思う。
何で早く言わないんだと怒られそうだけど、ロバート様に話をしても解決できそうもないものね。
辛い人を増やすだけだもの。
でもお義姉様はちがう。絶対何とかしてくれるはず。
「ロバート様、お話があるのです」
私は学園の帰りに馬車の中で思い切って話をしてみた。
「何かな? 改まってお話があるだなんて」
「ソフィアの話です。黙っておいて欲しいと言われたのですが、私が黙っていたらソフィアは不幸になります。だから昨日思い切ってお義姉様に相談したら、ロバート様にも話をしなきゃダメと言われました」
ロバート様は驚いた顔をしている。
「姉上に? 相談する前に一言言って欲しかったな。姉上に言ったら穏便では済まないよ。わかってる?」
「穏便に済ませたくないから相談しました。なんとかできるのはお義姉様しかいないです」
「そうか。ソフィア嬢とアンソニーを結婚させたいとかそういうこと?」
ロバート様は腕組みをして呆れた顔をしている。
きっと貧乏な伯爵令嬢と王子様を結婚させたいだけだと思っているのだろう。
「ソフィアが売られるんです」
私はロバート様の顔を見てぽつりと呟いた。
「売られる?」
「はい。借金を返すためにお年寄りの男爵の後妻に売られるんです」
「ちょっと待って、ランタス伯爵家って娘を売らなきゃならない程大変なのか?」
ロバート様は前のめりになり、私の肩をがしっと掴む。
「ロバート様やアンソニー様に知られるのが嫌だから黙っていて欲しいと言われていました。お金目当てで近づいたと思われたくないと」
「そんなこと思うわけがないのに……」
「私がいくらそう言ってもソフィアは聞き入れてくれませんでした。いくらアンソニー様を好きになっても身分が違いすぎる。このまま家のために支援してくれる人のところに行くというのです」
私は話しながら涙が止まらなかった。
ソフィアとは同じ伯爵家の娘で淑女学校の頃から仲が良かった。
ソフィアの家は領地は災害の被害を受け、大変なことになった。
お父様がずっと領地で陣頭指揮を取り頑張っていたが、王立学園に入り少しした頃から身体を壊して寝込むようになった。
お兄様とお母様がお父様を支えて頑張っていたが思うように復興できず、借金ばかりが増えていったようだ。
ソフィアも得意の刺繍をして、家を支えている。
私は父にソフィアのことを話して支援してもらおうとしたが、ソフィアにレイチェルの家に迷惑はかけられないと断られてしまった。
私はロバート様に今までの話を全て話した。
「その男爵家とはどこだかわかるか。」
「確か、ナゼア男爵だと言っていたような」
「ナゼア男爵? あのナゼア男爵か?」
ロバート様は怖い顔になった。
「ソフィア嬢はナゼア男爵がどんな人が知っているのか? 知っていて家のために犠牲になると言うのか?」
「どんな人なのですか?」
私は名前くらいしか知らない。
「ナゼア男爵は何度も結婚していて、夫人達は皆、使用人のように扱われ、挙げ句の果てには原因不明の病で亡くなったり、事故にあったり、まともな亡くなり方はしていない。それに愛妾もたくさんいるが、飽きるとゴミを捨てるかのように捨てるそうだ。鉱山を持っているのでお金は潤っているので仕事もせず女にうつつをぬかしていると母が怒っていた」
「ソフィアも使用人のように使われて殺されるの?」
「多分な」
「嫌ぁ~!」
私は泣き叫んでしまった。
「大丈夫だ。姉上が動いているなら悪いようにはしないだろう。とにかくアンソニーに知らせよう」
私を屋敷まで送った後、ロバート様はアンソニー様に会うと王宮に向かった。
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