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番外編
巻き戻すか(ジェット視点)
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「ジェット様、ミディア様がおかえりですよ」
メアリーが私を呼びに来た。
ママには本当に困ったものだ。
アンソニー叔父上は今世では結婚せず、ひとりで生涯過ごす予定になっていた。まぁ、ひとりと言ってもしょっちゅう我が家にいるし、騎士団の仕事もある。使用人も精鋭揃いだし、淋しくもなく、不便でもない。
それをママは覆そうとしている。
神をも動かすとんでもないママだ。
だが、元はといえば動かしたのは神様だ。
ママは無意識に軌道修正しようとしているんだろう。
さっき、神様に呼ばれてちょっと天界に戻っていた。
神様は憔悴していた。
「ジェットよ。ミディアローズにソフィアを幸せにしないと許さない。締め上げると言われたんじゃ」
またママはお願いしたんだな。
「ソフィアさんの運命を変えるのですか?」
「だってミディアローズに締め上げられるのは嫌だしな」
「アンソニー叔父上と結婚ですか」
「まぁ、本来ならふたりは結婚していたのだが、ウィリアムを助けるためにアンソニーの幸せを少し削ったからな」
人は生まれてから死ぬまで運命は大体決められている。
実はアンソニー叔父上の人生は神様によって変えられていた。
本当の人生は、ソフィアさんが家の為にお金で男爵家に売られる寸前で一緒に他国に逃げるようになっていた。
他国でふたりは平民になり、それなりに幸せに暮らすはずだったのだ。
だが、その頃、諜報活動のためにジェニナック王国に潜入していたウィリアム叔父上が捕まり、そして恋に落ちた。
拷問を受け瀕死の重傷を負ったウィリアム叔父上の事を恋人のマデレイネ様は助かるように一心に祈った。
神様は美人に弱い。本当ならウィリアム叔父上はそこで亡くなるはずだったのに、双子だからまぁいいかとアンソニー叔父上の幸せの量をウィリアム叔父上に回してしまったのだ。
それを知った時、私はため息をついた。
「神様、ちょっと浅はかじゃないですか? ソフィアさんの幸せはどうするのですか?」
「来世に持っていくことにするかな」
「それ、ママが知ったら大変ですよ。いくら美人に頼まれたからって人の運命を変えちゃだめです」
「双子だし、いいかと思ったんだ。もう、変えてしまったのだから仕方ない」
神様は開き直った。
私は仕方がないので、男爵を早めに殺し、離縁し、レイチェル叔母上を利用して、ソフィアさんを我が領地に来るように導いた。
もう少し早くそのことを知っていればソフィアさんに辛い思いをさせる事は阻止できたのに、あの頃はまだ産まれる前で、しかもあの事件でごたごたしていて、忙しかったので神様の愚行を見落としてしまった。
さて、どうしたものか?
このまま会わせても、2人はかなり拗らせているしなぁ。
叔父上は裏切られたと思っているが、いまだにソフィアさんを忘れられない。
ソフィアさんは自分がそばにいてはアンソニー叔父上が不幸になると身を引き、家族の犠牲になった。今でも叔父上を思っている。
これ、ママが知ったら神様は吊し上げられるな。
正座してお説教だけじゃ済まない。神様はきっと拷問を受けるな。
結婚した男爵が良い人だったらまだ救いはあったんだけどね。
アンソニー叔父上とソフィアさんの時を少し戻すか。
学生時代に時を戻し、男爵の後妻にならなくてもいいようにするか。
ママだな。ママにおせっかいをやかせよう。
私は時を戻し、ママにふたりを幸せにする為に動いてもらうことにした。
元はといえば神様が悪い。
神たるもの私情で運命を捻じ曲げてはいけない。
私は時を止め、巻き戻した。
*次回からちょっとだけ、アンソニーの学生時代のお話になります。まだ若いミディア頑張ります*
メアリーが私を呼びに来た。
ママには本当に困ったものだ。
アンソニー叔父上は今世では結婚せず、ひとりで生涯過ごす予定になっていた。まぁ、ひとりと言ってもしょっちゅう我が家にいるし、騎士団の仕事もある。使用人も精鋭揃いだし、淋しくもなく、不便でもない。
それをママは覆そうとしている。
神をも動かすとんでもないママだ。
だが、元はといえば動かしたのは神様だ。
ママは無意識に軌道修正しようとしているんだろう。
さっき、神様に呼ばれてちょっと天界に戻っていた。
神様は憔悴していた。
「ジェットよ。ミディアローズにソフィアを幸せにしないと許さない。締め上げると言われたんじゃ」
またママはお願いしたんだな。
「ソフィアさんの運命を変えるのですか?」
「だってミディアローズに締め上げられるのは嫌だしな」
「アンソニー叔父上と結婚ですか」
「まぁ、本来ならふたりは結婚していたのだが、ウィリアムを助けるためにアンソニーの幸せを少し削ったからな」
人は生まれてから死ぬまで運命は大体決められている。
実はアンソニー叔父上の人生は神様によって変えられていた。
本当の人生は、ソフィアさんが家の為にお金で男爵家に売られる寸前で一緒に他国に逃げるようになっていた。
他国でふたりは平民になり、それなりに幸せに暮らすはずだったのだ。
だが、その頃、諜報活動のためにジェニナック王国に潜入していたウィリアム叔父上が捕まり、そして恋に落ちた。
拷問を受け瀕死の重傷を負ったウィリアム叔父上の事を恋人のマデレイネ様は助かるように一心に祈った。
神様は美人に弱い。本当ならウィリアム叔父上はそこで亡くなるはずだったのに、双子だからまぁいいかとアンソニー叔父上の幸せの量をウィリアム叔父上に回してしまったのだ。
それを知った時、私はため息をついた。
「神様、ちょっと浅はかじゃないですか? ソフィアさんの幸せはどうするのですか?」
「来世に持っていくことにするかな」
「それ、ママが知ったら大変ですよ。いくら美人に頼まれたからって人の運命を変えちゃだめです」
「双子だし、いいかと思ったんだ。もう、変えてしまったのだから仕方ない」
神様は開き直った。
私は仕方がないので、男爵を早めに殺し、離縁し、レイチェル叔母上を利用して、ソフィアさんを我が領地に来るように導いた。
もう少し早くそのことを知っていればソフィアさんに辛い思いをさせる事は阻止できたのに、あの頃はまだ産まれる前で、しかもあの事件でごたごたしていて、忙しかったので神様の愚行を見落としてしまった。
さて、どうしたものか?
このまま会わせても、2人はかなり拗らせているしなぁ。
叔父上は裏切られたと思っているが、いまだにソフィアさんを忘れられない。
ソフィアさんは自分がそばにいてはアンソニー叔父上が不幸になると身を引き、家族の犠牲になった。今でも叔父上を思っている。
これ、ママが知ったら神様は吊し上げられるな。
正座してお説教だけじゃ済まない。神様はきっと拷問を受けるな。
結婚した男爵が良い人だったらまだ救いはあったんだけどね。
アンソニー叔父上とソフィアさんの時を少し戻すか。
学生時代に時を戻し、男爵の後妻にならなくてもいいようにするか。
ママだな。ママにおせっかいをやかせよう。
私は時を戻し、ママにふたりを幸せにする為に動いてもらうことにした。
元はといえば神様が悪い。
神たるもの私情で運命を捻じ曲げてはいけない。
私は時を止め、巻き戻した。
*次回からちょっとだけ、アンソニーの学生時代のお話になります。まだ若いミディア頑張ります*
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