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番外編
アンソニーを迎えに行きました
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レイチェルとソフィアさんには我が家に行ってもらうお願いをして、私とロバートはアンソニーの屋敷に飛んだ。そろそろアンソニーが戻っているはず
「あれ? 義姉上、それにロバートまで一緒なんて珍しい。どうしたのですか?」
アンソニーは相変わらず呑気な顔で剣の手入れをしている。
アンソニーが住んでいる王都にあるロラメット侯爵家のタウンハウスは王位継承権を放棄して臣籍降下した時に王宮から着いてきたアンソニー付きだった使用人がいるだけのこぢんまりした屋敷だ。もともと跡継ぎを作るつもりはないと一代侯爵のつもりだったので大きな屋敷は要らないと今の屋敷になった。
アスやヴィーナを養子に迎えたので、アスにロラメットを継がせるのなら一代ではなくすると国王陛下は言ってくださっているそうだが、アンソニーは「アスとフィオナが決めればいいさ」とふたりに任せているそうだ。
「あなたのお嫁さんを見つけたの。結婚しなさい。私の命令で弱いなら、王妃様、国王陛下、お祖母様がいいかしら? 命を出してもらうわ」
私がそう言うとアンソニーは苦笑した。
「義姉上、急になんですか? 俺は結婚しないと何度も言っているではありませんか」
(相手はレベッカさんのところでお仕事をしている女性で、あなたと同じ年なの。お願い。アンソニーお願いだからその人と結婚して」
私はアンソニーの両手を握って懇願した。
「アンソニー、結婚しろ。するしかない」
ロバートも援護射撃をしてくれている。
「ロバートまでどういう事だよ」
「レイチェルに真実を聞いた」
「真実?」
「真実の愛だよ」
ロバート何言ってるの? そりゃ真実の愛だろうけど、なんか違わない?
案の定アンソニーは怪訝な顔をしている。
「お前の唯一無二と結婚しろって言ってるんだ」
「俺の唯一無二?」
「ずっと後悔してるんだろ? あの時なんで手を離したのかって。姉上に男色と思われるくらい一途に思ってるのに」
アンソニーは首を左右に振った。
「ふたりとも何を言っているのかよくわからない。俺はこのままでいいんだ。ほっといてくれ」
「だめよ。本当に結ばれる運命なら離れてもまためぐり逢うのよ。幸せにならなきゃダメ」
拗れた2人の赤い糸をなんとか元に戻したい。
お節介なのはわかっているけど、ソフィアさんに会って、事情を知ってしまった以上、放っておくわけにはいかない。
やっぱり私じゃダメなのかな。こういう繊細な心の機微みたいなのは苦手なの。とにかく我が家に連れて行こう。みんなに説得してもらおう。
私はアンソニーの腕を掴んで我が家に魔法で移動した。
「あれ? 義姉上、それにロバートまで一緒なんて珍しい。どうしたのですか?」
アンソニーは相変わらず呑気な顔で剣の手入れをしている。
アンソニーが住んでいる王都にあるロラメット侯爵家のタウンハウスは王位継承権を放棄して臣籍降下した時に王宮から着いてきたアンソニー付きだった使用人がいるだけのこぢんまりした屋敷だ。もともと跡継ぎを作るつもりはないと一代侯爵のつもりだったので大きな屋敷は要らないと今の屋敷になった。
アスやヴィーナを養子に迎えたので、アスにロラメットを継がせるのなら一代ではなくすると国王陛下は言ってくださっているそうだが、アンソニーは「アスとフィオナが決めればいいさ」とふたりに任せているそうだ。
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私がそう言うとアンソニーは苦笑した。
「義姉上、急になんですか? 俺は結婚しないと何度も言っているではありませんか」
(相手はレベッカさんのところでお仕事をしている女性で、あなたと同じ年なの。お願い。アンソニーお願いだからその人と結婚して」
私はアンソニーの両手を握って懇願した。
「アンソニー、結婚しろ。するしかない」
ロバートも援護射撃をしてくれている。
「ロバートまでどういう事だよ」
「レイチェルに真実を聞いた」
「真実?」
「真実の愛だよ」
ロバート何言ってるの? そりゃ真実の愛だろうけど、なんか違わない?
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「お前の唯一無二と結婚しろって言ってるんだ」
「俺の唯一無二?」
「ずっと後悔してるんだろ? あの時なんで手を離したのかって。姉上に男色と思われるくらい一途に思ってるのに」
アンソニーは首を左右に振った。
「ふたりとも何を言っているのかよくわからない。俺はこのままでいいんだ。ほっといてくれ」
「だめよ。本当に結ばれる運命なら離れてもまためぐり逢うのよ。幸せにならなきゃダメ」
拗れた2人の赤い糸をなんとか元に戻したい。
お節介なのはわかっているけど、ソフィアさんに会って、事情を知ってしまった以上、放っておくわけにはいかない。
やっぱり私じゃダメなのかな。こういう繊細な心の機微みたいなのは苦手なの。とにかく我が家に連れて行こう。みんなに説得してもらおう。
私はアンソニーの腕を掴んで我が家に魔法で移動した。
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