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番外編
アンソニーの嫁探し
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アンソニーにお嫁さん探しをすることになった。
本気で男色だと思っていたのに。そうじゃないならもっと早く探せば良かったわ。
久しぶりに実家に来ている。弟のロバートに会う為だ。
実家は今はロバートがランドセン侯爵になっている。
父はどうしているのかって?
父母はロバートに爵位を譲った後、フェノバール領に移住してきた。
母はルビー姉様と一緒に開講したナニーやガヴァネスの養成校の運営をお願いしている。そしてフェノバール商会の営業ウーマンとしての手腕も発揮してもらっている。
父は得意の土木の仕事を教える学校を作り、そこで教えたり、孫達と遊んだり、ゴードンさんのところで蚕さんの世話を手伝ったりしながら気楽に暮らしている。
ロバートはアンソニーとは親友。アンソニーにどんなお嫁さんがいいか聞いても「いらない」と言うだけなので、ロバートに聞きにきたのだ。
「お義姉様、お久しぶりです」
ロバートとお嫁さんのレイチェルが迎えてくれた。
ふたりは王立学園の同級生で恋愛結婚。子供が3人いる。
「アンソニーのお嫁さんを探しているんだけど、誰かいないかしら?」
「アンソニー様のお嫁さんですか?」
「そうなの?今更ながらなんだけどね」
レイチェルは何か考えているようだ。
「実は、アンソニー様には学生時代に好きあった相手がいたのです」
えっ? そんなの初耳だ。
「ロバートも知ってるの?」
「ええ、彼女はアンソニー様とは釣り合わないと身を引き。家が決めた人のところに後妻に行ったのです」
何それ。身分が釣り合わない? 家の為って? 後妻って?
「姉上、お待たせしました」
ロバートがサロンに入ってきた。
「ロバートはもういいわ」
「はぁ? 何ですかそれ?」
「だって、レイチェルの方が詳しそうだし」
ロバートは呆れた顔をしている。
「お義姉様はアンソニー様のお嫁さん探しをしていらっしゃるの。どんな方がいいかとあなたに聞きたいみたい」
「アンソニーは無理でしょう。昔好きだった女をいまだに忘れられないから」
そうだったの? 全然知らなかった。
「でも彼女はアンソニーを裏切って他の男と結婚した」
「違うわ!」
「違う?」
「誤解なのよ」
レイチェルがロバートに訴えている。
「あの子はアンソニー様が好きだったの。愛していたわ。でも没落寸前の伯爵家の令嬢だったから、王子様となんて身分が違うと悩んでいたの。アンソニー様は気にすることはないと言っていたみたいだったけど、借金で持参金も出せないし、自分がいたら迷惑をかけるだけだと言っていたわ」
「アンソニーはそのことは?」
「没落寸前とはわかっていたと思うけど借金が凄くあるとまでは知らなかったんじゃないかしら」
確かにあの筋脳は細かい心の機微なんてわからないだろう。
その子もアンソニーに迷惑をかけたくなかったんだろう。
「その子は借金の為に結婚したの?」
私は2人の世界に入り込んだ。
「えぇ、確か成り上がりの男爵だったわ。後妻にくるかわりに借金を綺麗にしてくれるみたいに言ってたの」
「そうだったのか。俺もアンソニーも金に目が眩んでそっちを選んだと思っていたよ。なんで言ってくれなかったんだ」
「言わないでって泣かれたの。嫌われて憎まれた方がいいって」
哀しすぎる。
「その子は今どうしてるの? 幸せに暮らしているの?」
レイチェルは無言で首を左右に振った。
「レイチェル、どうしてるか教えてくれ!」
ロバートがレイチェルの肩を掴む。
「ソフィアは今はフェノバール領に住んでいるわ。刺繍を仕事にしているの」
「後妻に入った家は?」
「その男爵は先妻の子供がいて、男爵が亡くなった後、ソフィアは追い出されたの。今更伯爵家には戻れないし、困っていたら、フェノバールなら、女性ひとりでも仕事があるし、家も用意してもらえるって話をロバート様から聞いていたことを思い出して、私と友人達でソフィアをフェノバール領に連れて行ったの」
じゃあ、独身なのね。しかもフェノバール領の住人か。
「私、その人に会ってくるわ」
「姉上待って、何でそんなに慌て者なんだよ。アンソニーはまだ捨てられたと思っているはずだ。まずはアンソニーだろう?」
そっか、確かにそうよね。
「俺も一緒に行くよ。アンソニーのところに行くだろ?」
「そうね。先にアンソニーのところに行きましょう」
私とロバートは移動魔法でロラメット家の屋敷に飛んだ。
本気で男色だと思っていたのに。そうじゃないならもっと早く探せば良かったわ。
久しぶりに実家に来ている。弟のロバートに会う為だ。
実家は今はロバートがランドセン侯爵になっている。
父はどうしているのかって?
父母はロバートに爵位を譲った後、フェノバール領に移住してきた。
母はルビー姉様と一緒に開講したナニーやガヴァネスの養成校の運営をお願いしている。そしてフェノバール商会の営業ウーマンとしての手腕も発揮してもらっている。
父は得意の土木の仕事を教える学校を作り、そこで教えたり、孫達と遊んだり、ゴードンさんのところで蚕さんの世話を手伝ったりしながら気楽に暮らしている。
ロバートはアンソニーとは親友。アンソニーにどんなお嫁さんがいいか聞いても「いらない」と言うだけなので、ロバートに聞きにきたのだ。
「お義姉様、お久しぶりです」
ロバートとお嫁さんのレイチェルが迎えてくれた。
ふたりは王立学園の同級生で恋愛結婚。子供が3人いる。
「アンソニーのお嫁さんを探しているんだけど、誰かいないかしら?」
「アンソニー様のお嫁さんですか?」
「そうなの?今更ながらなんだけどね」
レイチェルは何か考えているようだ。
「実は、アンソニー様には学生時代に好きあった相手がいたのです」
えっ? そんなの初耳だ。
「ロバートも知ってるの?」
「ええ、彼女はアンソニー様とは釣り合わないと身を引き。家が決めた人のところに後妻に行ったのです」
何それ。身分が釣り合わない? 家の為って? 後妻って?
「姉上、お待たせしました」
ロバートがサロンに入ってきた。
「ロバートはもういいわ」
「はぁ? 何ですかそれ?」
「だって、レイチェルの方が詳しそうだし」
ロバートは呆れた顔をしている。
「お義姉様はアンソニー様のお嫁さん探しをしていらっしゃるの。どんな方がいいかとあなたに聞きたいみたい」
「アンソニーは無理でしょう。昔好きだった女をいまだに忘れられないから」
そうだったの? 全然知らなかった。
「でも彼女はアンソニーを裏切って他の男と結婚した」
「違うわ!」
「違う?」
「誤解なのよ」
レイチェルがロバートに訴えている。
「あの子はアンソニー様が好きだったの。愛していたわ。でも没落寸前の伯爵家の令嬢だったから、王子様となんて身分が違うと悩んでいたの。アンソニー様は気にすることはないと言っていたみたいだったけど、借金で持参金も出せないし、自分がいたら迷惑をかけるだけだと言っていたわ」
「アンソニーはそのことは?」
「没落寸前とはわかっていたと思うけど借金が凄くあるとまでは知らなかったんじゃないかしら」
確かにあの筋脳は細かい心の機微なんてわからないだろう。
その子もアンソニーに迷惑をかけたくなかったんだろう。
「その子は借金の為に結婚したの?」
私は2人の世界に入り込んだ。
「えぇ、確か成り上がりの男爵だったわ。後妻にくるかわりに借金を綺麗にしてくれるみたいに言ってたの」
「そうだったのか。俺もアンソニーも金に目が眩んでそっちを選んだと思っていたよ。なんで言ってくれなかったんだ」
「言わないでって泣かれたの。嫌われて憎まれた方がいいって」
哀しすぎる。
「その子は今どうしてるの? 幸せに暮らしているの?」
レイチェルは無言で首を左右に振った。
「レイチェル、どうしてるか教えてくれ!」
ロバートがレイチェルの肩を掴む。
「ソフィアは今はフェノバール領に住んでいるわ。刺繍を仕事にしているの」
「後妻に入った家は?」
「その男爵は先妻の子供がいて、男爵が亡くなった後、ソフィアは追い出されたの。今更伯爵家には戻れないし、困っていたら、フェノバールなら、女性ひとりでも仕事があるし、家も用意してもらえるって話をロバート様から聞いていたことを思い出して、私と友人達でソフィアをフェノバール領に連れて行ったの」
じゃあ、独身なのね。しかもフェノバール領の住人か。
「私、その人に会ってくるわ」
「姉上待って、何でそんなに慌て者なんだよ。アンソニーはまだ捨てられたと思っているはずだ。まずはアンソニーだろう?」
そっか、確かにそうよね。
「俺も一緒に行くよ。アンソニーのところに行くだろ?」
「そうね。先にアンソニーのところに行きましょう」
私とロバートは移動魔法でロラメット家の屋敷に飛んだ。
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