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番外編

フィオナの留学

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 フィオナが10歳になった。誕生日パーティーにはあまりにも来たい人が多すぎて庭ですることになった。

 フィオナは領地の民にも可愛がられている。

「フィオナお嬢様はほんとにエスタゾラム王国に留学されるのですか? まだ10歳なったばかりですよ」

 メアリーが私を睨みつける。

 怖いんですけど。


 フィオナは来週、エスタゾラム王国に出発する。期間は3年の予定だ。おエスタゾラムで勉強していらっしゃいと王太后命が下った。
 まぁ、移動魔法で行ったり来たりも簡単にできる。

 エスタゾラム王国にはアスも着いていくことになっている。

 エスタゾラムとはあの一件以来、濃密な関係を築いている。

 クリストファー殿下は無事に王配の役目をはたしている(らしい)

 ウィリアム王子とマデレイネ様はすっかり身体も癒え、今はドラール家にいる。

 ウィリアム王子は諜報の仕事に復帰、マデレイネ様は平民の女性諜報員の卵に貴族のマナーや動きなどを教えているらしい。貴族として潜入する場合もあるらしい。
 オーウェン様の話ではふたりはとても仲睦まじいそうだ。

 うちの仲睦まじいふたり、今日の主役のフィオナは、婚約者兼護衛騎士でもあるアスとラブラブだ。

 2人でエスタゾラム王国に行かせて大丈夫なのか? 間違いが起きたらどうしよう……。そんな心配をするジィジふたり。

 お誕生日のお祝いに駆けつけてくれたのは良いが、フィオナとアスの間に入って、ふたりの仲を引き裂こうとしているのか?

「陛下、こちらに。若い人の邪魔をしては嫌われますわ」

「ほんとうですわ。あなたも良い加減になさいませ」

 陛下は王妃様に、父は母に絞られている。

 私はフィオナのそばに行き、こっそり耳打ちした。

「フィオナはアスと結婚するの?」

 フィオナは目を丸くして驚いているようだ。

「ママ、今更何を言っているの? 私がアスと結婚することは初めて会った時からきまっているのよ。ね、アス?」

「そうだね。私がフィオナを守り、フィオナが私を守る。あの時約束したものね」

 はいはい。お邪魔虫は退散します。

 それにしてもうちの子供たちはうまい感じでお相手を見つけてくれた。

 あとはジェットだけだな。

「ママ、私は結婚なんかしないからね」

 うっ、ジェットめ。また人の心を読んだな。

 私はジェットに淋しい思いをしてほしく無いだけなの。

 ジェットにも結婚して幸せになってほしいのだけどなぁ。

「神様、どうかジェットにも素敵な恋人が現れますように」

 私は屋敷の中にあるチャペルの方に向かって手を合わせた。
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