魅了が解けた元王太子と結婚させられてしまいました。 なんで私なの!? 勘弁してほしいわ!

金峯蓮華

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前世(アルヴィーナ視点からのリュカ視点)

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ーアルヴィーナ視点ー


 私は死んだのではなかったのか?
ここはどこ?

 私はあの時、あの人を庇って刺客に刺された。

 あの時のあの人の辛そうな顔は忘れられない。

「この国とあの子をお願い。幸せになって。愛しているわ」と言いこと切れた気がする。

 言いたかったことは言えたし、あの人を守れたんだもの。私は幸せだ。

 そりゃずっと生きてあの人のそばで子供の成長を見たかったけど、そこまで望んではいけない。

 愛する人を助けられてよかった。

 あの人はこんなところで死んではならない。

「気がついたか」

 誰だろう?

「ルカディオ様?」

 部屋の中は眩しい光に包まれた。

「ヴェルミーナ、やっと会えた」

「ルカ様、ルカ様なのですね」

 会いたくて会いたくってたまらなかった最愛の人。

 でもどうしてここにいるのだろう。
うっ、痛い、

 酷い頭痛が私を襲う。

 そして私の頭の中に王妃ヴェルミーナの記憶と迫害されていたアルヴィーナの記憶が流れ込んできた。




ーリュカ視点ー

「ミーナ大丈夫か?」

 ミーナ? ミーナって誰だ?


 俺の頭の中に忘れていた記憶が流れ込んできた。

 ミーナ……ヴェルミーナ。妻だ。俺の妻だ!

 思い出した。全て思い出した。


 俺はノルスバン王国を建国したルカディオ・ノルスバン。

 そしてリュカ・フェノバールとして再びこの国に舞い降りた。

 神から使命を帯びて。

 神と約束した。この国を直してやるそのかわりにヴェルミーナと会わせろと。

 ヴェルミーナなのか? 本当にまた会えたのか?

「ルカ様……ルカ様なのですか?」

 神はどうやら約束を守ってくれたようだな。

 それなら俺も約束を守るしかない。

「ミーナ、俺だ。姿形は少し違うが間違いなく俺だ」

「私は……」

「ずいぶん若返ったな」

「いくつなのでしょう?」

「8歳らしい」

「まぁ、20歳も若返ってしまいましたのね」

 ミーナは笑っている。

「それより身体は大丈夫か? モディオダールの城の中でずいぶんな目にあっていたのだろう」

「あっ、そうですわね。あなた様に会えた喜びですっかり忘れてしまいましたわ。私をあの場所から助けてくださいましたの?」

 ミーナは何も知らないようだった。

 俺はあの国に起こった革命の話をミーナに聞かせた。

「王家と城の使用人たちは自業自得ですわね。でも、中には良い人もいたのに」

 ミーナは悲しそうな顔をしている。

「ミーナ、今度は死なせない。必ず守る。だから俺のそばでずっと笑っていてほしい」

「いいのですか? 私は亡国の王家の生き残りですわ。迷惑ではありませんか?」

「そんなことは何も問題ない。問題があるとすればお前がまだ8歳だということだな。あと7年は娶れない」

「いいではありませんか。前は恋人時代がありませんでしたもの。今回は恋人時代を楽しみましょう」

 それにしても神は酷い。なぜあんな迫害を受ける姫に転生させたんだ。あとで、ジェットに文句を言ってもらおう。


 コンコン

 扉を叩く音がする。

「はい」

 俺は返事をして、扉を少し開けた。

 隙間からジェットが顔を出した。

「兄上、食事はどうしますか? 食べられそうならふたり分こちらに運んでもらいましょうか?」


「運んでくれ」

「承知しました」

 ジェットは踵を変えようとしている。

「ジェット、お前知ってたのか?」

「何をです?」

「俺とミーナのことをだ?」

「さぁどうでしょうね。ただ私たちの仕事にはヴィーナやマティも必要ですからね」

 そう言ってニヤッと笑う。

「では、邪魔者は消えます。食事を運ぶまでしばらくお待ちくださいませ」

 ジェットは消えた。


 俺はミーナの頭に手を乗せた。

 ミーナ早く大きくなってくれ。
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