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政略結婚じゃなかったの?
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私には引っかかっていることがあった。
それはリカルド様がウィリアム殿下に言っていたあの言葉。
「政略結婚じゃない。愛しているから結婚した」
私は政略結婚だと思っていた。
私は結婚の話がくるまでリカルド様の事を全く知らなかった。
リカルド様も私に会ったことすらなかったはずだ。
リュカを寝かしつけ、あとはメアリーに任せ寝室に行くとリカルド様は寝台で本を読んでいた。
「リカルド様、お伺いしたいことがあるのですが」
「何かな?」
リカルド様は本から目を離し私の顔を見た。
私はモヤモヤしていても仕方ないのでリカルド様に聞いてみることにした。
「先程、ウィリアム殿下に言ってたことなんですが、あれは本当ですか?」
「ウィリアムに言ってたこと?」
「だから……その……」
「ん?」
「もう~、政略結婚じゃなくて愛しているから結婚したってことです」
もう、恥ずかしいじゃない。
「あれか。そうだよ」
リカルド様はさらっと言う。
「なんで? 私たちはあの時初めて会ったのに」
「好きになるのに時間なんか関係ないよ」
また、さらっとそんなことを言う。
「ミディアに会うまで結婚なんてする気はなかったし、私と結婚したいとやってくる女性に嫌悪すらあった。でもミディアは違った。ミディアとならと思ったけど振られた」
今度はクスッと笑う。
「それからミディアに会いに行くまで私はずっとミディアの事を考えていた。私はあの時まだ後遺症もあったし、閨事もできなかったから、ミディアのために諦めた方がいいかなってね」
「でも諦めなかったの?」
「諦めたくなかった。閨事のことはちゃんと話せばミディアは受け入れてくれると信じてたけど、もし拒絶されたらと思って言えなかった。結婚してから言うなんて卑怯者だね」
「閨事のことは別になんとも思ってませんよ。白い結婚だと思っていたし」
そうだ。私は結婚は王命みたいなもんで所詮愛もないし、年の離れた子供となんて閨事するわけないと思ってた。
そもそも淑女学校で閨事について教えるのは卒業前。私は授業を受けてないし、何をするのかよくわかってなかった。
「婚約してから結婚式までの間、私は会うたびにミディアに惹かれていった。ミディアは私の事なんてなんとも思ってないのはわかってたけど、私はミディアを好きだったよ」
いやぁ~、びっくりしたよ。全く気がついてなかった。
「ミディアとの結婚はね。母上が仲のいい従姉妹のランドセン夫人の子供のミディアと自分の子供を結婚させたかったんだ。でも私とクリストファーは年が離れているし、アンソニーとウィリアムは3つも年が下で弟のクロードと同じ年だと諦めていたときに夫人が「ミディアローズに誰かいい人いないか」と母上に相談してきたらしいんだ」
「そういえば私が跳ねっ返りだから縁談がなかなかまとまらなくてお母様は悩んでましたわ」
「そこで母上が私の嫁に来て欲しいと頼み込んだらしいよ。母上はミディアが好きだからね」
知らなかった。
「夫人は私が嫌がると思ったようだ。私が一生結婚はしないと言っていた事も知っていたしね。でも、結果的にはこの結婚は私が望んだんだ。ミディア受けてくれてありがとう」
「私の方こそお嫁にもらってくれてありがとうございます。リカルド様がもらってくれなかったらきっと今でも独身ですわ」
「そしたら私がプロポーズするよ。私はミディア以外と結婚するつもりはないからね」
リカルド様は色っぽい顔で微笑む。反則だわ。
「私が他の人と結婚したら?」
ありえないけど聞いてみた。
「させないよ。妨害する。ミディアは私のだからね」
そう言うとウインクをして私を抱き寄せる。
また今夜も朝までコースだろうか? 寝る前にこんな話聞かなきゃ良かった。
明日も鍛錬できそうもないなぁ。
それはリカルド様がウィリアム殿下に言っていたあの言葉。
「政略結婚じゃない。愛しているから結婚した」
私は政略結婚だと思っていた。
私は結婚の話がくるまでリカルド様の事を全く知らなかった。
リカルド様も私に会ったことすらなかったはずだ。
リュカを寝かしつけ、あとはメアリーに任せ寝室に行くとリカルド様は寝台で本を読んでいた。
「リカルド様、お伺いしたいことがあるのですが」
「何かな?」
リカルド様は本から目を離し私の顔を見た。
私はモヤモヤしていても仕方ないのでリカルド様に聞いてみることにした。
「先程、ウィリアム殿下に言ってたことなんですが、あれは本当ですか?」
「ウィリアムに言ってたこと?」
「だから……その……」
「ん?」
「もう~、政略結婚じゃなくて愛しているから結婚したってことです」
もう、恥ずかしいじゃない。
「あれか。そうだよ」
リカルド様はさらっと言う。
「なんで? 私たちはあの時初めて会ったのに」
「好きになるのに時間なんか関係ないよ」
また、さらっとそんなことを言う。
「ミディアに会うまで結婚なんてする気はなかったし、私と結婚したいとやってくる女性に嫌悪すらあった。でもミディアは違った。ミディアとならと思ったけど振られた」
今度はクスッと笑う。
「それからミディアに会いに行くまで私はずっとミディアの事を考えていた。私はあの時まだ後遺症もあったし、閨事もできなかったから、ミディアのために諦めた方がいいかなってね」
「でも諦めなかったの?」
「諦めたくなかった。閨事のことはちゃんと話せばミディアは受け入れてくれると信じてたけど、もし拒絶されたらと思って言えなかった。結婚してから言うなんて卑怯者だね」
「閨事のことは別になんとも思ってませんよ。白い結婚だと思っていたし」
そうだ。私は結婚は王命みたいなもんで所詮愛もないし、年の離れた子供となんて閨事するわけないと思ってた。
そもそも淑女学校で閨事について教えるのは卒業前。私は授業を受けてないし、何をするのかよくわかってなかった。
「婚約してから結婚式までの間、私は会うたびにミディアに惹かれていった。ミディアは私の事なんてなんとも思ってないのはわかってたけど、私はミディアを好きだったよ」
いやぁ~、びっくりしたよ。全く気がついてなかった。
「ミディアとの結婚はね。母上が仲のいい従姉妹のランドセン夫人の子供のミディアと自分の子供を結婚させたかったんだ。でも私とクリストファーは年が離れているし、アンソニーとウィリアムは3つも年が下で弟のクロードと同じ年だと諦めていたときに夫人が「ミディアローズに誰かいい人いないか」と母上に相談してきたらしいんだ」
「そういえば私が跳ねっ返りだから縁談がなかなかまとまらなくてお母様は悩んでましたわ」
「そこで母上が私の嫁に来て欲しいと頼み込んだらしいよ。母上はミディアが好きだからね」
知らなかった。
「夫人は私が嫌がると思ったようだ。私が一生結婚はしないと言っていた事も知っていたしね。でも、結果的にはこの結婚は私が望んだんだ。ミディア受けてくれてありがとう」
「私の方こそお嫁にもらってくれてありがとうございます。リカルド様がもらってくれなかったらきっと今でも独身ですわ」
「そしたら私がプロポーズするよ。私はミディア以外と結婚するつもりはないからね」
リカルド様は色っぽい顔で微笑む。反則だわ。
「私が他の人と結婚したら?」
ありえないけど聞いてみた。
「させないよ。妨害する。ミディアは私のだからね」
そう言うとウインクをして私を抱き寄せる。
また今夜も朝までコースだろうか? 寝る前にこんな話聞かなきゃ良かった。
明日も鍛錬できそうもないなぁ。
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