魅了が解けた元王太子と結婚させられてしまいました。 なんで私なの!? 勘弁してほしいわ!

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
36 / 161
連載

フェノバール領に戻ってきました

しおりを挟む
 それからしばらくして、私たちはフェノバール領に戻ることになった。

「リュカ~、ジィジは寂しいよ~」

 お父様は号泣している。里帰り出産で生まれたリュカにジィジことお父様はべったりだったからなぁ。

「ランドセン領とフェノバール領は近いからまたすぐ会えるわよ」

 お母様に慰められている。

「ビアンカ~、またフェノバールに行きたいよ~」

 お母様は早く行けと顔で私たちに合図をした。

「じゃあね。またね」

 私達はお母様と弟のロバートに小さく手を振って馬車に乗り込みフェノバールへ魔法で移動した。

「旦那様、ミディア様、おかえりなさいませ」

 フェノバールの屋敷に到着すると、セバスとハンナが出迎えてくれた。

「リュカ様ですか?」

 ハンナがリカルド様が抱いているリュカの顔を覗き込む。

「まぁ、リカルド様の小さい頃とそっくりですわね。王太后様もお会いになったらお喜びになりますわね」

 王太后様?

「そうだね。おばあさまとも長いこと会っていないな。ミディア、リュカを連れておばあさまに会いに行こうか?」

「そうですね」

 とりあえず返事はしたが、おばあさま? 確か、王太后様は身体を悪くされて離宮にいらっしゃると聞いたことがある。

 体調が悪いとの事で私たちの婚姻式にも夜会にも出ていらっしゃらなかった。

「すぐにとは言わないよ。フェノバール領でゆっくりしてからね」

 また顔に出たのかしら? 公爵夫人失格だなぁ。

 王太后様は私が物心ついた頃にはもう、国王に王位を継承し離宮に引きこもっていると聞いていた。
 今の国王の前は王太后様が女王だった。国王はひとり息子だ。女王に似れば良かったが、残念ながら王配殿下に似てしまったらしい。王配殿下はとても良い人だったらしいが政治的手腕はイマイチだったらしい。

 これも親戚の熟女たちの噂話なので本当かどうかはわからない。
 私は王配殿下に会ったことがないのでなんとも言えない。

 しかし、王妃様より切れ者だと言われている王太后様、いくら体調が悪いとはいえ、カッコいいのだろう。

 まぁ、もう少しシェイプアップしてからがいいな。いい嫁だと言われたいものね。

 リュカは赤ちゃんなのに、あんまり泣かない。夜泣きもしない。おしっこやうんちも乳母のメアリーや私にアイコンタクトで知らせる。

 母乳も沢山飲むし、よく眠る。

 そして、リカルド様と何やら話をしているらしい。
 アーサー様の話では、それは念話と言うらしい。
 王家の魔力遺伝みたいで、リカルド様とは話せるらしい。

 みんな、凄い! と、もてはやすが、私には手のかからない普通の赤ちゃんなのだ。

 リュカを連れて領地を散歩していると領民の皆さんが『領主様とそっくりですね』と声をかけてくれる。
 リュカは人見知りしない子なのでみんなとすぐに仲良くなる。

 やっぱり人たらしだわ。

「ミディア、リュカが1歳になったら南の領地に行ってみないか?」

 南の領地? そうか、リュカがもらった領地だったな。すっかり忘れていた。
 リカルド様はリュカと何かアイコンタクトしている。

「南の領地には温泉と言って、湧き出ている温かい泉があるんだ。それで湯浴みをすると元気になる。ミディアが頑張って子育てしてるから、その温泉で湯浴みをしてのんびりしたらどうかと思うんだ」

 趣味と実益を兼ねてみたいな感じだな。

「いいですね。リカルド様ものんびりしてくださいますか? いつも領主のお仕事が忙しいのにリュカの世話もしてくれるし、こんな時くらいしかゆっくりできませんものね」
「私はミディアとリュカがいてくれればそれで幸せなんだ」

 リカルド様はそう言って私をぎゅっと抱き締める。
 イケメンに抱きしめられるとドキドキするわ~。

 結局南の領地には2泊3日で行くことになった。

 初めての家族旅行。

 もちろん、3人だけじゃない。メアリー、マイク、騎士のマシューさんも一緒だ。

 しかし、南の領地って? 国の地図には載ってない。
 今まで聞いたこともない領地だ。ずっと王家の直轄領だとリカルド様は言っていた。王家以外誰も知らない秘密の領地なのかしら?

 どんなところなのかワクワクしちゃうわ。

 さて、2泊3日の南の領地ツアー、どうなることか。
しおりを挟む
感想 533

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。