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いよいよ(多視点)
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*お待たせしました。いよいよです。何人かの視点でお届けします。お楽しみ下さい*
ーアーサー視点ー
今日のランドセン侯爵家は大賑わいだった。
なぜならミディア様が出産中だからだ。
さすがに男の私は分娩中の部屋には入れないので扉前で胎児の魔力をコントロールしている。
お腹の中の胎児はかなりの魔力持ちでリカルド様とは念話もできるようだ。
1週間前、ミディア様は国王に呼び出され移動魔法でこのランドセン侯爵家にきた。さすがに臨月の移動魔法は身体に負担がかかる。
ミディア様は自分の体力を過信している節があるが、まさか臨月に魔法で移動するとは夢にも思わなかった。
動く前に私に相談して欲しかったな。まだまだそこまで信頼を勝ち取れていないのかと気落ちした。
リカルド様も自分がそばにいればよかったと後悔して、あれ以来引くほどミディア様につきっきりだ。
私も妻を愛しているが、リカルド様のようにはできないな。
基本的な性格の違いだろう。
魔力に色がついてきた。光の様に眩しい。そろそろ出てくるな。
私は胎児の魔力を落ち着かせた。
ーリカルド×胎児ー
「まさか、話しているのは君か?」
頭の中に子供のような声が聞こえるようになったのはいつからだろう。
お腹にいる子供の魔力が強いと聞いてから、眠る時にミディアのお腹に手を当てて微量な魔力を流すようにしていた。
魔力の強い子供を出産する時、魔力に負けて母親が儚くなることも少なくない。ミディアはそれなりに魔力はあるが、お腹の子供の魔力は桁違いらしい。
私は自分の魔力を少しずつミディアに送ることにした。
閨事をすれば私の魔力はダイレクトにミディアに行くのだが、さすがにそれは無理だ。
赤ちゃんがいる子宮に魔力を送りミディアの子宮を強くする。それは赤ちゃんにとっても居心地が良いらしい。
これは他人の魔力ではダメらしい。父と母の魔力以外は赤ちゃんにとって不快だと魔法助産師さんが教えてくれた。
魔法助産師さんの話はとても勉強になる。
教えられて以来、毎日流していたら突然、頭の中に声が入ってきた。
まさか、この子か?
「ぼくだよ、パパ。父上の方がいい?」
そんなのどちらでもいい。
「いつも魔力を送ってくれてありがとう。ママも楽になってるよ」
そうなのか。よかった。
「君の魔力は凄いらしいが本当にそうなのか? ミディアは全然わからないと言っているんだが」
「ママはかなり鈍感だからね。まぁ、ママが敏感だったら僕はママの身体を苦しめるから辛いけど、そうじゃなくてよかった。それにパパがママに毎日魔力を送ってフォローしてるしね。ママのためにも出来るだけ早く外に出るよ」
そうなのか。
「パパはママを大事にしてね。まぁ、僕が言わなくてもパパはママを大事にするだろうけど。ママは危なっかしいからね」
お腹の中の子供はケラケラ笑っている。
「どうしたの?」
ミディアが不思議そうな顔で私を見ている。
「お腹の赤ちゃんが話しかけてくるんだ」
「もう、夢を見ているの?」
夢? そうだな夢かもしれないな。
私はその時は夢かもしれないと思いミディアを抱きしめて眠った。
「パパ、そろそろ出るよ。準備はいい?」
子供の声が聞こえてきた。
「あぁ、大丈夫。いつでも出ておいで」
私は子供に声をかけてからミディアにも声をかけた。
「ミディア、そろそろ出てくるよ。頑張れ」
「うん。頑張る」
ミディアが魔法助産師さんの声に合わせていきむ。
「ミディア様、頭が出ましたよ! もう一息です。頑張って!」
私は魔力を流す。
ミディア頑張れ! 赤ちゃん頑張れ!
ーミディアー
お産ってこんなに大変なの?
最初の陣痛が始まってからそろそろ15時間位になるんじゃないかな?
赤ちゃんって出そうで出ないのね。
もう、もったいぶらないで早く出てきてよ。
お腹痛いし、腰も痛いし、なぜかお尻も痛い。
部屋の外からアーサー様が赤ちゃんの魔力をコントロールしてくれている。私の側ではリカルド様が魔力を送ってくれている。
いつもながらリカルド様の魔力は心地いい。痛いのに眠くなる。
魔法助産師さんが魔力で痛みを軽減してくれているそうだが、魔法助産師さんがいないお産はもっと痛いのか?
「ミディア、そろそろ出てくるよ。頑張れ」
「うん。頑張る」
リカルド様の優しい声に安心する。
私は魔法助産師さんの声に合わせていきむ。
「ミディア様、頭が出ましたよ! もう一息です。頑張って!」
よっしゃ~、赤ちゃん頑張れ! 私も頑張るよ!
ん~~~~~。
気合いをいれていきむと部屋が明るくなった。
ん?
光だ。凄い光だ。
私は凄い光に包まれていた。
ーメアリーー
「何? 部屋の中から光が漏れているわ」
「眩しいわね」
「産まれましたよ」
アーサー様の声と同時に元気な鳴き声が聞こえてきた。
扉が開くと部屋の光が一気に外に出た。
光の中心にはミディア様とリカルド様がいる。そして産まれたばかりの赤ちゃんがいる。
「産まれましたよ。男の子です。母子共に元気です。アーサー様、お疲れ様でした」
メグ先生が部屋から出てきてそう告げた。
アーサー様はへたり込んでいる。
光が落ち着いてきたので私たちも部屋に入った。
ミディア様は女神様のように光り輝いている。
「メアリー、お腹すいた~」
ミディア様は女神様になってもミディア様のようだ。
リカルド様も苦笑いをしている。
赤ちゃんはリカルドさまと同じ金色の髪だ。
顔もリカルド様に似ている。イケメン間違いなしだ。
リカルド様の顔にミディア様の性格???
ちょっと怖いかもしれないな。
赤ちゃんはミディア様に抱かれてスヤスヤ眠っている。
私は今日から乳母として頑張らなきゃね。まだお名前はないけど、赤ちゃん様、メアリーはあなた様にお仕えいたしますよ。以後お見知り置きくださいませ。
『よろしくね』
え? 何か聞こえたような。
きっと嬉しくて空耳が聞こえたんだな。
さぁ、料理長に作ってもらっている軽食を取りに行こう。
*皆様お待たせいたしました。やっと産まれました。さて、名前を考えねば。何にしましょうかね*
ーアーサー視点ー
今日のランドセン侯爵家は大賑わいだった。
なぜならミディア様が出産中だからだ。
さすがに男の私は分娩中の部屋には入れないので扉前で胎児の魔力をコントロールしている。
お腹の中の胎児はかなりの魔力持ちでリカルド様とは念話もできるようだ。
1週間前、ミディア様は国王に呼び出され移動魔法でこのランドセン侯爵家にきた。さすがに臨月の移動魔法は身体に負担がかかる。
ミディア様は自分の体力を過信している節があるが、まさか臨月に魔法で移動するとは夢にも思わなかった。
動く前に私に相談して欲しかったな。まだまだそこまで信頼を勝ち取れていないのかと気落ちした。
リカルド様も自分がそばにいればよかったと後悔して、あれ以来引くほどミディア様につきっきりだ。
私も妻を愛しているが、リカルド様のようにはできないな。
基本的な性格の違いだろう。
魔力に色がついてきた。光の様に眩しい。そろそろ出てくるな。
私は胎児の魔力を落ち着かせた。
ーリカルド×胎児ー
「まさか、話しているのは君か?」
頭の中に子供のような声が聞こえるようになったのはいつからだろう。
お腹にいる子供の魔力が強いと聞いてから、眠る時にミディアのお腹に手を当てて微量な魔力を流すようにしていた。
魔力の強い子供を出産する時、魔力に負けて母親が儚くなることも少なくない。ミディアはそれなりに魔力はあるが、お腹の子供の魔力は桁違いらしい。
私は自分の魔力を少しずつミディアに送ることにした。
閨事をすれば私の魔力はダイレクトにミディアに行くのだが、さすがにそれは無理だ。
赤ちゃんがいる子宮に魔力を送りミディアの子宮を強くする。それは赤ちゃんにとっても居心地が良いらしい。
これは他人の魔力ではダメらしい。父と母の魔力以外は赤ちゃんにとって不快だと魔法助産師さんが教えてくれた。
魔法助産師さんの話はとても勉強になる。
教えられて以来、毎日流していたら突然、頭の中に声が入ってきた。
まさか、この子か?
「ぼくだよ、パパ。父上の方がいい?」
そんなのどちらでもいい。
「いつも魔力を送ってくれてありがとう。ママも楽になってるよ」
そうなのか。よかった。
「君の魔力は凄いらしいが本当にそうなのか? ミディアは全然わからないと言っているんだが」
「ママはかなり鈍感だからね。まぁ、ママが敏感だったら僕はママの身体を苦しめるから辛いけど、そうじゃなくてよかった。それにパパがママに毎日魔力を送ってフォローしてるしね。ママのためにも出来るだけ早く外に出るよ」
そうなのか。
「パパはママを大事にしてね。まぁ、僕が言わなくてもパパはママを大事にするだろうけど。ママは危なっかしいからね」
お腹の中の子供はケラケラ笑っている。
「どうしたの?」
ミディアが不思議そうな顔で私を見ている。
「お腹の赤ちゃんが話しかけてくるんだ」
「もう、夢を見ているの?」
夢? そうだな夢かもしれないな。
私はその時は夢かもしれないと思いミディアを抱きしめて眠った。
「パパ、そろそろ出るよ。準備はいい?」
子供の声が聞こえてきた。
「あぁ、大丈夫。いつでも出ておいで」
私は子供に声をかけてからミディアにも声をかけた。
「ミディア、そろそろ出てくるよ。頑張れ」
「うん。頑張る」
ミディアが魔法助産師さんの声に合わせていきむ。
「ミディア様、頭が出ましたよ! もう一息です。頑張って!」
私は魔力を流す。
ミディア頑張れ! 赤ちゃん頑張れ!
ーミディアー
お産ってこんなに大変なの?
最初の陣痛が始まってからそろそろ15時間位になるんじゃないかな?
赤ちゃんって出そうで出ないのね。
もう、もったいぶらないで早く出てきてよ。
お腹痛いし、腰も痛いし、なぜかお尻も痛い。
部屋の外からアーサー様が赤ちゃんの魔力をコントロールしてくれている。私の側ではリカルド様が魔力を送ってくれている。
いつもながらリカルド様の魔力は心地いい。痛いのに眠くなる。
魔法助産師さんが魔力で痛みを軽減してくれているそうだが、魔法助産師さんがいないお産はもっと痛いのか?
「ミディア、そろそろ出てくるよ。頑張れ」
「うん。頑張る」
リカルド様の優しい声に安心する。
私は魔法助産師さんの声に合わせていきむ。
「ミディア様、頭が出ましたよ! もう一息です。頑張って!」
よっしゃ~、赤ちゃん頑張れ! 私も頑張るよ!
ん~~~~~。
気合いをいれていきむと部屋が明るくなった。
ん?
光だ。凄い光だ。
私は凄い光に包まれていた。
ーメアリーー
「何? 部屋の中から光が漏れているわ」
「眩しいわね」
「産まれましたよ」
アーサー様の声と同時に元気な鳴き声が聞こえてきた。
扉が開くと部屋の光が一気に外に出た。
光の中心にはミディア様とリカルド様がいる。そして産まれたばかりの赤ちゃんがいる。
「産まれましたよ。男の子です。母子共に元気です。アーサー様、お疲れ様でした」
メグ先生が部屋から出てきてそう告げた。
アーサー様はへたり込んでいる。
光が落ち着いてきたので私たちも部屋に入った。
ミディア様は女神様のように光り輝いている。
「メアリー、お腹すいた~」
ミディア様は女神様になってもミディア様のようだ。
リカルド様も苦笑いをしている。
赤ちゃんはリカルドさまと同じ金色の髪だ。
顔もリカルド様に似ている。イケメン間違いなしだ。
リカルド様の顔にミディア様の性格???
ちょっと怖いかもしれないな。
赤ちゃんはミディア様に抱かれてスヤスヤ眠っている。
私は今日から乳母として頑張らなきゃね。まだお名前はないけど、赤ちゃん様、メアリーはあなた様にお仕えいたしますよ。以後お見知り置きくださいませ。
『よろしくね』
え? 何か聞こえたような。
きっと嬉しくて空耳が聞こえたんだな。
さぁ、料理長に作ってもらっている軽食を取りに行こう。
*皆様お待たせいたしました。やっと産まれました。さて、名前を考えねば。何にしましょうかね*
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