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フェノバール領は色々やっているのよ

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 王太子の件とは別の褒美にフェノバール領の隣にある王家の管理地をもらった。そちらはありがたくいただいた。
 もらったのは山と何もないただの広い空き地だった。その地をまたアーサー様に土壌改良してもらい、小麦畑にした。
 大規模な畑では、働く人も沢山いるので自分で畑を持たない人も働くことができる。
 親たちが働いている間に子供を預かる施設もそこに作った。そこで親を待つ間に子供達に字や計算を教えたりしている。今まではフェノバール領は貧しかったので字を読んだり書いたり、計算ができる者が少なく、仕事をするにもなかなかいい仕事がなかった。

 今のフェノバール領は働くところが沢山ある。子供を預かるところもあるのでシングルマザーでも安心して働けるのだ。
 山は鉱山で何か鉱物が取れるかもしれないと掘削工事を始めたが、もとの領主が没落したためほったらかしになっていた。
 河川工事の責任者で、金山での掘削工事をしていたマーチンさんを中心にし、その山での掘削工事が始まった。何かいいものが出るといいな。

 もしもリカルド様が国王になったら国を挙げてこんな風に改革をするかもしれない。でも国は広い。すみからすみまで見ることはできない。国王が旗を振り、各領主が動けばいいが、領主によって考え方は様々だ。いくら国王が良くても国全体が良くなるのは難しい。

 私はリカルド様ならできると思うけど、もうリカルド様にそこまで押し付けるのもどうかと思う。
 国主導ではなく、各領主主導で全国に広げるべきだと思うのだけどなぁ。

 今のリカルド様は窓口のような形で、各領地から依頼を受けて出向いて色々指導している。
 アーサー様のお兄様のマイスタン侯爵もリカルド様からの依頼で要請があった各領地に向かい、土壌改良などをしている。河川工事や道路整備などは私の実家のランドセン家が中心となり必要な人材を送り指導している。
 確かに国王になった方が動かしやすいかもしれないが、国王にはならないつもりらしい。もちろん指導料は各領地からもらっている。それもフェノバール領の大事な収入だ。
 
 王妃様は私に期待しているようだが、私は特に何もしていない。はっぱを掛けたり、労ったりするくらいだ。特に妊娠してからは、超過保護のリカルド様をはじめとする、私の周りの過保護軍団が何もさせてくれないので、思いついた事を話したり書いたりするくらいだ。

 こんな私に何ができるのだろう。

 そういえば妊婦になってから、妊婦や新生児を取り巻く環境に興味がでてきた。私のように恵まれた妊婦は少ない。女性が安心して子供を産み育てられる環境を領主として整えていかないといけないな。
 医療の充実、精神的な負担を取り除くために相談できる場や、出産や子育てで働けなくなる間の金銭的な問題、これからフェノバール領の若い人たちにはこのフェノバール領で生きていってほしい。貧乏で娘を身売りしたり、息子を奉公に出すなんてことはさせない。医療や生活に困った時にお金の心配をしなくていいような制度も考えたい。

 まずはフェノバール領からだな。

 そんなことを考えていたらお腹が鳴った。

「ミディア様、リカルド様が休憩に戻ってこられましたよ。一緒におやつを召し上がられますか」

 メアリーが呼びにきた。

「もちろんよ。お腹がすいたわ」

「今日はビリーさんの牧場から届いたチーズで料理長がスイーツを作ってくれましたよ」

 お~、チーズのスイーツなんて楽しみだ。

 私は大きくなったお腹を庇いながらよっこらしょと立ち上がった。
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