54 / 57
アルプラゾラム王国編
ミオリアが消えた(ミッシェル視点)
しおりを挟む
「ミオリアが消えた?」
私は耳を疑った。今日は月に一度のミディア様とのお茶会の日だ。ミオリアとクリスを迎えにノルバスク家に訪れると家令が慌てて迎えに出てきた。
メイドが部屋に呼びにいった時はいなかったらしい。時間になったらくるだろうと思って待っていたが現れない。
クリスは使用人たちと屋敷中を探しているそうだ。門番は外には出ていないと言う。
「クリス、どうだ? 見つかったか?」
「いや、まだだ。朝食を食べて部屋に戻ったようなんだが……」
クリスは奥歯に何が挟まったような言い方だ。
「だがなんだ?」
「リーンもいないんだ」
「リーンも?」
まさか、リーンハルトが連れ去ったのか?
「とりあえず今日はお茶会は無理だ。ミディア様に連絡する」
私はミディア様に連絡をし、ことの、次第を話した。
「それじゃあ、ミオリアはそのリーンハルトって子に連れ去られたっていうの?」
「まだ詳しいことはわからないのですが、多分そうかと」
「ミオリアの意識に入って追いかけてみる?」
何? そんな事ができるのか?
「今から、アーサーをそっちにやるわ。
私も行っちゃおかな」
◆◇◆
「意識に入る? そんな事ができるのか?」
「アーサー様の魔道具だろうか? あの人は天才魔導士だからできない事なんてないだろう」
クリスと話していたら、部屋に粒子が現れ、それがだんだん形になり、ミディア様とアーサー様が現れた。アーサー様は手に大きな水晶の鏡のようなものを持っている。
「来ちゃった」
ミディア様はいたずらっこのような顔で微笑む。
「これは魔法の水晶。ミオリアの意識に入るとここに映像が映し出されるの。今朝、朝食を食べた後のミオリアの意識に入りましょう。あとでミオリアにはみんなで謝りましょうね。緊急事態だから仕方ないものね」
アーサー様は大きくて平べったい水晶を私達の前に置いた。
水晶から映像が浮かんでくる。
ミオリアだ。リーンハルトに呼び止められている。
「リーンハルトの奴、何を言っているんだ。ミオリアがはいそうですかってレミニールに戻るわけないだろう」
クリスは怒っているようだ。私も腹立たしい。ついこの間まではミオリアが望むなら公爵にも宰相にもならなくていいと言っていたのに。ミオリアの気持ちを尊重すると言っていたのに。
「あっ、連れ去ったわね。アーサー様、ミオリアがどこに連れて行かれたかわかる?」
「もちろん」
アーサー様はふんと鼻を鳴らした。
「レミニールだな。王都ではないな。モーバー領か。うん、モーバー領だな。今の映像出すよ」
水晶の映像が変わった。
ミオリアはソファーに座っている。ぐったりしているな。意識がないようだ。
「私の気持ちに答えてくれないミオリアが悪い……」
リーンハルトが独り言を言っている。画像をよく見るとミオリアの足には鎖のついた足枷がつけられている。
「あの馬鹿! 何を考えているんだ!」
クリスが怒鳴った。
「行きますか?」
アーサー様が私達の顔を見る。
「行くしかないでしょ」
ミディア様らしくない低い声だ。怒っているな。絶対怒っている。
「皆さん行きますか? 行ってミオリア嬢を連れ戻します。そうだな、ミオリア嬢はミディア様とフェノバールへ、あなた方はあの男の処理をして下さい。あの男と共にあの男の本邸に飛んで親と話を付けください。もうこのようなことはしないようにと。ミオリア嬢の目が覚めないうちにやってしまいましょうか?」
私達はミオリアが監禁されている場所に飛んだ。
私は耳を疑った。今日は月に一度のミディア様とのお茶会の日だ。ミオリアとクリスを迎えにノルバスク家に訪れると家令が慌てて迎えに出てきた。
メイドが部屋に呼びにいった時はいなかったらしい。時間になったらくるだろうと思って待っていたが現れない。
クリスは使用人たちと屋敷中を探しているそうだ。門番は外には出ていないと言う。
「クリス、どうだ? 見つかったか?」
「いや、まだだ。朝食を食べて部屋に戻ったようなんだが……」
クリスは奥歯に何が挟まったような言い方だ。
「だがなんだ?」
「リーンもいないんだ」
「リーンも?」
まさか、リーンハルトが連れ去ったのか?
「とりあえず今日はお茶会は無理だ。ミディア様に連絡する」
私はミディア様に連絡をし、ことの、次第を話した。
「それじゃあ、ミオリアはそのリーンハルトって子に連れ去られたっていうの?」
「まだ詳しいことはわからないのですが、多分そうかと」
「ミオリアの意識に入って追いかけてみる?」
何? そんな事ができるのか?
「今から、アーサーをそっちにやるわ。
私も行っちゃおかな」
◆◇◆
「意識に入る? そんな事ができるのか?」
「アーサー様の魔道具だろうか? あの人は天才魔導士だからできない事なんてないだろう」
クリスと話していたら、部屋に粒子が現れ、それがだんだん形になり、ミディア様とアーサー様が現れた。アーサー様は手に大きな水晶の鏡のようなものを持っている。
「来ちゃった」
ミディア様はいたずらっこのような顔で微笑む。
「これは魔法の水晶。ミオリアの意識に入るとここに映像が映し出されるの。今朝、朝食を食べた後のミオリアの意識に入りましょう。あとでミオリアにはみんなで謝りましょうね。緊急事態だから仕方ないものね」
アーサー様は大きくて平べったい水晶を私達の前に置いた。
水晶から映像が浮かんでくる。
ミオリアだ。リーンハルトに呼び止められている。
「リーンハルトの奴、何を言っているんだ。ミオリアがはいそうですかってレミニールに戻るわけないだろう」
クリスは怒っているようだ。私も腹立たしい。ついこの間まではミオリアが望むなら公爵にも宰相にもならなくていいと言っていたのに。ミオリアの気持ちを尊重すると言っていたのに。
「あっ、連れ去ったわね。アーサー様、ミオリアがどこに連れて行かれたかわかる?」
「もちろん」
アーサー様はふんと鼻を鳴らした。
「レミニールだな。王都ではないな。モーバー領か。うん、モーバー領だな。今の映像出すよ」
水晶の映像が変わった。
ミオリアはソファーに座っている。ぐったりしているな。意識がないようだ。
「私の気持ちに答えてくれないミオリアが悪い……」
リーンハルトが独り言を言っている。画像をよく見るとミオリアの足には鎖のついた足枷がつけられている。
「あの馬鹿! 何を考えているんだ!」
クリスが怒鳴った。
「行きますか?」
アーサー様が私達の顔を見る。
「行くしかないでしょ」
ミディア様らしくない低い声だ。怒っているな。絶対怒っている。
「皆さん行きますか? 行ってミオリア嬢を連れ戻します。そうだな、ミオリア嬢はミディア様とフェノバールへ、あなた方はあの男の処理をして下さい。あの男と共にあの男の本邸に飛んで親と話を付けください。もうこのようなことはしないようにと。ミオリア嬢の目が覚めないうちにやってしまいましょうか?」
私達はミオリアが監禁されている場所に飛んだ。
17
お気に入りに追加
2,818
あなたにおすすめの小説

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

殿下が私を愛していないことは知っていますから。
木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。
しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。
夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。
危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。
「……いつも会いに来られなくてすまないな」
そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。
彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。
「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」
そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。
すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。
その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様
日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。
春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。
夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。
真実とは。老医師の決断とは。
愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。
全十二話。完結しています。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
お前など家族ではない!と叩き出されましたが、家族になってくれという奇特な騎士に拾われました
蒼衣翼
恋愛
アイメリアは今年十五歳になる少女だ。
家族に虐げられて召使いのように働かされて育ったアイメリアは、ある日突然、父親であった存在に「お前など家族ではない!」と追い出されてしまう。
アイメリアは養子であり、家族とは血の繋がりはなかったのだ。
閉じ込められたまま外を知らずに育ったアイメリアは窮地に陥るが、救ってくれた騎士の身の回りの世話をする仕事を得る。
養父母と義姉が自らの企みによって窮地に陥り、落ちぶれていく一方で、アイメリアはその秘められた才能を開花させ、救い主の騎士と心を通わせ、自らの居場所を作っていくのだった。
※小説家になろうさま・カクヨムさまにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる