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アルプラゾラム王国編

そうだったの

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 昨夜の衝撃が癒えぬまま朝が来た。

 私は男色家の方に嫌悪は抱かないが、今まで近くにいなかったので、驚いてしまった。

 クリス様もミッシェル殿下もとても美丈夫な男性で、女性にもモテそうなのに。

 あんな素敵なおふたりなら萌える気持ちもわかる。

 ディアナは美しい男性が恋をする小説が好きだからおふたりのことを知ったら大喜びで飛んでくるだろう。
 もう少し慣れたら教えちゃおう。

 それにリーンハルト様がいたのも驚いた。
それならそうと言ってくれればいいのにね。

 ハンナが呼びに来たのでダイニングに向かう。

「ミオ、おはよう」

「おはようございます」

 リーンハルト様だ。

「朝食ですか?」

「あぁ。一緒に行こう」

 リーンハルト様は肘を出した。エスコートしてくれるのね。

「リーン様、こちらに来られるなら教えてくださればよかったのに」

「あぁ、すまない。本当は弟が来るはずだったんだ。ミオが行くと聞いて代わった」

「まぁ、弟さんおこってませんでしたか?」

「うん。だから殿下の側近に推薦したよ」
えっ? リーンハルト様は側近を降りるのかな?

 リーンハルト様は小さな声で私に聞いてきた。

「ミオはもうミランダの記憶は無い?」

「うす~くしか。リーン様は?」

「私もレミニール王国にいる時は忘れていたんだが、アルプラゾラム王国に来て、また少し思い出してしまった。ただ、アルプラゾラム王国で過ごした記憶だから、ミランダがいない記憶だけどね」

 なるほど。

「そういえばお兄様はアルプラゾラム王国に留学していて、ミランダが亡くなったあと、ノルバスク家ごとこちらに移住したのですよね」

「うん。でもそれも明確ではなく曖昧だよ」

 そうなのか。曖昧でも記憶が残っているということはリーンハルト様にとって必要だからなのだろう。

「ミオ、叔父上と殿下のこと驚いただろう?」

「はい。でもカミルがなぜ侯爵閣下が結婚していないか行けばわかると言っていたので納得しました」

 そうだ。カミルはそう言っていたな。

「嫌悪しないのか?」

「なぜ? 別に気になりませんよ。そうそう、ディアナはそういうの大好きなので、知らせたら飛んできますよ。もうちょっと内緒にしておきます」

 私はふふふと笑った。

 リーンハルト様の話では、この国は同性で愛し合うことについては普通らしい。誰も色眼鏡で見ることもない。ただまだ法律で認められてはいないそうだ。

 クリストフ様の後継ぎはお姉様のご子息の中からどなたかを養子にするらしい。

 ミッシェル殿下は一代公爵なので後継ぎはいらないそうだ。

「おはよう。ミオリアは今日は義姉上とお茶会だよね。王宮までは私がエスコートするよ」

 ミッシェル殿下はにこやかに微笑む。

「いえ、私が送っていきます」

 リーンハルト様? そんな約束してないわ。

「リーンハルトにはちょっとやってもらいたいことがある。今日はミッシェルにお願いする」

 クリス様の鶴の一声でそう決まった。私の意思は? まぁいいけど。

「ミオリア、そのドレスよく似合っている。まぁ、ミッシェル殿下ならミオリアと一緒でも大丈夫だろう。殿下よろしくお願いします」

「あぁ、ではな」

「では行ってまいります」

 私はミッシェル殿下と一緒に王宮に出かけた。


*遅くなってすみません。
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