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37 圧が~圧が~
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「やあ!ジュリエッタ、おはよう!」
「……おはようございます。ラグルさん」
マリーンという空気の読めない子がいなくなったのに、ラグルさんというもっと強烈な人に取り憑かれています。神様、私はそんなに悪い事はしていないはずです。ボクは悪い魅了使いじゃないよ!って言いたいやつです。
でも学園ではその話は絶対にしません。やはり魅了使いは危険な存在だと認識されているし、少し具合が悪そうですが、王太子達は学園に通い始めています。
これ以上魅了のような精神に異常をきたす物を受ける訳にいかないのだそうです。これ以上受ければ精神崩壊もあり得る、との事でラグルさんことラウガラウ第二王子は強く頼まれてまだこの国に留まっている、そう言う事だそうです。
「それならば、王太子様は2年生ですし、2年生のクラスに編入されれば良かったではないですか?」
いつものお店に呼び出されている。もはや毎日来ているわ。毎日思うわ、早く帰りたいと。
「2年に魅了使いはもういないと判別できていたからな。あの最初の女を捕まえた時に」
「ああ、荒縄のアンナさんね」
いつも送ってくれる人……ラグルさんの護衛騎士だそうだが、彼の淹れてくれたお茶をぶっ!と勢い良く吹き出して大笑いされた。
「ジュ、ジュリエッタ!あの女にそんな名前つけてたのか!」
「だって!縄をくるくる回して引っ掛けようとしてたんですよ!彼女」
切ったけどね!お兄様が捕まってたんだからしょうがないでしょ!
「おもしれー!ジュリエッタ、やっぱおもしれー」
何だが、とても失礼な事を言われたような気がするが、その後もしばらくラグルさんはお腹を抱えて大笑いしていた。
そして今日も同じ人が送ってくれる。
「ラウガラウ……ラグル様があんなに楽しそうなのは初めてです。ジュリエッタ様、本当にありがとうございます」
「いえ……私は何も」
思ってた事を言っただけです……。
「ラグル様は孤独な方なので……ジュリエッタ様に逢われてから、変わられました、良い方向に」
えっ!なんか気になる言い方するじゃない?!なに?なんなの?!?!
「ラグル様は生まれた時より魅了の力をお持ちでした。幼な子が知らず知らずのうちにその力を使う事に誰が気付けましょうか。ジュリエッタ様ならお分かりかと思いますが、ラグル様の周りの方に精神の変調をきたすものが現れ始めて、やっと気づかれたのです」
そうか、生まれたばかりの赤ん坊なら、誰からも愛されて当たり前です。だから誰も気が付かなかったのね、おかしくなるまで。
「色々な方法を試されました。魔力封じなども。しかしラグル様は力も強くなかなか効果が出るものがなく……ご自分で制御出来るまでの間、孤独に苛まれたのです」
「そうですか……」
壊れて行く親しい人、頼ろうとすると壊してしまう恐怖。小さい子には酷な事だったでしょうね。
「どんな人でもラグル様がその気になれば彼の言う事を聞いてしまいますからね。つまらない、それが口癖の方だったのに」
……なんだか、話の雲行きが怪しくなって来ました??
「ジュリエッタ様を見つけてからのラグル様は全く変わられました!俺のいう事を聞かせられない女がいる!とそれはそれはお喜びで!」
うげ!勘弁してください!
「ジュリエッタ様!ラグル様をお願いします!あの方はかなり我儘で、自分勝手で負けず嫌いですが、お優しい所もあります!理不尽な要求もよくして来ますし、すぐ怒りますが、根は良い方なんですよ!」
騎士様からの圧が凄い……!
「何もせずとも女性から言い寄られる方なので、女心も分かっていませんし、贈り物とかそう言う事も全く分かっていませんし、研究ばかりで気の利いたことの一つも言えませんし、口説き文句なんてありえない話ですが!それでも良い方なんですよ!」
「あの、あの、落ち着いてください……」
そんな一方的にラグルさんの情報をぶち込んでこないでくださいませ~~~~!
「す、すみません。私もラグル様に長く仕えておりますので、少々力が入ってしまいました。それでも、本当にあの方をお願いしますっ!」
「いえ、あの、私にはちょっと……荷が重いかなー……なんて」
「ジュリエッタ様以外にラグル様よりお強い方などいらっしゃいません!」
なにその強いって……。
「あ、あの、寮につきましたし、わ、私はこれで失礼しますね!ホホホホ 送っていただいてありがとうございました~!」
とりあえず私は女子寮に逃げ込んだ。圧が、圧が凄い~!
「……おはようございます。ラグルさん」
マリーンという空気の読めない子がいなくなったのに、ラグルさんというもっと強烈な人に取り憑かれています。神様、私はそんなに悪い事はしていないはずです。ボクは悪い魅了使いじゃないよ!って言いたいやつです。
でも学園ではその話は絶対にしません。やはり魅了使いは危険な存在だと認識されているし、少し具合が悪そうですが、王太子達は学園に通い始めています。
これ以上魅了のような精神に異常をきたす物を受ける訳にいかないのだそうです。これ以上受ければ精神崩壊もあり得る、との事でラグルさんことラウガラウ第二王子は強く頼まれてまだこの国に留まっている、そう言う事だそうです。
「それならば、王太子様は2年生ですし、2年生のクラスに編入されれば良かったではないですか?」
いつものお店に呼び出されている。もはや毎日来ているわ。毎日思うわ、早く帰りたいと。
「2年に魅了使いはもういないと判別できていたからな。あの最初の女を捕まえた時に」
「ああ、荒縄のアンナさんね」
いつも送ってくれる人……ラグルさんの護衛騎士だそうだが、彼の淹れてくれたお茶をぶっ!と勢い良く吹き出して大笑いされた。
「ジュ、ジュリエッタ!あの女にそんな名前つけてたのか!」
「だって!縄をくるくる回して引っ掛けようとしてたんですよ!彼女」
切ったけどね!お兄様が捕まってたんだからしょうがないでしょ!
「おもしれー!ジュリエッタ、やっぱおもしれー」
何だが、とても失礼な事を言われたような気がするが、その後もしばらくラグルさんはお腹を抱えて大笑いしていた。
そして今日も同じ人が送ってくれる。
「ラウガラウ……ラグル様があんなに楽しそうなのは初めてです。ジュリエッタ様、本当にありがとうございます」
「いえ……私は何も」
思ってた事を言っただけです……。
「ラグル様は孤独な方なので……ジュリエッタ様に逢われてから、変わられました、良い方向に」
えっ!なんか気になる言い方するじゃない?!なに?なんなの?!?!
「ラグル様は生まれた時より魅了の力をお持ちでした。幼な子が知らず知らずのうちにその力を使う事に誰が気付けましょうか。ジュリエッタ様ならお分かりかと思いますが、ラグル様の周りの方に精神の変調をきたすものが現れ始めて、やっと気づかれたのです」
そうか、生まれたばかりの赤ん坊なら、誰からも愛されて当たり前です。だから誰も気が付かなかったのね、おかしくなるまで。
「色々な方法を試されました。魔力封じなども。しかしラグル様は力も強くなかなか効果が出るものがなく……ご自分で制御出来るまでの間、孤独に苛まれたのです」
「そうですか……」
壊れて行く親しい人、頼ろうとすると壊してしまう恐怖。小さい子には酷な事だったでしょうね。
「どんな人でもラグル様がその気になれば彼の言う事を聞いてしまいますからね。つまらない、それが口癖の方だったのに」
……なんだか、話の雲行きが怪しくなって来ました??
「ジュリエッタ様を見つけてからのラグル様は全く変わられました!俺のいう事を聞かせられない女がいる!とそれはそれはお喜びで!」
うげ!勘弁してください!
「ジュリエッタ様!ラグル様をお願いします!あの方はかなり我儘で、自分勝手で負けず嫌いですが、お優しい所もあります!理不尽な要求もよくして来ますし、すぐ怒りますが、根は良い方なんですよ!」
騎士様からの圧が凄い……!
「何もせずとも女性から言い寄られる方なので、女心も分かっていませんし、贈り物とかそう言う事も全く分かっていませんし、研究ばかりで気の利いたことの一つも言えませんし、口説き文句なんてありえない話ですが!それでも良い方なんですよ!」
「あの、あの、落ち着いてください……」
そんな一方的にラグルさんの情報をぶち込んでこないでくださいませ~~~~!
「す、すみません。私もラグル様に長く仕えておりますので、少々力が入ってしまいました。それでも、本当にあの方をお願いしますっ!」
「いえ、あの、私にはちょっと……荷が重いかなー……なんて」
「ジュリエッタ様以外にラグル様よりお強い方などいらっしゃいません!」
なにその強いって……。
「あ、あの、寮につきましたし、わ、私はこれで失礼しますね!ホホホホ 送っていただいてありがとうございました~!」
とりあえず私は女子寮に逃げ込んだ。圧が、圧が凄い~!
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