27 / 58
27 ラグルさん
しおりを挟む
「やあ、こんにちは。君、ジュリエッタって言うの?」
「へあ?え、ええ、そうです。ジュリエッタ・アースルと言います。ラグル・シュレイズさん」
「俺の事はラグルと呼んで下さい」
そう言われると、私も同じよう答えなければならないのが貴族の付き合いというもの。このラグルさん、身分を明かしていないけど、けっこう高そうな気がする。あまり逆らわない方が良いと、私のカンが言っている!
「では、私のことはジュリエッタと。すみません、折角の留学ですのに、礼儀知らずな子がいて……あ、あの子以外は皆素敵な方ばかりですよ」
ラグルさんは、人好きをする笑顔で
「それは安心した。仲良く出来そうです」
そう言うが……何だろう、薄ら寒い物を感じます。
「では、よろしくお願いしますね」
「?!」
しゅるり、ラグルさんから真っ黒なベルトが伸びてくる。これ!魅了だわ!
どうしよう!でも巻き付かれる前に私はベルトをジョッキン!と切った……切れた!!すごくすごく硬かったけれど、何とか切り落として巻き付かれるのを防いだ。
「ほう……素晴らしい。それを切ったか!」
「ひ……」
私にだけ聞こえるように、小さく低くラグルさんはつぶやいた。この人、怖い!
「気に入ったよ、ジュリエッタ。仲良くしような?」
わ、わたしは何かとんでもない物に、取り憑かれてしまったのではないでしょうか?!?!
「あ」
「ひーん!ジュリエッタさぁあん」
み、見なかったフリをしたい、とてもしたい!でも……目の前でべそべそと泣いているショーンさんは真っ黒なベルトに巻きつかれて……まるで散歩する犬みたいになっています。ああ、ショーンさんの力では切れなかったのね……。
「やぁ、ジュリエッタさん。俺、ショーンと仲良くなったんだ、どうだい?」
どうだいじゃありませんよ……。この人、確信犯の上に腹黒ですわね。
「放してやって貰えませんか?その子、何にも悪さしてませんから……」
ラグルさんは素敵な顔面で、わざとらしくどうしようかなぁー?なんて言っていますが、子犬のような顔で
「ジュリエッタさん……たしゅけてぇ」
と、懇願する美少年が可哀想でして。それにマリーン襲来の時、いつも頑張ってくれましたし。
「じゃあ、ジュリエッタがお茶に付き合ってくれるなら、ショーンは解放してあげよう」
「……お茶だけですね?」
「今日はお茶だけで良いよ」
今日は、笑顔で言うラグルさんはやっぱりとても怖い方だと思いました。
「へあ?え、ええ、そうです。ジュリエッタ・アースルと言います。ラグル・シュレイズさん」
「俺の事はラグルと呼んで下さい」
そう言われると、私も同じよう答えなければならないのが貴族の付き合いというもの。このラグルさん、身分を明かしていないけど、けっこう高そうな気がする。あまり逆らわない方が良いと、私のカンが言っている!
「では、私のことはジュリエッタと。すみません、折角の留学ですのに、礼儀知らずな子がいて……あ、あの子以外は皆素敵な方ばかりですよ」
ラグルさんは、人好きをする笑顔で
「それは安心した。仲良く出来そうです」
そう言うが……何だろう、薄ら寒い物を感じます。
「では、よろしくお願いしますね」
「?!」
しゅるり、ラグルさんから真っ黒なベルトが伸びてくる。これ!魅了だわ!
どうしよう!でも巻き付かれる前に私はベルトをジョッキン!と切った……切れた!!すごくすごく硬かったけれど、何とか切り落として巻き付かれるのを防いだ。
「ほう……素晴らしい。それを切ったか!」
「ひ……」
私にだけ聞こえるように、小さく低くラグルさんはつぶやいた。この人、怖い!
「気に入ったよ、ジュリエッタ。仲良くしような?」
わ、わたしは何かとんでもない物に、取り憑かれてしまったのではないでしょうか?!?!
「あ」
「ひーん!ジュリエッタさぁあん」
み、見なかったフリをしたい、とてもしたい!でも……目の前でべそべそと泣いているショーンさんは真っ黒なベルトに巻きつかれて……まるで散歩する犬みたいになっています。ああ、ショーンさんの力では切れなかったのね……。
「やぁ、ジュリエッタさん。俺、ショーンと仲良くなったんだ、どうだい?」
どうだいじゃありませんよ……。この人、確信犯の上に腹黒ですわね。
「放してやって貰えませんか?その子、何にも悪さしてませんから……」
ラグルさんは素敵な顔面で、わざとらしくどうしようかなぁー?なんて言っていますが、子犬のような顔で
「ジュリエッタさん……たしゅけてぇ」
と、懇願する美少年が可哀想でして。それにマリーン襲来の時、いつも頑張ってくれましたし。
「じゃあ、ジュリエッタがお茶に付き合ってくれるなら、ショーンは解放してあげよう」
「……お茶だけですね?」
「今日はお茶だけで良いよ」
今日は、笑顔で言うラグルさんはやっぱりとても怖い方だと思いました。
2
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる